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異世界召喚勇者ドラフト47位で指名されました  作者: 三村守修司
第八章 ドラゴニア対決編
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100/129

100-訪問

イチたちがカルラの家に着いて5日経った。


毎日の朝から晩までの作業で既存の土人形の改造は何とか終わった。その合間を縫ってイチはオリオン斬り、リコは新しい武器や魔法の特訓、フォレスタはシリウスさんの遺したかもしれない土人形の行方探し、ゲス郎は雑用、それと迎え石を細かく砕いてシリウスさんの土人形が見つかった時のための準備をしていた。眠りそうになると無理矢理回復魔法をかけられて働かされた。お陰で間に合ったけどかなりきつかった。


そして現在、


地下の大空洞でイチとチルルとカルラさんがオリオン斬りの特訓を行っている。ずっと素振りをしていたのだろう。イチの全身から汗が滝のように流れている。時々、チルルが『重力制御』で作った土人形を動かして、実戦っぽい特訓も行っているようだ。


「はっ!」


逃げ回る土人形にイチがオリオン斬りを繰り出す!……が的の中心に当たらず半端な切れ方をする。それを見て感想を述べるカルラさん。


「土人形の改造はなんとか間に合ったみたいだけど、オリオン斬りがね……イチくん、もう少し精度上げられない⁈」


「すみません……」


カルラさんとイチが同時にため息をつく。特訓のお陰でオリオン斬りは時々出せるようになったのだが、発動率はたったの2割程度なのだ。


「威力は凄いけどこの成功率ではねえ……」


「実戦ではここぞという場面で使うので確実に出てくれないと……失敗するとただの上段斬りで終わってしまいますから、一転してピンチになりかねないのですよね。カルラさんは過去に見た事あるんですよね?本家本物のオリオン斬り」


「アタシは剣士じゃないから詳しい事は言えないけど、完全なオリオン斬りじゃないのはわかるよ。アタシが知っている先生のオリオン斬りは相手をゼリーみたいに真っ二つにするだけじゃなくて、一瞬で息の根を止めていたからね。回復すらできないの、文字通りの意味で一撃必殺」


「やはりそんな感じですよね『あ!今出せた!』と思った時でも威力に大小があるのはわかります。今の所最高に上手くいったときで出力30%ってところですかね……」


あちこちに転がっている新規の的用の土人形に目をやる。半端に切れている者もあれば、砂のようになっている物もある。砂になったのが成功例で、成功した場合は土人形が『切れる』んじゃなくて『溶ける』ように砕けるのだ。


カルラさんとイチがまたため息をつく。するとチルルが飛んで来て口を挟んできた。


「それだけじゃない、お前のオリオン斬り、ただ逃げ回るだけの土人形の中心にすら当たっていない。あの剣速じゃとても実戦じゃ当たらないぞ。オリオン斬りを使うのは『アクセル255』発動時だけにしておけ」


「それはわかっているんですが……」


『アクセル255』発動時には筋力や速度が上がるのは良いのだが、上がりすぎて細かい精度が出なくて型が崩れてしまい、まともなオリオン斬りが出せないのだ。


「もう少し時間があればモノに出来そうなんですけど」


「弱音はいてる時間があったら剣を振れ!桶頭!」


「またあ……その名前で呼ぶのやめて下さいよ兄さん」


「お前こそ俺の事を義兄さんって呼ぶな!桶頭!」


そう言うと『重力制御』で土球や桶が飛んでくる、それをひょいひょい器用に躱すイチ。


「―――――――――この~!逃げ回るのだけどんどん上達しやがって!」


チルルとイチの追っかけっこが始まる。それを見てケタケタ笑うカルラさん。


「あっはっは!本当に貴方たち仲良しになったねえ!イチくん上でご飯にしよう!後でアタシが回復させてあげるから、ケンカと特訓はその後ね!」


「カルラさんあざーす!メシだメシ、イエーイ!」


「こら!桶頭!話は終わってないぞ!」


笑いながら階段を上るイチとチルル。それを見てすこし優しい顔をするカルラ。


「久しぶりだな、この感じ……チルルとアタシ、そしてイチくんか……」


カルラは遠い目をした。今までの30人の連れ合いとの日々が脳裏に浮かぶ。強い人、優しい人、ちょっと変だったけど楽しい人。つらい時もあったけど、幸せな日々もたしかにあった。


「(今度は……上手くいくと良いんだけどな。こんな時間がずっと続いてくれればよいのに)」


そんなのは無理だと思っても、祈らずにはいられない。そんな事を考えながら階段を上り、食事部屋に上がるカルラ。食卓にはスープとパンシャリカンがすでに用意されていて良い匂いをさせている。


「あら!美味しそう!今日はリコちゃんとフォレスタちゃんの二人が用意してくれたのね!イチく~ん二人とも大事にしなさいよ~⁈もちろん ア タ シ も♪」


「あはは……大事にします」


「イ……イチ様⁈」


「言質取ったぞ、イチ!」


顔を赤らめるリコ、男友達の様な気安さでツッコむフォレスタ。食卓に明るい笑い声が響く。すると一足遅れてゲス郎が部屋に入ってきた。


「アッシも働いているんでゲスよ!もっと大事にして欲しいでゲス!迎え石の選別も終えたし、今だって変身しておつかいして来たんでゲスよ!大体こんな町はずれに家があるから町まで出るのが大変すぎるでゲス!」


「運動になって良いじゃないか、ゲス郎。」


チルルの返しに皆が大笑いする。


「ヒドイでゲス!でも今日は歩きやすかったでゲスね。外に出て戻るまでに竜人に一人も出会わなかったでゲスからね!」











空気がピンと張りつめた。










カルラさんが、窓の側に来て隠れながら外を伺う。


「鳥も……蟲も……全然いない」


カルラさんの家の周りには監視のためにコオロギみたいな索敵蟲が放されているのだ。それが全く鳴いていない……いや物理的に存在しなくなっている!

イチは翠亀剣を抜くと、部屋の中と窓の外をゆっくりと刀身に映す。何も怪しい物は映っていないようだが……。





いや、待て。





庭木の枝の一本が枝じゃない!蛇になっている!

そして見た事のある蛇だ!





「あの蛇……エリトの側にいた奴じゃないか!」


アイツがここにいるって事は!エリトがどこかにいるはず!


「あら、バレてしまったでありんすね」


そんな声がした瞬間だった。


「こんにちは~どうもイチく~ん!家庭訪問の時間だよ!」


外の門からエリトの声がした!


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