147 最後の試練・・・?
闘技場から先に進む。
しっかりした石組みの通路を奥へ奥へと進むとすぐに次の試練と思われる場所に辿り着いた。
「兄貴。これ何?」
「いっぱいですー。」
「なんでしょうか?」
「にゃ?」
ハテナマークを浮かべた子たちとは対称にドーラは少し興奮していた。
「こ、これって!!?これ数式やんな!?な!?兄ちゃん!?」
「ああ。そうだな。数式だよ。文字は英雄文字以外にもいろいろ混じってるな。」
辿り着いた場所には巨大な石壁に無数の文字や数式と絵が描かれた部屋だった。
遺跡の壁画というか古文書って感じだ。
「あ!ここはうちでも読めるで!『推進力』??」
「飛行船?浮遊船?に関する考察みたいだ。」
浮遊力が得られる素材を発見。
浮遊力Wが魔力量Xと瞬間魔力Uから周囲の・・・ムズい。
「えーっと、魔力効率は悪くないが、浮かぶだけで高速移動が出来ないってことかな?」
他の動力の開発に着手したようだ。
「動力としては・・・、これまた色々手を出してるなぁ。人力から始まって、馬、魔物に引かせる?」
「兄ちゃん!これは!?何なん!?」
「これは力学の計算かな?運動量がどうとか。」
「運動量って!?」
「いやえっと、俺も詳しくないから、書いてあることそのまま言うぞ?」
「うん!!」
目をキラキラとさせるドーラに急かされて古文書を読んでいく。
専門的な話は難しすぎて俺には理解できない。
俺の頭は高校物理とか雑学程度しか入ってない。
大学は遊び惚けてたし、社会人になってからは理論より実践って感じだった。
古文書の内容はアナログな手法から、魔術考察に移っていってる。
「爆発が生み出す爆風を利用すれば推進力が得られるが、必要な速度を出すには大魔法クラスの大爆発を起こす必要がある、かな?」
大爆発に耐えられる素材がないため断念したらしい。
素材としてアダマンタイトやオリハルコン、ダマスカス鋼とか胸躍る単語が散見していた。
他には、空気そのものを高速で噴出することで推力を得る魔術が考案されている。
だが、余りにも魔力消費の効率が悪く、一度の航行で大量の魔石を使わざるを得ず、積荷が全て燃料と化すため断念、と。
「これってうちらが銃を作った時に当たった問題と一緒やね。」
「そうだな。モノを動かす魔法ってあんまり速さが出なかったんだよな。」
「馬力はそこそこあったんやけどね。」
「これってジェットエンジンを作ろうとしたのかな?結局、有効な動力は作れず、帆船の帆に風を送って押すのが、一番効率がよかったみたいだ。」
「そうなんや。難しいんやな。何か方法ないんかな?」
「噴出の魔術しか組んでいないから効率が上がらないんだよ。単純に組み合わせるだけでも効率は上がるはずだよ。」
「組み合わせるって言っても、大魔法を組み込んだら大惨事やない?」
「大魔法は必要無いよ。どちらかと言うと下級の爆発系の魔術を連続で起動し続ける術式が必要だろうね。」
継続は力なり、って言うしね。
「加えて、空気を取り込んで圧縮してからそれを爆発させたら更に効率は上がるんじゃないかな。どっちも下級レベルに抑えられると思う。
あとは、音速を超えない程度の速度ならプロペラとかで取り込む空気量を増やしたりする方法もあったかな。どっちが効率がいいかは分かんないけど。昔そんなことを聞いた気がする。」
大学の授業だったか、ネットだったかは定かじゃないけど。
「「なるほど!」」
唐突に奥へと続く扉が開いた。
「え?」
開いたのだ。
「開きましたね。」
「開いたな。」
「さっきうち以外の声聞こえんかった?」
「聞こえたな。」
「どこからでしょうか?」
イチの疑問に俺たちはそろって開いた扉を見つめた。
「行ってみるか。」
「そうですね。」
なぜか突然開いた扉に腑に落ちないものはあるものの俺たちは扉をくぐって奥へと歩を進めるのだった。




