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111/132

111-準備

「土人形2000体か……シリウスめ、3000体は用意すると言っていたクセに!でも全員、戦士タイプなのはありがたいわね!これなら戦える!」


カルラさんがウキウキで戦士タイプ土人形をペタペタ触っている。


「これが戦士タイプか……」


思わず声が出るイチ。初期型モモさんみたいに体格は大きいが、モモさんは相撲取りみたいな体格だったのに対して、戦士タイプは逆三角形なムキムキな体形で、肩幅も大きくてややスマート、映画に出て来るヒーローみたいな体形をしている。たしかに強そうだ。


「さあ、みんな!迎え石を詰めましょう!」


カルラさんの大号令で2000体の土人形に迎え石を詰めていく。背中に穴を開けて小さな迎え石を入れてまた詰める。ちょっと楽しい。


「これはなんでゲスかねえ⁈」


ゲス郎が声を上げた。すると戦士タイプ土人形じゃなくて、完成前の雪だるまみたいな土の大玉が幾つか転がっていた。


「作りかけみたいね、時間が無かったのかしら⁈イチくんこれ改造で直せる⁈」


「うーん……あまりに雑過ぎて俺じゃちょっと……もう少し手を加えて欲しかったですね。チルル兄さんなら改造できるかも⁈」


「そっかー。チルルが戻ったら改造してもらうかー。一体でも戦力は欲しいからね。ゲス郎、先に迎え石だけ詰めておいて~」


「了解でゲス!って、この土玉めちゃくちゃ硬いでゲスよ⁈イチ様、ちょっと『重力制御』で穴開けて欲しいでゲス!」


「どれどれ⁈うわ!硬い!なんじゃこれ⁈未完成にもほどがある!」


苦労しながら穴を開けて迎え石を詰める。これはチルルでも改造は難しいなと思った。

そのまま皆で迎え石を土人形に詰める作業を行う。そしてその間にモグラ土人形は『大貨物船』の中にあった資材を使って簡単にだけど砦の修復や空堀、落とし穴などを作り始めた。そんなに頑丈なものは作れないけど形だけでも砦が完成すればなんとか戦える。


「チルルは戦士タイプ土人形は作れなかったけど、今回ほど土木作業用土人形で良かったと思った事はないわね」


カルラさんはモグラ土人形たちを指揮しながらそう言って笑った。


しばらく作業をしたあと休憩時間になった。皆で保存食の中にあったクラッカーみたいなお菓子とペースト状の甘いクリームをと取り出し、クラッカーにクリームを塗って軽いお菓子を作っておやつにした。疲れていたから甘いものが沁みる。そしておやつを食べながら、今までにあった事をライミに話した。森の民の集落での戦いやギラードの腕を見つけた話、それを奪われてしまった話、今、森の民の集落は小雪が守っている話なども。


「大体わかりました。そうですか……ギラードの隕石攻撃が使えなければだいぶ楽だと思ったのですけど……」


「ただ、ギラード、かなりの重傷だったから暫くは姿を見せないと思う」


「そうですね、あれを使われたらこんな砦、簡単に壊されてしまいますから……」


ライミと顔を見合わせていると


「ねえ、ライミの能力で各地の領主に協力を呼び掛けたりできないの⁈他にも偵察能力も持ってるんでしょ⁈チルル飛ばすよりその方が良いよ。なんでやらないの?」


フォレスタが聞いてきた。たしかにそうだ。ライミの能力はこの世界における後方支援のチートみたいなものなのに。何故使わないのだろう。そもそもこんなに連絡が取れなかったのは何故……。


そう言いかけて『大貨物船』の中でのジルコンさんの行動と、あの世界に侵入してきた恐ろしい空気を纏った『何か』を思い出した。思い切って聞いてみる。


「ライミ、連絡がとれなかったのは……通信能力が使えなかった理由があるんだね⁈」


「はい……」


「それは竜人皇のせい⁈」


「はい……」


そう言うとライミはガタガタと震え出した。カルラさんがそれを見て小さな火を起こしライミの飲み物を温める。ライミは一口飲むと落ち着いたのか、


「あーしの事を話して良いですか?」


ぽつりぽつりと語り出した。





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