最後の矢《フィニッシュドアローズ》
「良い考え?言っては悪いが、この状態ではどうする事も出来ないぞ?文字通り万里の長杖ならぬ万里の長城になっているのだから」
そう、水銀で出来た壁が体育館の様な建物の中を完全に区切っている壁になっているのだ。一部の隙もないから弓矢が通る隙すらない。
因みに俺の瞬間移動も、見える範囲のみと言う条件があるために見えない万里の長城の向こうに移動することは不可能だ。
「フッ案ずるな、奴の計略とやらは他のスキルや技を使いながらは出来ないと見た!三つ首竜第三の矢を用いれば奴を倒すことは出来ずとも必ず一瞬は万里の長杖を解除させる事が出来るはずだ!」
とギューオンは答える。
「信じて良いんだな?」と俺は確認する。
「ああ!しかし、この技は体力、精神力の消耗が激しい…射った後は貴様に不死王を任せるしかない」
「当然だろ?信じてくれて構わないぜ?」
さっきとは逆だなと思いながら、俺達は互いに笑い合った。
「ああ、わかった」
と笑顔で言うとギューオンは黄金の弓アジタハーカを床に置き、自分の右手の親指を噛み血を流すと、それを弓に垂らす。
「三つ首竜真の姿を表せ!」
と叫ぶと巨大な金色の三つ首竜が姿を表す、三つ首は各々暴れくるっていたが、サッとギューオンが竜の背中に乗ると、竜の3つ首についた銀色の手綱を
握ると大人しくなる、それを弓を引くように後ろに引くと三つ首は仰け反る様な体制になり、口の辺りが赤く光る、そして
「最後の矢求刺主名射手流」
と言うギューオンの叫びと共に解き放たれた三つ首は前に向いて赤い光の矢を放つ、それらは交わり組合わさると三菱の形になりぐるぐると周り始める、そして金色の矢羽が外周を回っているために赤いホイールに金色のタイヤを付けた車輪の様に見えた。
その車輪は回転すると水銀で出来た万里の長城に向かって突き進んで行く、そして水銀の壁をすり抜ける様に突破すると壁の奥へと向かって行った。
「走れ運命の車輪よ!」とギューオンが叫ぶと、竜達は光り消え、乗っていたギューオンは地面に倒れ込む。
すると万里の長城の中から声がしてきた。
「くっ!なんだ、この車輪は?!くそ、水銀が万里の長杖がすり抜ける!」
「仕方ない、皇帝勅命《朕さんの言うとおり》」
【車輪よ止まって落ちよ!】
と言うと同時に万里の長杖が消えた。
「いまだ!」ギューオンが倒れこんだ状態で顔だけを浮かし叫ぶ。
俺は「絶対王者の時間」
を発動させ、一気に不死王へと接近すると
「目を覚ましやがれ、くそニート!」
と言いながら渾身の拳を顔面にぶつけてやった。
そして時は動きだし、不死王は派手にぶっ飛んだ。




