134 走って潜る
タイトルそのまんま過ぎたかな・・・。
「石碑があった?」
「うん。そうや。こっち側にあったやつよりも大きいやつがあったで。一応写してきたよ。」
「おお!さすが!どれどれ。」
ドーラが対岸で見つけた石碑の写しを取ってきてくれた。
そこにはこう書かれていた。
『こっちなわけ無いだろ。素直に潜れ。』
イラッとする。
みんなに伝えた。
「なんかイラッとしますね。」
「そうやな。破り捨てたくなるな。」
「とにかく、やっぱり潜るしか無さそうだな。」
「兄ちゃんの検索でなんとかならんの?」
「それなんどけどな、まだレベルが低いから範囲が狭いんだよ。水の中だと方向感覚も狂うしさ。」
「水面走れば?」
「んなアホな。」
「ゼン。それだ!走ろう。」
「兄ちゃん!?」
「ソーマ様?」
「いやさぁ、泳ぐのめんどいなと思ってたんだよ。ここって水深はそんなに深くないから、水面からでも確かに検索できるしさ。」
「だからって走るってなんやねん!」
「沈む前に駆け抜けるんだろ?」
「ゼン君は黙っとき!」
怒られてションボリしたゼンをサーシャが慰める。
ゼンの耳と尻尾が元気を取り戻した。
早業だね。
「ゼンの言うこともできなくは無いだろうけど。」
「できるん!?」
「うん。やってみた事はあるよ。常に動いて無いといけないからしんどいけど。」
「さすがソーマ様です!」
「アホちゃう?」
「まあ余り意味は無いね。今回はもっと簡単で、足下にシールドを張ります。乗ります。歩きます。以上。」
「あー、そら簡単やな。うちでも出来るわ。」
と言うことで早速、湖の上を真っ直ぐ走る。
途中の昆布畑を通り過ぎ、水深が若干深くなってきた。
と思ったらいきなり深くなった。
青い湖から突然黒い湖に変わったかのように色が変わっている。
原理を知らなければ何が起こったのか分からないだろう。
すると【検索】スキルに反応が出た。
検索の範囲は三次元なのに表示は二次元のため、レーダーマップの上に唐突に現れたように見える。
文句を言っても仕方が無いが。
レーダーマップを見ながら真上に進む。
この真下か。よし。
シールドを蹴って飛び込み、潜る。
予め用意しておいた魔法で水流を操作して一気に湖底まで行けば、底には小さな洞窟があった。
洞窟を少し進むと湖底なのに空気があった。
一見するとただの洞窟で何も無い空間が広がっているだけだが、壁に小さなレリーフがある。
ホントに小さくて岩肌もゴツゴツしていて、知らなきゃ見つけられないほどだ。
【検索】で位置が分かる俺だから見つけられたようなものだ。
英雄って意地が悪いのか?
まあ人を食ったような言葉を残しているくらいだから、ひねくれてはいるのだろうけど。
レリーフに近づくと胸が青く光った。
いや胸元に入れていた神青球スフィアが光っていた。
次に腕のストレージリングが赤く光り出した。
腰に付けていた旅人の道標が黄色く光り出した。
3つのアイテムから伸びた光が壁のレリーフに当たる。
レリーフは白い光を放ち目の前の空間に紋章が浮かび上がった。
これは。
紋章は町の屋敷にあったものと同じだった。
アイテムが反応し、英雄の紋章が浮かび上がったここは、まず間違いなくサクセスルームへの入り口だろう。
俺が考えている間にレリーフのあった壁が浮かび上がった紋章と共に消えた。
道が出来たな。というか無駄にこり過ぎじゃないか?まあ、いいけど。
道は奥へと続いていた。
何だ気配を感じるような。
感じないような。
気のせいだな。よし、帰ろ。
俺は洞窟の端の方に旅人の道標用のマーカーを設置して、再び水の中に戻って行ったのだった。
◆
来ないのかよ!
◆




