139 最初の試練
だいぶ間が空いてしまいました。すみません。
これからもポツポツ更新していきますので、よろしくお願いします。
「長らくお待たせしました。ここが入り口です。」
「おおー!」
「兄ちゃん、誰に説明しとん?」
「何となくだ。気にするな。」
ここは湖の底で見つけた入り口だ。
ここに来るまで長かった。
自業自得ですね。
「ここに近づくと・・・。」
俺が印に近づくと神青球スフィア、ストレージリング、旅人の道標が光り、印と結ばれ、道が開かれた。
「おおー。開いたで!どうなっとるんやろ?」
「すげー。」
「すごーい。」
「流石です!ソーマ様!」
三者三様の反応を示した。
「いよいよだな。」
「はい!」
俺たちは慎重に、開かれた道を進んでいった。
洞窟のようだった道は進むにつれて次第にきちんとした造りに変わり、程なく扉にたどり着いた。
「これ、ですか?」
「ここ以外に他には道は無いし、そうなんちゃう?地味やけど。」
「そうだね。」
道の先にあったのはなんの変哲も無い普通のドアだ。
そのへんの民家のドアと言っても差し支えないくらいに平凡なドア。
鑑定しても「ドア」としか表示されないごく普通のドアだ。
罠もなさそうなので開けて入ってみる。
「部屋ですます?」
サーシャの言う通り部屋だった。
石造りで床に埃が溜まっているのと、奥に入口と同じ様な扉があるだけの割りと広めの部屋だった。
「罠とかあるんかな?」
「いや、ただの部屋みたいだね。怪しいところも無いし。埃っぽいけど。」
「・・・何でここだけ埃っぽいんでしょうか?」
「?長く放置されてたら埃くらい溜まるでしょ?」
「・・・いや、部屋の外もだし、英雄館の方も全く埃っぽいこと無かった。ある意味で迷宮みたいなところだったけど、ここだけ掃除されて無い?いや、現状復帰か?」
「どういうことですます?」
「迷宮とかって壁とかに傷が付いても時間が経つと自動で修復されるんだけど、傷以外でも迷宮に元々なかったものとかの異物は排除されるんだよ。要は元の状態に戻るってことなんだけど、この部屋の中は戻らないってことなのかと思って。」
「それってどういう事なんやろ?何かええ事あるんやろか?」
「さあ?」
「マーカーを設置出来るとか・・・。」
「イチ!それだ!」
「いっちゃんどゆこと?」
「旅人の道標のマーカーって迷宮の中には設置出来ないの。理由はさっきソーマ様が言った異物にマーカーも含まれるから。」
「あ!そゆことか!この部屋は排除されたりしいひんから、この部屋へはショートカット出来るんやな!」
「そういう事になるだろうな。」
「・・・。何でそんな部屋があるんですます?」
「それはこの先に行ってみれば分かること、なのかもね。」
「・・・はい!」
マーカーを設置して、いざ奥の扉の向こうに進む。
扉の先に広がっていたのは、道だった。
「えー。何も無いし。」
「道ですね。」
「道だな。」
「部屋の前と同じですね。」
「そうだな。」
「出る扉を間違ったんとちゃう?」
扉に振り返って確認しても、床の埃がこちらが先だと示している。
「間違ってないな。」
「そうやね。はあー。」
「進もう。」
「はい!」
気を取り直して俺たちは道を進んでいった。
元気なゼンとイチの返事を聞き、進む。
少し進むと開けた場所に出た。
開けたというか・・・。
「うわー、そこが見えないよ。兄貴!」
「そ、そうだね。」
「これはまたえらいとこやなぁ。」
「あの一本道を進むのでしょうか?」
「落ちたら死んじゃうのですます・・・。」
「にゃー。」
「ブルルル。」
底の見えない崖が目の前には広がっていた。
