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留守番中の妹が兄のバ美肉アバターで配信を始めた結果、裏で最強の大人たちが命がけの防衛戦を繰り広げていた件  作者: マコPON


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第2話 奇跡の神連携最強の防衛ライン、ここに結成。

第2話です! お読みいただきありがとうございます。

前回、奇跡の「お姫様ごっこ」配信を始めてしまった陽菜ちゃん。

今回は、いよいよ視聴者が増え始め、最初の「身バレの危機」が訪れます。

そして、見守っていたあの3人のおじさんたちに、可愛すぎるあだ名が……?

『えっと……しちはち、ごじゅうろく。しちく……うーん、ろくじゅう……さん?』

カリカリカリ、サァッ……。

静かな薄暗い部屋に、鉛筆の音とプリントをめくる音、そして無垢な少女のつぶやきが響く。

お兄ちゃんが数十万円をかけて構築した超高級コンデンサーマイクは、9歳の陽菜ひなの舌足らずな息遣いすらも、極上のASMR(立体音響)としてネットの海へ配信し続けていた。

【現在の視聴者数:128人】

開始時はたった3人だった同接は、あれからわずか30分で100人を突破していた。

無理もない。サムネイルに表示されているアバター『姫ヶ崎ロゼ』の2Dモデリングは、大手企業のトップVTuberすら凌駕する神クオリティなのだ。目の肥えたVTuberオタクたちが「超大型の新人か!?」と次々にクリックし、そしてその「中身」に度肝を抜かれていた。

【リスナーA】:『なんだこれ。中身、マジの小学生?』

【リスナーB】:『ボイチェン切り忘れの放送事故? いや、環境音的に生声だろこれ』

【リスナーC】:『ガワは数百万クラスなのに、やってることが夏休みの算数ドリルww』

【リスナーD】:『待って、鉛筆の音のASMRすげぇ心地いいんだけど。ガチで眠くなってきた』

困惑、ツッコミ、そして謎のヒーリング効果に当てられたリスナーたちが、静かに定着し始めていた。

『あ、れっくすさんに、ぜろさんに、けんさん! 見てみて、また新しい妖精さんがいっぱい来てくれたよ!』

画面の中の、胸の谷間も露わなセクシーお姫様が、ランドセルを背負った小学生のような無邪気な笑顔でカメラに向かって手を振る。

都内の別々の場所にいる3人の大人たち(Lex、Zero-Code、Ken)は、互いの連絡先など当然知らない。ただの「いちリスナー」として、それぞれが自分の部屋で急増する数字を見て冷や汗を流していた。

(まずいですね……野次馬が増えてきました。変なコメントで彼女を怯えさせる輩が出ないか、常に法律の条文をコピペできる準備をしておかなければ)

エリート弁護士のLexは、キーボードに指を添えて息を潜めた。

(あぁ!? 誰か変なこと言ったら、俺が片っ端からブロックしてやる! もし直接家に行こうとするバカがいたら、俺が物理的に【ポカポカ】にしてやるからな……!)

空手師範代のKenは、マウスを握りしめすぎてミシミシと嫌な音を立てていた。

(手動ブロックじゃキリがない。俺が独自に【パソコン】の通信ログから、悪意ある書き込みを自動で弾くフィルターを組む……!)

