101-提案
カルラさんが門の前まで出向くとエリトは門の前でニヤニヤしながら立っていた。
「(一人⁈いや、あの蛇がいるから二人か、ならいまのうちに……)」
カルラさんは心の内を見抜かれないように無表情を繕いながらエリトと会話した。
「これは……勇者エリト様、今日は何の御用でしょうか?」
「あーあーあー、そう言うの良いですから!全部調べはついてますので!もうすぐザーレ様が来られるので一緒にお話ししましょうか!イチやそのお仲間も一緒に!」
「ザーレ様が⁈」
「(来る時はいつも事前に日時を指定してくるザーレが⁈これは大事になっている⁈)」
軽く動揺するも表情に出さないように繕うカルラさん。
しかしエリトはそれをからかうように次の言葉を選ぶ。
「ええ!良い話があるみたいですよ!それと……」
エリトはカルラさんの耳元に顔を近づけそっと囁く。
「この周辺はすべて竜人兵に囲まれているので。無駄な抵抗は無しでいきましょうね」
「―――――――――――――――――――――!」
無言のカルラさん。エリトはそれを見て満足そうに笑い、
ドーン!
上空に雷の大砲を1発打ち上げた!
「さあ、ザーレ様を待ちましょうか!」
エリトはそう言った後に、イチのいる部屋の方に向かって
「じゃあ後でね~!イ チ く ん ♪」
そう言ってウインクした。一連の流れを見て、
「イチ様……」
隠れて見ていたリコが不安そうな声を上げる。
歯噛みするイチ、だがどうする事も出来ない。
しばらくすると、豪華な装飾のスーホ車が現れ、館の前に止まり……中から竜人貴族、ザーレが現れた。
ザーレを館の中に案内するカルラさん。ザーレは嬉しそうに大部屋に入ると部屋の中を見回し、
「やあ!素晴らしい君達!竜人の歴史上、君たちほど貢献した人間はいないだろう。良い話があるんだ!さあ、中で話をしようか!勇者イチくんにワーミ領の領主様にグミルの森の長の娘さんもご一緒に!」
大声でそう宣言した。やはり出るしかない。イチたちが渋々奥から出て来ると、ザーレやエリトは満足そうな顔をする。
そして席を囲んだ。
カルラさん、イチ、リコ、フォレスタとザーレとエリトの計6人で卓を囲む。チルルとゲス郎は隠れているが、家の周りを駆けつけた竜人兵が囲んでいるため逃げられない。
「(この状況、さぞかしエリトは上機嫌だろうな、クソ!)」
イチはそう思いながらエリトを睨みつけたが……意外な事に苦笑いしていた。
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定期報告のためにエリトが『宝竜閣』へ赴くと、なにやら慌ただしかった。
兵士を捕まえて確認すると、ザーレは5日前に魔女カルラの家の近くでスーホ車ですれ違った竜人たちを気にしていて、調べさせていたらしい。すると、どうも彼らは魔女カルラの家から戻っていないんじゃないかという結論になった。ちょうど同じタイミングで、森の民の集落で戦った敵の中に土人形兵がいた事を聞いて驚いたという。
「昔押収した100年前の勇者オリオンの遺した技術書の中に、迎え石を使った土人形兵の記述があった。嫌な予感がして迎え石は回収していたんだが、動いた土人形兵が出たと言う事は、誰かがその技術を復活させたと言う事だろう。迎え石に魂を入れる技術を持つ人間はそう多くない。そうなると魔女カルラは重要参考人だ。家宅捜索も視野にいれないといかん」
との事。それを聞いたエリトは、
「(あ、もう駄目だ。バレた。ならば、せめて手元の情報を出して手柄にするか)」
そう思い、魔女カルラとイチたちの情報をほぼ(黒虹彩剣のかけらとギラードの右腕の件を除いて)ザーレに伝えた。ザーレは目を丸くして、そのあと大喜びをし、エリトに最高の報酬を出すと約束した。
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「(イチたちの破滅は悲願だったんだが……俺の野望の為にもう少し働いて欲しかったんだよな。まあ贅沢は無しか。とりあえずイチたちの破滅のネタで地方領主にでもなって、黒虹彩剣オブアイリスを復活させて、20年くらいかけて王になるとするか)」
エリトはそう思い直し表情を整えた。
「さて、ここからが提案だ。話をしようか」
ザーレはにこやかに話し始めた。




