蠢く闇の影
???視点
「それで?おめおめと引き下がってきたのか?」
トーチ城の謁見室にて、ひざまずいている大柄な太った赤いドレスのオークがいる。
オーグルメはトーチ城に戻り、主君であるモトーチ王子へ戦闘の結果報告を行っていた。
「確かに、私は相手を恐れて兵を引いた…でも決して間違っていたとは思ってないわ!」
「ほう?納得のいく説明をしてくれるんだろうな?俺も役に立つ部下に手を下したくはない」
それは逆に言えば役に立たないと判断すれば容赦なく切り捨てると言うことだ
「恐れながら、私は別に殺されるのは恐くないわ」
そう、いいながら目を閉じるオーグルメ。
その言葉を聞くなり、モトーチ王子は背中から黒い大きな鎌を抜くと大きく振りかぶった。そしてオーグルメへと振り下ろす!
「でも、私と言う優秀な駒をモトーチ王子が失ってしまうことが惜しいと思う」
と、いう言葉を聞き寸前の所で止められる大きな黒い鎌…それで?
と王子は答えを促す。
「南部で会ったギューオンという者は確かに優秀だったわ、そして強かった…しかし、怖いとは思わなかったわ!優秀なだけに何をしてくるかと言うことが、ある程度予測出来たから」
「では、なぜ撤退したのだ?」
「邪魔が入ったのよ…黒髪の美形の男よ、黒い革のコートに黒い革のパンツをはいた」
「ふむ、服装は違うが色欲のインキュバスからも同じ人間の報告を受けている」
「そう、なら話は早いわね…その男はとんでもない魔法を使うわ、あれはアーティファクト、いえ違うわね恐らくモンスターの王が使う計略に違いないわ!」
「なんだと?他の者からは強力なアーティファクトではないかと聞いたぞ?」
「ふん、間近で見た私が間違える訳がないわ!あれは間違いなく計略よ!」
「なるほど…しかし相手が強力な計略を使うと言っても数では押していたのだ、戦いもせずに引くと言うのは、どういうことだ?」
「私だってモンスターの王の計略の凄さは見たことあるわ、オーク族の誇りもある」
その話を聞いたモトーチ王子はくいっと顎を動かした、話を続けろと言う事だろう。
「でもね、アイツの恐ろしい所は何を考えてるか分からないと言うことよ…だってアイツは全く躊躇うことなく牽制がわりに威嚇射撃でもするかの様に簡単に10000近くの命を奪ったのよ!しかも、自分と違う種族のオークとは言え、全く罪悪感を感じている様子は無かったわ。それこそ、遊戯でも楽しむかの様に…いくらでも沸き上がる虫を見るかの様な目だったわ!」
実際に自分が殺した相手は生き返ると思っているのだから、オーグルメの考察は間違ってはいない、それと、この世界に順応して人として大事な物をうしなってしまったのかも知れない…やっていたゲームと似たような世界でチート能力を手に入れたケンシンは何処かゲーム感覚で生きているのかも知れない。
それを聞くとオーグルメの首に添えていた鎌を引き下げ、立っていた位置から斜め後ろの柱に声をかけるモトーチ
「ノーフェイス!いるか!」
頭をかきながら柱から姿を表す男が1人…黒髪赤目の童顔の男だ。
「ハイハイここに居ますよ!やっぱりバレてた?折角あんたを殺せる隙が出来るかと思ってたんだけどなあ」
「お前に頼みたい仕事がある!」