天才ハッカーのZero-Codeは、裏で黒い画面コマンドプロンプトを立ち上げ、凄まじい速度でタイピングを始めていた。

彼らは、完全に独立して動いていた。

ただ「この無防備な小学生をネットの悪意から守らねば」という謎の使命感だけが、3人の大人を突き動かしていた。

『ねえねえ、3人とも!』

陽菜が急にマイクに向かって身を乗り出した。

画面の中の美少女アバターが、カメラ目線で真っ直ぐに見つめてくる。

『あのね、れっくす、ぜろ、けん、だと、ちょっとむずかしいから、わたしがあだ名をつけてあげる!』

「「「……あだ名!?」」」

都内の別々の場所で、3人の大の男たちが同時に息を呑んだ。

チャット欄のモブリスナーたちも『ネーミングイベントか?w』と面白がって見守る。

『えっとね! ぜろさんは、さっきパソコンで何かするって言ってたから【ぱそこんさん】ね!』

Zero-Codeは、飲んでいたエナジードリンクを吹き出しそうになった。

「俺が、パソコンさん……? IT業界で『神』と呼ばれるこの俺が……いや、悪くない」

『けんさんは、悪いひとをポカポカにするって言ってたから【ぽかぽかさん】!』

身長190cmのKenは、分厚い胸板を押さえてうずくまった。

「俺が、ポカポカの妖精……っ! くそっ、可愛すぎるだろ……俺の拳は今日からポカポカだ……!」

『れっくすさんは、いっぱいルールを知ってるから【るーるくん】! ルールくんは、学校の先生みたいだね!』

Lexは、高級スーツの襟を正し、静かに天を仰いだ。

「……ルールくん。ええ、素晴らしい。今日から私は、彼女の無邪気というルールのしもべです」

『ぱそこんさん、ぽかぽかさん、るーるくん! これからよろしくね!』

【リスナーE】:『ハッカーとヤクザと弁護士みたいな3人が、クソ可愛いあだ名つけられてて草』

【リスナーF】:『ぱそこんさん(笑)』

【リスナーG】:『ルールくん、響きが完全にどこかの教育番組ww』

3人の大人たちは、完全にノックアウトされていた。

もう「放送事故だから様子を見よう」などという冷静な大人の理性は消し飛んでいた。彼らは今、完全に「沼」の底に沈んだのだ。

だが、平和な時間は長くは続かなかった。

『あーあ、算数つかれたなぁ。ねえねえ妖精さんたち、このお部屋、ピカピカ光るボタンがいっぱいあって面白いんだよ!』

陽菜はふと、お兄ちゃんの机の上に置かれた「小さな四角い機械(配信用デバイス)」に手を伸ばした。

それは、お兄ちゃんが配信画面をワンタッチで切り替えるために設定していた、便利なショートカット用デバイスだった。

陽菜が、その中の『カメラのマーク』が描かれたボタンを、ポチッと押す。

――パッ、と画面が切り替わった。

ピンク髪の美少女アバターが消え、ウェブカメラの映像が「机の上の手元」を大写しにする。

「「「!!??」」」

都内の別々の場所にいる3人の大人たちの心臓が、一斉に跳ね上がった。

画面には、陽菜の可愛らしい小さな手と、回答が埋まっていない算数ドリル、そして机の端に置かれた『〇〇小学校』と書かれた黄色い帽子が、鮮明に映し出されていた。

さらに陽菜が『風景のマーク』のボタンをポチッと押す。

今度は部屋の全景カメラに切り替わった。

窓のカーテンの隙間から、近所の公園の遊具と、特徴的な赤い看板のスーパーがハッキリと映り込んでいる。

【リスナーH(特定厨)】:『待て、今の背景……このスーパー、都内の◯◯駅の近くじゃないか?』

【リスナーI】:『おいおい、ガチで場所バレするぞこれ!』

【リスナーJ】:『帽子の小学校名も見えたぞ。これヤバいだろ』

【リスナーK】:『通報案件だ。誰か家行ってやれよww』

チャット欄が、純粋な癒やしから、一気に「特定班」の不穏な空気に変わり始めた。ネットの泥が、無防備な少女に牙を剥こうとしたその瞬間。

(……!! させない!!)

