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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
トリスタ編
145/200

143 分かれ道クリア

そこからは大した障害もなく、壁に阻まれたり、開いたり、合流したり、別れたりを繰り返していく半ば作業だった。

ただひたすらに長い。

一体どれだけの時間進んだのか、洞窟内なので正確には分からないが、おそらくもう夜だ。

どこかで休息を入れないとみんなも辛いだろうな。

だが、この分かれ道の性質上、誰かが止まると進行が止まってしまう。

それは他のみんなに迷惑をかけることに繋がってしまう。

とこんな考えに至ってしまうのは、俺の精神が日本人だからか?

とにかく、そろそろ休息を入れよう。

次の分かれ道か、障害で止まってしまおう。

こうなると連絡が出来ないのは辛いな。

どうにかできないものか・・・。



「お?何か見えてきた。」


おあつらえ向きに何か見えてきた。

あそこで休むことにしよう。


「みんな。今日はあそこまでで休憩にしよう。」

「「ニャー。」」


猫たちも何となく元気がない。

根を詰めるのも考えものだ。



「ソーマ様ーー!!!!!!!」

「え、イチ?うおっとっとっと。」


ぼふっと胸に飛び込んできたイチを受け止める。

顔を上げてパアっと顔を綻ばせて喜ぶイチのなんと眩しいことか。

目がくらむぜ。


「ソーマ様!ソーマ様!ソーマ様!」

「お、おいイチ?どうしたんだ?」

「あー、兄ちゃんごめん。うちのせいやねん。ちょっとからかうだけのつもりやってんけど、いっちゃん暴走してもうて。」

「え?」


どうやらドーラがイチに、俺は罠にかかってもう会えないとかあるかも、みたいなことを言ったらしい。

それを真に受けたイチが妄想に妄想を重ねて暴走してしまって、この状態だ。

まあ必死に頭を擦り付けてくるイチはかわいいから良しとしよう。


「ほらイチ。俺はここにいるよ。な?」ヨシヨシ

「ソーマ様!ソーマ様ぁ!」

「はいはい。」ヨシヨシ


しばらくはこのままか。

まあいいや。


「みんなここで待ってたのか?」

「うん。そうや。なんかそれっぽい扉があったから、終点やないかと思ってんけど。開かんかったけど。」

「そうか。まあ、もう今日は遅いし、ここで休憩だな。」

「そうやと思って、料理班がもう動いとるで。兄ちゃんが来たから飯ももっと豪華にできるな。」

「そうだな。じゃあちょっと行ってくるか。イチは、・・・このままだな。」

「ソーマ様!ソーマ様ぁぁ!」

「あはは。そうやねー。」


何があるか分からなかったので、みんなにも小分けにした食糧や道具を持たせていたのだが、俺はストレージリングなので容量が違う。

みんなは普通のカバンなので節約して2日持つかどうかくらいだ。

俺は恵まれてるな。


「じゃあ頼むな。」

「はい!お任せください!」

「「ニャー!」」


復活したイチを再度撫でて激励して、食事の準備を任せた。

その間にも続々と仲間たちが合流してきて、全員が揃うのにそれほど差は無かった。

数が揃っていれば、ここの攻略の難易度はそれほど高くは無かったようだ。

ここの試練は仲間の数でも試しているのかな?

一つ目の試練は何だったのだろう。

射撃系の魔法が使えなくなったけど、接触していたら普通に使えていたし、スキルに制限も無かった。

俺がやった方法は邪道な気はしなくもないが、それにしても意図が読めない。

昔の魔法は射撃系しかなかったとかいうオチは、ないかなぁ。

うーん。

アトラクション?

いやないか。

しっくりくる答えが出ないとモヤモヤする。

なぜ英雄はこんな施設を作ったのだろう。

セキュリティとしては入り口のだけで十分なはずだ。

こんな手の込んだ罠とも言えないアトラクションを作る意味が分からない。

分からないと不気味だ。

俺たちはいったい何に踊らされているのか・・・。


ぐぅー


「そんなことより、おなかがすいたな。」

「ソーマ様ー!ご飯できましたよー!」


イチが満面の笑みで伝えに来てくれた。

まあ、英雄の意図とかどうでもいいか。

ここも何だかんだで面白い迷宮モドキだし、いい訓練になると思おうかな。


「今日はビーフシチューですよ!」

「お!それは旨そうだな。涎が出るよ。」

「兄貴!はやくー!」

「ですー!」

「はいはい。・・・うまー!!」

「うまー!」



探索に疲れた体に染み渡る美味しさだった。

うまし!


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