135 魔物の群れ
幻聴が聞こえた気がしないでも無いが、気のせいだろう。
あー。耳に水が入ったー。
トントントン
とジャンプする。
詰まった水が抜ける瞬間って、気持ちいいよね。
「水抜きの瞬間って気持ちいいやんな?」
「そうだね。」
俺が思ったことと同じことをドーラが言っているが、君はカナヅチだと言っていたよね。
特訓するか?
「嫌や!」
「ドーラちゃんどうしたの?」
「何か嫌なことされるかと思ってん。」
「嫌なこと?・・・///」
「いっちゃんは何を想像したんよ。」
「何でもないよ!ほんとだよ!」
「ふーん。顔赤くしてー? へー。」
「もー!ドーラちゃん!」
「ほー。」
イジられて焦るイチは非常にかわいいな。
「この後はどうしますか?ソーマ様!」
「そうだな。」
話題を強引に逸らしたイチにのっかって考える。
「入り口は見付けたから今日の探索はここまでにしようか。今からじゃあ町に戻るのは大変だから、今日の寝床確保として仮設避難所に行ってみようか。」
「兄ちゃんが悪乗りした要塞やな。」
「ただ壁立てただけだよ。」
「普通は1日であんなんできひんよ。」
「かもねー。」
「ソーマ様はすごいってことですね!」
「すごいですます?」
「うちも見てみたかったしええよ。」
「じゃあ、しゅっぱーつ!」
ゼンの元気な号令に従って俺たちは仮設避難所を目指した。
着いた。
魔物の群れに遭遇した。
「な、なんやの!?これ?」
「いっぱいですます。」
「うわー。うじゃうじゃだー。」
「かわいい。」
「ブルルル。」
「毛玉だらけ。」
「にゃー。」
魔物たちがこちらの声に反応して一斉に振り返る。
ギラリと光る目が妖しさを醸し出している。
すると、一匹の魔物がこちらに進み出て来た。
体格のしっかりした如何にも強そうに見える魔物だ。
大きな前足と鋭そうな白い爪を光らせ、身体は筋肉がボコボコと盛り上がっている。
つぶらな瞳と小さめの口から見える小さな牙が可愛らしい。
つまりあんまり怖くない。
というかキモイ。
「すごい大っきいですます!」
「ちっちゃい顔してんなー。」
「筋肉すげー!」
「かわいい。」
感じ方は人それぞれですよね。
イチは大丈夫か?
俺たちが思い思いの感想を言っていたら、キモイやつが唸り声を上げて威嚇してきた。
「ニャー!!!」
甲高い声で子猫のようだ。
そう。
俺たちが遭遇した魔物たちはネコ科だった。
しかも様々な種類のネコ科の魔物たちだ。
うちのシロの方がかわいいが、なんとも癒やされる空間だった。
「にゃ。」
すると俺たちの前にシロが進み出た。
同じネコ科同士通じるものでもあるのだろうか。
「ニャ、ニャニャー!!」
「にゃにゃにゃ。」
キモたん(命名)が必死に威嚇しているのを冷静に返している。
「ニャ、ニャ、ニャニャニャ!!」
「にゃーにゃ、にゃにゃ。」
「ニャニャニャニャニャ!!」
「にゃにゃにゃにゃ。」
「ニャニャニャー!!」
「にゃにゃにゃー。」
「なあ兄ちゃん。なんて言ってるん?」
「にゃー。だな。」
「いやなんやのそれ?」
「ネコ語なんて分かるわけ無いだろ。」
「いつもはシロちゃんと意思疎通をしてますよね?」
「あれはシロがこっちに訴えかけてきているから、何となく伝わるんだ。言葉を聞き取っている訳じゃないんだよ。だからさっぱりだ。」
「いけいけシロー!」
「がんばってです!」
「あの二人は何か分かっとんのか?」
「ノリじゃないか?」
「ノリかいな。」
「そう。ノリノリ。」
「ニャニャニャニャ、ニャーニャニャーニャ!!」
「にゃーにゃにゃにゃにゃーにゃ。」
「ニャニャーニャニャニャニャーニャー!!」
「にゃーにゃにゃにゃにゃにゃにゃー。」
「ウニャーー!!」
「にゃ。」
どうやら動きがあったみたいだ。
白熱した議論の末、キモたんは痺れをきたして飛びかかってきた。
「あ!だ、大丈夫なん!?」
ドーラが心配して声を上げる。
イチも心配そうに見ている。
「大丈夫だろ。サーシャを見てみなよ。」
「え?」
ふたりは普通に応援を続けているサーシャを見た。
「サーシャちゃん、落ち着いてるね。」
「そうやね。」
「サーシャも視たからだろうね。」
「ええなー。【鑑定眼】。」
「いいなー。ソーマ様と一緒。」
ふたりの羨ましがっているポイントがずれてはいるが、そういう事だ。
サーシャには【薬師】の才能だけで無く、【鑑定】の才能もあったのだ。
【鑑定】は珍しいものでは無いが、ゼン、イチ、ドーラは持っていなかった。
サーシャも初めは持っていなかったが、鑑定方法を教えたらスキルが出現した。
後は俺の持っている激レアアイテムを順に鑑定すれば、鑑定のレベルは爆上がりする。
結果として、鑑定眼まで発現したというわけである。
鑑定眼を持つサーシャが落ち着いていると言うことは相手はレベル的に大したことが無いと言うことだ。
ちなみに、前に出てきたキモたんの鑑定結果だが、
名前:筋肉猫
レベル10
種族:魔猫
属性:土
説明
全身の筋肉が非常に発達した魔猫。
発達した筋肉から繰り出される猫パンチは獲物を肉塊に変えること間違いなし。
筋肉が発達した代わりに、速さと牙を失った。
何かを得るには何かを失うしかないのか・・・。
何だか説明に悪意があるが、スキル的にもステータス的にも特に危ない点は無い。
ある程度やったら止めるだろう。
というか、この辺りの魔物にしては弱い。
「ニャー!」
とキモたんの鑑定結果を視て考えている内にシロがキモたんを押さえつけて勝負あったようだ。
別の魔猫が止めに入った。
真打ち登場ってところかな?
大して変わらないけど。
すると奥からまた別の猫が出て来た。
今度のはキモたんや周りの猫よりもレベルが高い。
え?




