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異世界召喚勇者ドラフト47位で指名されました  作者: 三村守修司
第八章 ドラゴニア対決編
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102/131

102-報酬

「いやあ、まさかあの伝説の土人形を作ってしまうとはね!しかも数を揃えて兵団を作ろうとは!」


ザーレは椅子から立ち上がり、檻の中のクマのように部屋の中をぐるぐる歩き始めた。


「しかも!オリオン直属のあの恐ろしい最強戦士団の魂も使うとは思いもしなかった!これをやられたら我々も大打撃を受ける所だった!いやあ!参った!こんなに恐ろしい思いをしたのは50年ぶりだ!やるじゃないか!」


両手を広げて大げさなくらい感動を伝えて来る。ザーレは……煽りではなく本当に感嘆しているようだった。こちらに敵意がほとんど無い。それどころか新しいおもちゃを見つけた子供みたいなキラキラした瞳をしており、この感動を誰かに伝えたいという感情が迸っている。


だが、


「まあ、それも無駄だったがね。これを見たまえ」


ザーレはそう言うと、懐から液体の入った小瓶を出した。よく見ると液体は光っている。


「(なんだあれ⁈香水みたいな瓶だけど、中の液体は光って……動いて……ん⁈)」


イチは気付いた。あれは液体じゃない。


光る小さな粒が大量に詰まっている。その密度が高すぎて液体に見えたのだ。その光る小さな粒は良く見るとフワフワ浮いている、まるで蛍の様に……。


ハッとした。


「それ……!魂じゃないか!」


「ホウ!わかるのかね!優秀優秀」


イチの叫びに感心するザーレ。そして、


「良い物を見せてあげよう。アルジャくん出たまえ」


そう言いながら小瓶の蓋を開ける。すると小さな魂が出てきた。続けてザーレは今度は懐から赤い巾着の様な袋を出した。中に何か生き物でも入っているらしくバタバタと動いている。


「(なんだ……⁈何が入っているんだ⁈)」


イチがそう思った時だった、



ぐしゃ



ザーレが巾着袋を握りつぶした!



キ――――――――――――!



断末魔のような鳴き声が上がり、袋は動かなくなった。そして袋から中身を出す。中身は……ぐちゃぐちゃになったネズミのような生き物の死体だった。


「きゃあああああああああああああああああああああ⁈」


それを見たリコが悲鳴を上げる。その悲鳴を聞いて申し訳なさそうな顔をするザーレ。


「おっと失礼、領主様クラスのお嬢様の前で汚い物をお見せしてしまったね⁈ああ、そうそう異世界人の勇者イチくんはご存じないかもしれないから説明すると、コイツはズーミと言って家の柱を齧ったり、畑の作物を食い荒らしたりする害獣だよ。だから見かけたら殺す一択だから気にする必要はない。それより見て欲しいものがあってね、こいつを使って……」


そう言うとザーレは小さな石……おそらく迎え石を、をズーミの口の中に無理やり押し込んだ。

そして、


「アルジャくん、入り給え」


そう魂に命じた。すると、魂はフワフワとズーミの死体の中に入った。すると身体のあちこちが脈動して……蘇った!それどころか、


「ズーミが二本足で立っている⁈」


思わず声を上げるフォレスタ。その反応を見て嬉しそうな顔をするザーレ。


「びっくりしたかね⁈だがこれだけじゃないぞ⁈アルジャくん、戦いの型を披露したまえ。その後はこの私に服従せよ」


ザーレが命じると、ズーミはまるで拳法の型の様な演舞を見せた、突き、蹴り、小動物なのに達人のような動きだ!そしてその後、ザーレの前に出て腹を見せて転がった。ペットがよくやる服従のポーズだ。


その直後だった、


キ――――――――――――⁈


ズーミはまた悲鳴を上げ、血を吐きながら倒れ……動かなくなった。そして先ほどの魂がズーミの中から排出されてフラフラと小瓶の中に戻って行った。


「ふむ、やはり我々の技術ではこれが限界か。実は我々は『魂の蘇生結晶(レイヤール)』を使って出た魂の残りカス、特に強者の魂を回収して使い道が無いか研究していてね、ぴちぴちの死体の中に入れて動かすくらいはできるようになったんだが……すぐにダメになってしまうのだ。実に勿体ない」


なんてことしやがる!そう思っていたら、カルラさんが顔を青ざめ唇を震わせていた。今にも倒れそうだ!


「もう気づいたと思うが今の魂はオリオン戦士団の一人『火昆のアルジャ』のものだ。強者の魂は我々が全て抑えてある。君たちには渡せないよ。残念だったね」


自信たっぷりに絶望的な事実を告げるザーレ。俯くカルラさん。それを見て満足したザーレは更に続けた。


「俯くのはやめたまえ!君たちは我々にはできなかった強い戦士の魂の有効活用法を確立しているんだ!これは本当に素晴らしい事だ、胸を張りたまえ!そしてここからが本題だ!」


ザーレはビジネスマンのように語り出す。


「君たちの土人形兵を我々に譲渡してくれないか⁈それによって罪を許そう!いや……むしろ功績を讃えるべきだろうな!そこで君たちに辞令を与えたい!」


「まずは魔女カルラ、キミは竜人の研究所で予算無制限で研究できるようにしてあげよう!一生研究所の外からは出られないが最先端の研究を無限にやれるんだ!悪い提案ではあるまい!」


そしてザーレは今度はフォレスタとリコの方を向くと、


「そして森の民の長の娘フォレスタ、君は本当に美しい。君に求婚する人間の権力者は沢山いるよ!彼ら全員と重婚してくれたまえ!そうすれば竜人社会に多額の寄付が集まるからね。ちょっと身体が保たないかもしれないが若いからなんとかなるだろう!なあに、森の民の集落の安全は保証するよ⁈少しばかり税金は高くなるかもだが!」


「そしてワーミ領の若き領主リコ殿!虫も殺せなさそうな見た目なのに素晴らしい行動力だったよ!正直感動した!君には我が屋敷の使用人をやってもらおう。元領主の使用人!華やかじゃないか!ワーミ領の領主との兼任は無理だろうから、それは降りていただく。次の領主は……エリトくん、君がやるかね⁈」


突然話を振られて面食らうエリト。だが、すぐに笑顔になると、


「え⁈私ですか⁈私みたいな異世界人が領主に⁈感動です!ありがとうございます、ザーレ様!」


リコが必死で守ってきたワーミ領をよりによってコイツに⁈こ……この野郎!全身が総毛立って今にも飛び掛かりそうになるイチ。


その姿を見たザーレは、今度はイチに向かって『最後まで話を聞きたまえ』という手振りをした。


「そして勇者イチ。我々を相当苦しめてくれた怨敵だが、その戦いぶりは称賛に値する。何より土人形兵を手に入れるための下地作りをしてくれたようだ。だが困った事にこの世界に君の居場所はない。だが、素晴らしい仕事には最高の報酬で返さねば!が私の信条でね、そこでだ!」


ザーレはイチを指さすと、


「勇者イチ、君は元の世界に帰してあげよう。『魂の蘇生結晶(レイヤール)』を手土産にね」


凄まじい報酬を提案してきた!



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