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116/132

116-エリトvsビッグ3

「まさか私の親友の片腕と魔道具を回収していたのに、あえて報告しなかったとはね。エリト君、残念だ。私はキミに本当に期待していたのに♪」


満面の笑顔で白々しいセリフを宣うザーレ。


「(クソっ!ザーレめ!最初から気付いていたな!俺様はここで用済みって訳か!)」


そう考えながら右手を見る。黒百合は右手に着いたままだったが蛇の形で気絶していた。


「(黒百合!目を覚ませ!殺されるぞ!)」


目を覚まさせるべく右手を叩くエリト。

ギラードはその姿を眺めた後にザーレを睨むと、


「白々しい、何が親友だ。エリトが私の片腕を持っている事を掴んでいたのなら、さっさと回収すればよいではないか。また繋げるのは大変なんだぞ」


「何事にもちょうど良いタイミングと言うものがあるのだよ、親友。エリト君ならこの気持ちを分かってくれただろうがね」


非難めいた事を言うギラードを茶化しつつ、エリトの思惑を擦るザーレ。


「(クソっ!ギラードの片腕をここ一番のタイミングで利用しようとしていたのもお見通しか!)」


歯噛みするエリト。ザーレはエリトの悔しそうな表情を見て満足そうな顔を浮かべると、


「オッホン、では竜人皇様、コイツをどうなされますか⁈」


「分かっていて聞くでない。勇者は一人残らず処刑だ。それは今も昔も変わらん」


竜人皇がそう言い放った瞬間だった。


ドオオオオオオオオン!ドオオオオオオオオン!


エリトが雷の大砲を2発放った!


「ザーレ!動け!」


そう言いながらギラードは素早くザーレに体当たりする。そして左手で雷の大砲を防いだ。


「す……すまない、親友」


「無駄に煽る奴があるかバカもの!エリトは裏切り者としてだが今日まで生き残った勇者なのだぞ!」


情けなく倒れているザーレに怒鳴りながら、取り落とした自分の右腕を探す。右腕はエリトの足下に転がっていた。不敵に笑うエリト。それを見て思わず舌打ちするギラード。


「ほう、判断は早いな」


今の一連の流れを見て感心したような声を出す竜人皇。


「それで生き残って来たんでね」


そう言いながらギラードの右腕を足で踏みつけて確保するエリト。

一見、一矢報いたように見えるが、


「(俺様は……雷の大砲を3発撃った!ザーレとギラードと竜人皇に各1発ずつ。だが竜人皇に向けた雷の大砲は、放つ寸前にマッチの火が消えるかのように一瞬でかき消された!)」


心の中で汗が滝のように流れるエリト。力の差があるのはわかっていたが、ここまで絶望的だとは。


「ならば……黒百合!やるぞ!」


「……はい!お前様!」


エリトが叫んだ瞬間、エリトの右手が手の形から刃先の欠けた小刀に変わる!そして!


ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオン!


凄まじい呪いのエネルギーの奔流が竜人皇に命中する!


ドガドガドガ


ホールが半壊して天井が落ちてきた!濛々と土煙が舞う。その間にバックステップして距離を取り態勢を整えるエリト。そしてそのまま目を凝らす。


煙が晴れた。するとそこには……



上半身が吹き飛んだ竜人皇が立っていた!



「やったか⁈ざまあみろ!」


思わず歓喜の声を上げるエリト。だが……


ぴきぴきぴき……ずずずずず……


風船が膨らむかのように半身が膨らんだかと思うと、動画の逆再生みたいに上半身は再生していき、あっという間に元の美しい竜人皇の姿に戻った。


「驚いたな、黒虹彩剣まで持っていたのか。少し焦ったぞ。今のがオブアイリスだったら余もただでは済まなかっただろうな」


「(即復活かよ!クソっ!)」


汗一つ流す様子もなく復活する竜人皇。それを見たエリトは即座に呪いの小刀を右手に変化させて、足元のギラードの片腕を蹴り上げ空中で掴んだ。そしてそれを先ほどの衝撃波で吹き飛ばされ座り込んでしまっていたザーレに向かって投げつけた!思わずキャッチしようとするザーレ。


「拾うな!ザーレ!」


同じく倒れこんでいたギラードが叫ぶ!だがエリトは素早くザーレに近づくと、隙だらけのどてっ腹に一発パンチを食らわした!そしてそのままザーレを盾にするように後ろに回り込んだ後、両手をクロスして姿を消した。


「ぐほっ!……エリトの奴……!」


そう言いながら倒れるザーレ。慌ててエリトを追おうとするギラード。だが、


「追うなギラード。それより自分の腕を早く拾え」


淡々と告げる竜人皇。それを聞いてハッとするギラード。竜人皇様はギラードの腕を傷つけず回収するためにエリトに反撃しなかったのだと。


「誠に申し訳ありませぬ、私のせいでエリトを逃がしてしまい……」


平伏するギラード、


「良い。黒虹彩剣の前では竜人は赤子も同然だ。それに逃げられるはずもない。そうだろう⁈」


そう言いながらザーレの方をちらりと見る竜人皇。


「はっ、もちろんでございます。手は打っております」


ザーレはそう言いながら少しバツの悪そうな顔をしながら微笑んだ。






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