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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
トリスタ編
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126 帰着

気が付けば5日も放置してました。

日が経つのは早いですね。

リリアステルさん達が合流して仮設避難所は更に手狭になった。

テントにも入れない人が多々いるが、今日一晩だけなのでこのままいくみたいだ。

陣地から回収した物資は当面必要な食料関係と荷運び用の車以外はストレージリングに入れたままにしてある。

出しても使いこなせないし、この場所を陣地とするかについては戻ってから協議するため、取り敢えずは放置することに決めたらしい。

中にはまた作ってもらえばいいじゃないかと言う意見もあったとか。

カレリーナ様が激怒してブリザードが吹き荒れたとかなんとか。

別に頼まれればやりますけど?

魔力は余ってるからな。

言わないけど、あとでこっそりカレリーナ様だけには言っておこうかな。



これだけの戦力があれば撤退には問題無いだろう。

体力の方も安全地帯で休息が取れたおかげでなんとか移動は出来るだろう。

リリアステルさんが特大のマジックバックを持って来てくれたおかげで、俺のストレージには出番は無かった。

グリフォンを従えたギルドマスターから奪おうなどと考える輩は居ないだろうがCランクホヤホヤの俺なら分からない。

既に避難所にいた兵士たちには俺がマジックバックを持っていることは筒抜けだが、新たに合流した者達には直接は伝わらない。

マジックバックがどれだけ希少なものかが分かっていないが、知られる人数が減るに越したことはない。

バックじゃないから分からないだろうけど。

荷物を全てマジックバックに収納出来たことで、若干無理やりだが、全員が車に乗ることができた。

輓獣(ばんじゅう)の数が足りないが、力のある従魔に複数台を繋げてゆっくり進むことにした。

それでも人が歩いて行くよりは速いはずだ。



リリアステルさんのグリフォン ゴッドヴァルドとクロが3台ずつを牽き、他に4台の10台編成だ。

3台も繋げているのに他の車と同じ速度なのは何故だろう。

全然ゆっくりでは無かったが、順調に帰還のの途につくことができた。

途中で遭遇した魔物達は帯同した冒険者達が瞬く間に倒し、解体し、食事へと消えた。

どの冒険者も動きが良く、流石はCランク冒険者だ。

ヴァルチャー隊長たちは兵士の統率と指示に忙しそうだった。

そんな中で、俺達はのんびりと馬車の旅を満喫したのだった。

先行して活躍したのだからもう何もするな、と言われたので何もしないのが仕事です。

ニートすばらー。




そこから延べ4日をかけて遠征部隊はトリスタの町になんとか帰還を果たしたのだった。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「おそーい!」


町に戻ってきて一番にドーラに言われた言葉だ。

急な出発から戻るのに1週間以上かかったので言われても仕方ない。

ドーラも大して怒っている訳では無く、笑いながら文句を言っているだけだ。

だが、


「遅いから、うちらがどんだけ心配したことか!」

「ドーラちゃん、心配してた?」

「さーちゃん。黙っとき!」


多少なりとも心配をかけたのは事実だ。


「悪かったね。心配かけて。大所帯だったし、途中で抜けるのも難しそうだったから遅くなっちゃって。」

「そうや!心配かけたんだから何かお詫びがあってもいいと思うんよ!」

「はいはい。何が欲しいんだ?」

「タネ!」

「それは自分で考えなよ。」

「考えてるよー!でも兄ちゃんみたいなアイデアなんてそうそう思いつかんのよ。だからタネだけでも何かない?もっとこう胸躍る様なやつ!」

「うーん。何系?生活に役立つとか、武器とかさ。」

「武器は作ったばっかだから、それ以外!工作系!」


工作系と言うことはあまり魔法を使わないメカ系のものかな。

何があるかな?

メカと言えば、自転車?三輪車?

うーん。

そう言えばカレリーナ様達は鉱脈を探しに行ったんだっけ。

採掘に役立つと喜ばれるかな?

ドリル?ショベル?ショベルカー?

あ、サスペンションとか。

荷車の旅は酷かったなぁ。

そう言えば水汲みポンプってあったっけ?

気にして無かったけど、釣瓶の井戸しか無い気がする。

滑車ぐらいなら有りそうだけど、ポンプはないんじゃないか?

仕組みはざっくりしか分からないけど、ドーラなら何とかするかな。

あ、水と言えば濾過器とか蒸留装置とかってあるんだろうか?

塩湖が、多いから掘っても真水じゃ無くて塩水が出てきそうなんだよな。

どうなんだろ?



「兄ちゃん!ドリルが気になる!」

「え?あれ?声出てた?」

「はい。メカがどうとかから。」

「メカってほぼ最初からだし。・・・え?というかそこ?ドリルなの?どっちかと言うと水関係の方がおすすめだけど。」



「なんかロマンを感じる響きやん!あと、なんか聞いたことある気がして。」

「前に話したことあったかな?覚えてないや。」

「ええやん、そんなこと。それよりドーリールー!」

「はいはい。でもドリルについてはイメージと用途だけだぞ。」

「いいよ!そーゆーのを作り出すのが楽しいんやんか!」

「分かったよ。でも、下調べしたら水関係の道具の開発も手伝ってよ。」

「かまへんよー。そっちもお金になりそうやねー。」

「作れたらボロ儲け?」

「作っても量産出来るかどうかが問題かもね。俺とドーラだけじゃあ手が足りなさ過ぎるから。」

「どこかに委託する、とか?」

「秘密が漏れそうだし、その辺が上手く出来そうなら考えようかなぁ。今の所はお金に困って無いしね。シールドの魔法道具はまだまだ稼げるだろうし。」

「そういやそっちの在庫は大丈夫なんかな?」

「そういえばそうだね。また近々戻ってみようかな。」

「カルポに戻るんですか?」

「その内ね。」


イチはまたロドさんに料理を教えてもらえるのを楽しみにしているようだ。

ドーラもミンさんとムンさんに会えると喜んでいる。

ゼンはサーシャにカルポについて説明していて微笑ましい。

時間が出来たら寄ってみよう。


「サーシャは何が欲しい?」

「うぇ!?わたしです?」

「心配かけたのは、ドーラだけじゃないからね。何でもいいよ?」

「わたしは別に・・・。今でも十分貰ってますですし。」

「さーちゃん!遠慮したらあかんで!貰えるもんは貰っとき!」

「そうだよサーシャちゃん。こういう時は遠慮しなくてもいいんだよ。」

「えーっと。じゃあ、薬草の本が欲しいですます。」

「そんなのでいいの?そういった本なら普通に買ってあげるよ?」

「でも道具とかは持ってますし。ちょっと高かったので、こういう時かなって思ったですます。」

「なんて勉強熱心なんやー。かわええやっちゃなー。」

「えっと、えへへ。」



その後、ドーラとサーシャに緊急依頼の最中にあった事を掻い摘んで話して、市長からもお礼が貰えそうだということを伝えておいた。

もちろんサクセスルームへの道についての石碑についても共有した。

これから忙しくなりそうだ。

特に期限がある訳でもないからのんびりやってもいいんだけどね。

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