133 昆布出汁
山盛り取った昆布は、半分は生昆布としてストックしておき、もう半分は乾燥昆布にしようと思う。
乾燥は今は時間がないので、魔法でちょちょいだ。
生活魔法の乾燥で瞬間乾燥だ。
沢山あるから、出力を上げて乾燥させてみた。
後で天日干しした物と比べてみよう。
岸に上がって昼食作りだ。
乾燥昆布で出汁をとる。
水に30分くらい漬けておき、急に沸騰しない様に弱火でじっくり温める。
沸騰直前で昆布を取り出して完成だ。
なんて簡単なんだ昆布出汁。
適当に野菜と生昆布を入れて和風スープを作る。
「ああ、いい香りだー。」
「何だかいい香りですね。」
「すごい香りがする!」
「そうだろう、そうだろう。」
「あの葉っぱからこんな香りが出るんですね。何で乾燥させてたんですか?」
「受け売り知識だけど、昆布って生のままだと旨味が出ないんだよ。「この旨味は俺のものだー!」っていって旨味を離さないんだ。乾燥させることで昆布を殺して、問答無用で引き離してるみたいなイメージかな。」
「へー。兄貴って鬼畜だな。」
「ゼンは飯抜きかな。」
「兄貴ー!」
「ははは。冗談だよ。」
「ふふ。でもそう聞くとちょっと引け目を感じますね。」
「そうだね。でも素材の味を引き出して味わうのも大事なことだから。だから食べてしまうのでした。はい、どーぞ。」
「ありがとうございます。」
「兄貴サンキュー!」
「ではでは実食!」
「ずずず・・・」
「うまー!」
「うまーい!何これ!肉入ってないのにうまーい!」
「美味しい・・・。」
久しぶりに味わうザ和食の味だ。
宿で味わった和食モドキとは旨味が違う。
やはり出汁は偉大だ。
これに醤油と後は味噌があれば完璧なんだけど。
贅沢を覚えると次々に欲しくなるな。
いかんいかん。
足るを知るだ。
あっという間に一杯目が無くなった。
と思ったら鍋の中身が無くなっていた。
イッツマジック!
ちなみにお腹はチャプチャプです。
夢中になって食べ尽くしてしまったらしい。
俺とゼンが。
イチは俺たちを見てふふふと笑っていた。
恥ずかしい。
「あー!やっぱり何か食べとるー!ずるいでー!」
「にゃー!」
「ブルルルー!」
「ただいまです。」
「サーシャおかえりー。」
湖の反対側を調べていたサーシャ達が戻って来た。
「おかえりちゃうわー!」
ドーラはカンカンである。
でも、飯は無いのである。
哀しいな。
「うちらのはー!?」
「食べちゃった。テヘペロ。」
「テヘペロちゃうわー!!」
ドーラの小さな手で殴られた。
地味に痛い。
「悪かったって。ついつい懐かしい食材を見つけちゃってさ。夢中になって食べちゃった。また作るからさ。」
「懐かしい?うちも食べたい!」
「わ、私も!です!」
「はいはい。」
「あ、わたしも手伝います!」
今度はイチと一緒に昆布野菜スープを作る。
イチのアイデアで少し野菜を変えてみた。
「うまいやーん!!」
「おいしい!」
「うまー!」
「うまーい!」
「やっぱり美味しい。」
「にゃー!」
「ブルルルー!」
さっき俺が作った物よりも確実に旨い。
出汁もさることながら、選んだ他の食材もまたいい味を出している。
「流石は我らの料理長だ。」
「イチはすごいなぁ。俺が作るよりすごく旨くなってるよ。」
「うん!うまーい!」
「流石はいっちゃんやな!」
「すごいです。」
「えへへへ。」
みんなの賛辞に照れるイチは年相応の可愛らしさだ。
どこに出しても文句無いな。
いや、常識を確認してからだな。うん。




