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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
トリスタ編
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125 ちびっ子合流

行きよりもゆっくりだった為、避難所に着いたのは次の日になった。


「ソーマ様!」


お、おぅ。

天使にお出迎えをされて、緊張から何も言えなかった。

心構えが無いままいきなり面と向かうには心臓に悪い絶世の美少女だ。

まじ幸せで死ぬる。


「お帰りが遅くて心配いたしました。」

「あ、いや、すみません。少し手間取ってしまって時間がかかってしまいまして。」

「そうですか。やっぱりあの辺りにはまだアレがいるかもしれないと思うと心配で心配で・・・。無事に戻って来てくださって本当に良かったです。」

「大丈夫ですよ。何も心配するようなことは起きてないですしね。ははは。」


と笑って誤魔化す。

ブラッドタイガーと戦ったなんて、余計な心配をかける必要はないだろう。

実際、際どい戦いだったし。


「うえっっ!!?ブラッドタイガーを倒したのか!!?あの赤くてデカくて凶暴なトラだぞ!?間違いないのか!?」

「うん!赤くてデカくて凶暴で爪がすごくて赤いオーラ出して強かったよ!」

「ソーマ様の方がすごかったんです!青くて金色でカッコよかったです!」

「うん!カッコよかった!!」


俺の後ろでゼンとイチがルークさんとナルシッサさんと話している声がこちらまで聞こえてきた。

ははは。


「何も心配するようなことは、無かったのですか?ソーマ様?」


笑顔で怒る美少女というのもいいものだ。

うん。

俺は現実から逃避した。


「ソーマ様!?」

「ははは。」


笑っておこう。


「ははは。」

「ソーマ様!!」


うわーい。天使の顔が近付いてきたよ。

すきだー!


「ソーマ様。笑ってないで答えてください。」

「はい・・・。」


最後は全く笑っておらず、流石に怖かったです。

俺はブラッドタイガーを倒したこと、物資は全て回収したこと、少し疲れたのでゆっくり戻ってきたことを一部ぼかしつつ話した。

俺が暴走したことは流石にぼかした。

すごく心配されたけど、今はピンピンしてることを何とか伝えて宥めまくった。

カレリーナ様は怒らせると駄目なようです。

覚えておこう。





避難所に戻ってからは仕分け作業をピコピコとして、必要な物を積み上げる作業をした。

その日の昼を大きく過ぎた頃、やっと町から派遣されてきた救援部隊が到着した。

ギルドからの応援も一緒だ。

水や食料を掻き集めるのに時間がかかったらしく、到着が予定より遅くなったようだ。

ギルドマスターのリリアステルさんも参加していることにカレリーナ様達も驚いていた。

俺はリリアステルさんの連れている従魔に仰天したが、周知の事実だったらしい。

リリアステルさんは俺の驚いた顔を見てニンマリしていた。

ちびっ子が「いたずら成功」とニンマリしているようなものだ。

微笑ましい。


ハッ、殺気が!?


「無事なようで何よりだね!随分早く着いたみたいだね。」

「クロに頑張ってもらったので。速度重視で来ましたから。」

「へー。そんなに速いのかい。うちの子とどっちが速いかねぇ?」

「いや、流石に空を飛ぶグリフォンには敵いませんよ。」


そう。リリアステルさんの連れていた従魔はグリフォンだった。

グリフォンは天空の覇者とも呼ばれるAランクの魔物だ。

それを従えるなんてとんでも無い実力だ。

うちの子たちは良くてCランク。

種族的には、レベルが低ければDランク程度の魔物だ。

Dランクの従魔を従えているテイマーは珍しくはない。

ちょっと腕の立つものなら従えられるランクだ。

テイマーなら誰でも従えられるレベルの魔物はEランクと言われている。

ホーンラビットとかウェアウルフとかの低レベルの魔物か比較的温厚な魔物達がそれだ。

町で荷車を引いていたサイとかトカゲもこの分類になる。

だが、Aランクともなると、もう伝説レベルだ。

グリフォンはワイバーンすら簡単に倒せるだけの力がある。

この人、実は結構すごい人だったみたいだ。

見た目はちびっ子みたいなんだけどな。


「ありがとねー。でも、護衛しながらだったからあんまり早く着けなかったよ。悪かったね。」

「いえ。」

「しかし、これはまたえらいもの作ったねー。何だい?この壁。継ぎ目が無いよ?」

「いやー。ハハハ。」


ここは笑って誤魔化そう。


「まぁ、あとで姫様にでも聞くかな。」


誤魔化しきれない!乙・・・。


「こんな壁よりも、だ。ブラッドタイガーも討伐済ってのは本当なのかい?」

「えーっと・・・。」


なんと答えたものかと考えていると


「本当のことです。実物も確認しましたから。詳しくは後ほど。」

「お、噂をすれば影だねー。」

「ご無沙汰しております。リリアステル様。自ら救援に来て頂けるなんて、思っていませんでした。ありがとうございます。」

「もー、姫様堅いなー。カチカチだよー。これでも心配したんだからね。」

「ご心配をお掛けしてすみません。」

「いいってばー。無事で良かったよ。」


カレリーナ様は何だか緊張しているようでカチカチだ。

そんなにすごい人なの?

テイマーとしてはすごいのは分かったし、ギルドマスターだけど、ちんちくりんですよ?


「ソーマくん。今、すごく失礼なこと考えてない?」

「ソンナコトナイデスヨー。」

「むー。」



「マジかよ!?ブラッドタイガーはもういないのか!?」


救援に来た冒険者にも伝わったらしく、ちょっとした騒ぎになっていた。

ゼンとイチには、あまり話さないように釘を刺しておいた。

イチはまだマシだが、ゼンは何でもかんでも話してしまいそうで怖いからだ。

武器とか闘気とかオーラとか、あまり大っぴらに話すような内容では無い。

そもそもオーラってなんだ?

冒険者の反応は、安堵か半分、落胆が半分、といったところか。

あわよくば倒して一旗上げようとしたのだろう。

無駄な犠牲が出なくてよかったかな。

こんな上から目線で言える程、俺は強くは無いけど。


強さ、か・・・。

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