Lexは、額に冷や汗をかきながら、震える手でキーボードを叩いた。

【るーるくん】:『※警告。現在の映像から特定の場所を推測・特定し、それを書き込む行為は、ストーカー規制法および個人情報保護法に抵触します。当方はすでに全員のIPログを保存しており、特定に関する書き込みを一つでも行った者には、即座にプロバイダへ発信者情報開示請求を行い、民事・刑事での厳格な法的措置に移行します。当方、弁護士です。』

同時に、Kenが荒らしの書き込みを物理的に粉砕(手動削除)しながら吠える。

【ぽかぽかさん】:『住所を特定しようとする奴は全員、俺が裏で突き止めて、お前らの家に直接行って【ポカポカ(物理)】にしてやるからな! 特定書き込みは全部削除だ! 震えて眠れ!!』

さらに、Zero-Codeが自社(セキュリティ企業)の特権システムを不正に経由し、配信サーバーの映像データに直接干渉する。彼はコンマ単位で解像度を弄り、窓の外の風景を「ただの抽象的な光のモザイク」に見えるよう、リアルタイムで強力なフィルターを強制的にかけた。

【ぱそこんさん】:『映像フィルター強制適用完了。これ以上、外の景色は1ミリも映させない。特定班、お前らのPCはすでに俺が掌握している。妙な真似をしたらHDDを焼くぞ』

たまたま見に来ていた100人あまりの一般リスナーたちは、完全に震え上がっていた。

【リスナーL】:『え、なにこの連携……!?』

【リスナーM】:『窓の外が映った0.1秒後にモザイクかかって、同時に弁護士のガチ警告とヤクザの脅しが飛んできたんだけど……』

【リスナーN】:『完璧すぎるだろ。ハッカーと弁護士と用心棒がガチでチーム組んで裏にいるぞ……』

【リスナーO】:『ヒィッ……すいません、特定とかしません、ROMってます……』

奇跡だった。

互いに何の打ち合わせもしていない3人の大人が、それぞれの場所で独立して「自分が止めなきゃ!」と全力で動いた結果、はたから見れば**『完璧に統率された、恐るべき最強のプロ防衛チーム』**にしか見えない挙動を引き起こしてしまったのだ。

『あれー? また画面が変になっちゃった。どうなってるのー?』

陽菜はあちこちのボタンをバシバシ叩き、奇跡的に最初の『お姫様のマーク』を押した。

再び、ピンク髪の美少女アバター『ロゼ』の姿が画面に戻る。

陽菜はふぅ、と息を吐き、悪びれもせずにマイクに向かった。

『あーよかった! お姫様に戻った!……ねえ、妖精さんたち、わたし、宿題終わったらね、お兄ちゃんが旅行にいく前に、冷蔵庫に入れておいてくれた、いちごのケーキ食べるんだ! おなかすいたなー! 早く宿題おわらせよっと!』

『……』

チャット欄が、一瞬の静寂ののち、爆発した。

【リスナーA】:『あざとい……!!』

【リスナーD】:『ケーキ食べたいアピール、可愛すぎんだろ……(泣)』

【リスナーH(特定厨)】:『……特定とか言ってた俺が馬鹿だった。お姫様に早くケーキ食わせてあげてくれ』

【リスナーK】:『おっさん3人ども、お前らが死に物狂いになる理由がわかったわ。俺も今日から全力でこの子を守る』

最初は「放送事故」として野次馬根性で見ていた一般リスナーたちが、いつの間にか「この無垢な妖精を、絶対に守らなければならない」という謎の同胞意識に目覚め始めていた。

3人のモデレーターは、それぞれの部屋で滝のような冷や汗を拭いながら、そのチャット欄の光景を呆然と眺めていた。自分たちが命がけで守っていた「聖域」が、陽菜の無邪気さによって、逆に強固なコミュニティへと育て上げられていく。

(……あっぶねぇ、ギリギリ止められた……。でも、なんださっきのチャットの2人は。俺の映像フィルターと完璧にタイミングを合わせて警告を出しやがった……何者だ?)

見ず知らずの3人は、互いの異常な能力と奇跡の連携に、それぞれ戦慄していた。

かくして、魔界のセクシーお姫様(9歳)の配信は、最強の3人と、それに感化されたリスナーたちによって、今日も極めて危険で、そして極上に平和に守り抜かれるのであった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

お兄ちゃんの便利機材のせいで大パニックになる大人たちと、お互いを知らないのに奇跡の「勘違い神連携」を見せてしまった3人のお話でした(笑)。

特定厨すらも浄化してしまう陽菜ちゃんの無邪気さ、恐るべしです。

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