愛ゆえに
『こやつは朕に攻撃を仕掛けてきた、それならば約定は破られた、かかれいみなのもの!』
「そんな!」
直立不動していたゾンビが俺へと向き直る、今はギューオンの攻撃を防ぎながら不死王の隙をついてやろうと思っていたが、これだけのゾンビに襲われたら…火計を使うか?
いや、無理だ!
そうこう言ってる間にもギューオンに曲刀での攻撃を受け続けている、とてもじゃ無いが火計を射つ暇がない!
『モーモー丸ちゃんよ、朕は戦う気はなかったが、こやつから攻撃されては戦わざるえまい』
「くっ!じゃ僕も戦う」
いくらモーモー丸が強くても、一万体ぐらいは居そうなゾンビの大軍を相手にするのは無理なんじゃ…数は少ないが普通のゾンビ以外にもドラゴンやハイオークと思われる個体もいるみたいだしな。
仕方ない、ここは無理矢理にでも火計を…
「消えろ有象無…」と言い掛けたが
「やらせはせん!」
とギューオンが二振りの曲刀を使い別々の角度から攻撃を仕掛けてくる。双剣を二本とも防御に振り分けねばならず、火計を射つ事が出来なかった。
更にはゾンビ達が襲い掛かってくる、ギューオンの攻撃に比べると緩慢で威力も弱いため基本的に放置しているが、それでもペチペチと少なくないダメージを与えられている。
このままでは、もたないかも知れない…最悪ギューオンを倒すしかないのか?
「ちょっと待ったー!」
こ、この声は?
「うおおー」
と言う雄叫びと共にゾンビの軍団を弾け飛ばしながら何者かが、こちらへと向かってくる。
「ツバコジロー!」
「フッやっと拙者をその名前で呼んでくれたでござるな!」
満面の笑顔で俺へと近づいてくるペンギン侍。
『なぜだ?なぜ朋友達のツバコジローくんが朕の邪魔をする!』
「フッ愛ゆえに…でござる」
『愛だと!?』
「如何にも!朕ちゃんにはたしかに恩義があるし、友達でござるが…拙者は愛を選んだでござる」
『そ、そんな!そもそも全く相手にされてなかったではないか!』
「フッ愛とは与えられる物ではなく勝ち取る物でござる」
「いや、悪いけど俺はノンケだから…」
何か勝手に付き合う流れにされても困るよ、こいつストーカーぽいしさ。
「フフフ大丈夫でござるよ!愛とは痛みを伴う物、先ほどの空の景色で感動した後の愛の鞭めちゃくちゃ効いたでござる、だから最初だけ痛くても拙者と交尾するでござる!」
うわ、さっきの少し根に持ってるよ…そして、やっぱり変態ストーカーだよ。
『くそ、くそ、朕は友達だと信じていたのに!』
「いや、流石に朕ちゃんをどうこうはしないでござるよ!しかし邪魔者は排除するでござる!」
と言うと「物干し竿!」と叫び愛用の刀を10メートル位に伸ばしゾンビ達をバッタバッタとなぎ倒していく。
これで何とかなりそうだ!




