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夢を託されて

その後、俺達は宿を取り一泊する事にした…


そして翌朝、俺はスミスに会った。


壊れた片手剣とグリフォンコート、そしてファラオの乗っていたゴーレムの素材、キングバトルモンキー以外のS級モンスターの素材の一部(アトラさんから報酬として受け取ってマゾーカさん達と分配した)を渡した。


「片手剣とグリフォンコートの補修代に当ててくれ、後は好きに使ってくれて構わない」


「分かった…好きに使わせてもらうぞ」


俺が頷き出ていこうとすると、待て!と呼び止められ黒い皮のコートとレザーパンツを渡された。


「こいつをグリフォンコートの代わりに持っていけ…」


「これは?」


「カインとアベルの父親が使っていた物だ…レッサードラゴンの変異種の素材を使っている、ほぼ、いや並のドラゴン以上の素材と言っていい」


変異種か…通常のモンスターの何倍も強いと言われている物だ。


レッサードラゴンはBクラスのモンスターだが、変異種になるとA、いやS級のモンスターと言っても良い。


「良いのか?」


「構わない…カインが戻って来たらA級の昇格記念にアイツに渡すつもりだった物だ」


「そうか、でも、そんな大事な…」


と俺が言いかけた時だった


「受けとれ!いや、受け取ってくれ…カインはお前に憧れていた、いや好きだったんだと思う」


そこまで言うと、その後は泣きながら


「俺も、もっと強くなってケンシンにふさわしい仲間になって一緒に冒険したいと言っていた。カインの着ていた皮鎧の素材を一部使って補修しておいた…カインの代わりだと思って連れて行ってくれ、アイツの夢を叶えてやってくれ!」


「ああ、わかった」


そこまで言われて断る事は出来ないし、断る気持ちもなくなった。


「セントラルからは、いつ頃戻る?」


「分からない…だが、そんなに長くはならないと思う半月ぐらいかな?」


セントラルまではカマタマーレ港から出ている船で行く予定だ。


徒歩なら10日ほど、かかるらしいが…船なら2日ほどらしい。王への報告やらが、どの位かかるか分からないが1週間も有れば充分だろう。往復の移動を考えても2週間ぐらいではないだろうか?


「お前に依頼がある、必ず戻ってこいよ」


恐らくはノーフェイスの件か?


「ああ、分かってる」


その後、ギルモが店の奥から出て来て、港まで見送ってくれる事になった。


ギルモにスミスの様子を聞くと、昨日は一睡もせずに作業をしていたらしい…ギルモが作った飯も殆ど手をつけず、水とスープだけを飲んでいたそうだ。


「そうか…心配だな」


「うん…でも大丈夫!僕がちゃんと面倒を見るよ」


「そうか、ギルモは偉いな」


ワシャワシャとギルモの頭をサラサラの茶色い髪の毛を撫でる、エヘヘと笑っているギルモ…相変わらず天使だ!これならスミスも大丈夫だろう。


港まで着くとメグリ王子達が待っていた。俺達は三人でジャンボ船と言う禿げたオッサンの船首像が穂先についた巨大な船に乗り込む。


何でもジャンボと言うのはハイマツの先代の王様らしい、アトラさんには全く似てないが…


そして船の上から俺達は手を振る、ギルモは港の先端まで走って追いかけてくれた。


俺達はギルモの姿が、港が完全に見えなくなるまで、ずっと手を振り続けていた。

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