その崖には幅が50cm程の橋が架かっていた。
そしてその先にはこれ見よがしな台座と青いスイッチ。
崖のこちら側にはもう一つ扉があり、その扉の上には英雄文字で
『扉を開けるにはスイッチを押せ
破壊禁止 魔法禁止』
と書かれていた。
「誰かがあれを押して来ないといけないってことですよね。」
「そうだな。」
「俺が行く!」
ゼンが名乗りを上げる。
男らしいなぁ。
「よし、じゃあゼンに任せよう!」
「頑張って!です!」
「おー!!」
張り切ったゼンが一本橋に足を踏み出した瞬間、横から影が飛び出してきた。
「ゼン!」
「ゼン兄!」
ゼンは咄嗟に飛び退いて難を逃れることができた。
「うわー、あぶねー。何だよもう!」
「槍かなぁ?」
「怖いこと言うなよ。」
「ドーラちゃん!」
「ごめんごめんって!だからご飯抜きは勘弁してー!」
「そこまでは言ってないよ。」
そんなコントを流して、確認すると茶色い塊だった。
「何だこれ?」
「麻、でしょうか?縄、ですかね?」
「縄・・・?」
「縄。」
「あ、消えた。」
先程まで地面に転がっていた縄?が跡形も無く消えてしまった。
「あの消え方って魔法じゃないですか?」
「そうだろうね。魔法禁止ってなってるくせにね。」
「あれって当たったらどうなるんだろ?あれが当たったくらいじゃ落ちたりしないと思うんだけど?」
「ゼンの言う通りかもな。なら、捕まる?」
「あ!英雄の館の縄だ!」
「それや!って当たったら終わりってことやんか!あんな所で縄に捕まったら落ちてまうで!どうすんの!?」
「シールド、とかです?」
「さーちゃん冴えてるぅっ!」
「えへへです。」
「うーん。考えても分からないし、やってみようか。」
「うん!シールド!」
ゼンが掛け声よくシールドの魔法道具を発動させてシールドを張る。
そして張ってすぐ消えた。
「あれっ?消えちゃったよ?」
「消えたな。」
「消えたね。」
「消えましたね。」
「消えたです。」
「俺のせい?」
「いや、この空間のせいだろう。どういう理屈か分からないけど、魔法が使えない空間なんだよ。」
「マジかよー。」
「困ったな。」
「シールドが使えないとなると・・・。」
それからしばらく試してみた結果、身体から離さなければ消えないことが分かった。
エナジーウィップの魔法は身体に接続した状態でなら消えなかったのだ。
反面、シールドの魔法は衝撃を逃がす為にシールドを浮かべている魔法のため、あっという間に消失してしまう。
どうやら身体から離れた瞬間に消えるらしく若干のタイムラグがある。
ほんの少しだが効果はあるみたいだった。
ゼンに速度アップの強化魔法を付加して一気に駆け抜ける算段でエナジーウィップで援護する。
落ちそうになったらエナジーウィップとストレージリングのコンボで回収すればいい。
人も格納できるストレージリングの本領発揮だ。
いざ勝負だ!
「ゼンくん!頑張ってです!」
「ゼン兄頑張って!」
「ゼン、いいな?」
「うん!行くよ!」
ゼンがスタートを切ると同時に縄が飛んできた。
ゼンは縄に当たる前に前に進み、駆け抜ける。
次々と飛んでくる縄を駆け抜けては避け、ウィップで弾き、魔力剣で叩き切る。
「なに!?」
「ええー!!ちょっ!」
一本橋も終盤に差し掛かった所で縄の連射が縄の嵐に変わった。
いや、もうこれは壁だ。
弾いても弾いても視界を埋め尽くす縄の洪水に為す術も無くゼンが捕まった。
すかさずゼンをストレージリングに回収。
「なっ!!」
回収したところまでは想定内だったが、今度は天井が縄で埋め尽くされ、落ちてくる。
あっという間に縄に接触され、そして・・・。




