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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
トリスタ編
143/200

141 次なる試練

「今度は分かれ道、ですね。」

「だな。」

「どうしますか?」

「空気の流れとかは・・・。」

「どっちにも同じくらい流れてるよー。」


ゼンが耳をピクピクさせながら風を読む。

野生だなぁ。

ピクピク動かす耳がかわいいね。


かわいいですます・・・。」


小声だったので、風を読むことに集中していたゼンは気が付かなかったみたいだが、近くにいた俺とイチの耳には聞こえてきた。

俺は微笑ましく思い、イチは対抗してか耳をピクピクさせていた。

期待したような瞳でこちらを伺ってくるものだから頭をナデナデしておいた。


「えへへ。」


かわいいは正義だと思う。


「じゃあこっちに行ってみよう。」


俺たちは左に進んでみることにした。

しばらく進むと行き止まりにあたった。


「ハズレだったな。」

「そうですね。」

「んー?」

「ゼン、どうしたんだ?」

「なんかここ変じゃない?」

「えー?どこや?見してみいや。・・・これスイッチかな?兄ちゃん鑑定してー。」

「はいはい。・・・え?」

「どうしたんですか?」

「いや・・・。サーシャも鑑定してみて。」

「はいです。・・・。あれ?できないです。全部空欄ですます!どうしちゃったですか!?」

「サーシャもか。俺もだよ。どうやらここのものは鑑定が妨害されてるみたいだ。」

「そんなこと出来るんですね。」

「ああ。俺も初めて知ったよ。」

「じゃあ何が起きるか分からへんってことやね。どうする?」

「押しちゃえ。えい。」

「あっ。」


考えても仕方ないので押してしまった。

ポチッとな。


ゴゴゴゴゴォォォ


遠くの方で音がした。

どうやら別の場所の開閉スイッチだったようだ。


「ちょっと兄ちゃんっ!!何してんのやっ!!」

「まぁまぁそう怒るなよドーラ。」

「ドーラちゃんどうどう。」

「これが落ち着いていられるかいな!罠やったらどうするんよっ!」

「その時はその時かな。でもたぶん致死性の罠は無いんじゃないかなって思ってさ。ここって英雄の試練だから。」

「・・・どういうことや。試練自体って基本的に命を取るようなものはないみたいなんだよ。」

「あっ!ノート?」

「そう。サクセスノートにあったんだ。」

「それならそうと言ってくれたら良かったのに。」

「書いてはあっても解読が難しくてさ。あんまり自信なかったからさ。」

「自信ないのに押したんか。アホちゃうか。」

「アホちゃうわ。」

「そうです、ソーマ様はアホじゃないです!ちょっと抜けてるだけです!」

「ぐぉっ。」

「いっちゃん、えげつないな。」

「え?え?ええ??」


ちょっとした事故もあったり無かったりしたが来た道を戻り、分かれ道のもう一方を進むことにした。

分かれ道を進み始めてすぐのことだ。


ゴゴゴゴゴォォォ


「兄貴、なんか聞こえない?」

「そうだな。さっきのと似たような音だな。」


これは嫌な予感だ。


道を進むと案の定、行き止まりだった。


「ソーマ様。これってどういうことでしょうか?」

「たぶん二手に分かれないと進めないんだろう片方が仕掛けを操作して、もう片方が進む。そういう仕掛けだと思う。」


ゲームなんかではたまにあった。

有り触れているけど、実際に遭遇すると面倒くさい仕掛けだな。


「どうしますか?わたしが行って押してきましょうか?」

「そうだなぁ。チーム分けしようか。」


というわけでチーム分けをした。


Aチーム

 ソーマ、シロ、イチ

Bチーム

 ドーラ、サーシャ、ゼン、クロ


「ほな行ってくるな!」

「行ってくるですます!」

「い、行ってきます!!」

「ブルルルー!」

「いってらっしゃ~い!」


ドーラたちを見送ってからしばらく待つと、再びゴゴゴゴゴォォォっという音がして、目の前で壁が割れて道が出てきた。


「おおー。やっぱり開いた。それじゃあ進もうか。」

「はい!!」

「にゃ。」


嬉しそうなイチの返事の後、開いた道を進むとすぐに今度はこれ見よがしなスイッチが合った。

今度はしっかりした台座の上に青いスイッチが設置された押して下さいと言わんばかりのスイッチだった。

迷わず押した。

ポチッとな。


「流石ソーマ様です!」

「にゃー。」


何がだろう?


イチのヨイショがよく分からなかったが、今度は遠くの方でゴゴゴゴゴォォォと言う音が聞こえた。

おそらくあちらの道が開かれた音だろう。

仲間と協力してクリアしろとか、そういう試練なんだろう。


「まだ先がありますね。」

「そうだな。進んでおこうか。」

「はい!」

「にゃ。」


少し進んだところで困ったことが起きた。


「え?」

「また分かれ道ですね。」

「にゃー。」


そう。

また分かれ道だ。


「ここでも二手に分かれるんですか?」

「そうしないとダメかもしれないな。」

「そうですか・・・。」


耳をしょんぼりと折り畳む姿に心が痛むが、分かれないと道が開かない可能性がある。


A1チーム

 ソーマ

A2チーム

 シロ、イチ


再び二手に分かれるとまたまた行き止まりだ。

しばらく待つと、ゴゴゴゴゴォォォと言う音と共に道が開かれた。


「ふぅ。やっとか。なんてめんどい試練なんだ。」


俺は悪態をつきつつ奥に進んだ。

すると今度は台座はなく、立派な彫刻の施された壁があった。

よく見ると壁の真ん中に穴が空いていた。


「何だこれ?穴?もしかしてこの奥か?」


穴の遠くは暗くて全く見えない。

試しに小さなライトボールを飛ばして見たら、先程と同じような青いスイッチが奥に見えた。


「おいおい、これどうやって押すんだよ。」


俺以外ならここでスイッチを押せなくて詰んでしまったかもしれない。

俺はストレージから、長い槍を出して石突きでスイッチを押した。

ポチッとな。

遠くの方でゴゴゴゴゴォォォと音がした。


「これでよし。さて、進むか。」


スイッチを押し、意気揚々と先を進んだ俺は唖然とした。


「マジかよ・・・。」



ゲームなんかだと二手に分かれるくらいが精々だったのだが、また分かれ道だ。

しかし俺は今一人である。

別れられない。

つまり詰み。


激しくめんどくせー!

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