No.29 内部潜入
今回は、途中でかなりホラーというか、人によっては精神的にキツい話になりますので、だめな方は、少し進めてお読み下さい。
クリス視点です!
ヴァッカニアから離れた後、僕達はレヴィアタン内部に潜入した。
と言っても、かなりの広さがあるため、手分けしてめぼしい物を探すにはやはり、人員的に足りない。
それでなくてもヴァッカニアの中を手薄にする事も出来ないため、仕方なく三人にしたが…
「…リュストゥングが二機で入っても、まだ歩けるとはな…」
ヘルドの声を聞いて、頷く。
「まだ、此処はリュストゥングでも入れそうな通路ですからね。暫く行けば、人でしか行けない場所もありますよ」
僕は、ヘルドと会話をしながら辺りを端末で探し出した。
ー…この先に行けば、多分リュストゥングを置いて僕達が徒歩で行かないと行けない場所がある…ー
そうして、あれやこれやと端末で探すと、やっと見つけた。
「船長、見つけましたよ…此処から徒歩です」
その、空間はホールのように丸くなっていながら、まだ後何機か入れそうな空間だった。
……恐らく、此処で機体の訓練などしていたのだろうと想像できた。
浮かんでいるリュストゥングの足元の下から、小さな通路のような…おそらく、機体から出なければ入れない場所だ。だけど、リュストゥングを置いとけるだけの幅はありそうだった。
リュストゥングを、その通路付近に置き、一応特殊なワイヤーで飛ばされない内容に縛って貰いリュストゥング用のナイフを輪にしたワイヤーに、刺して貰った。
「…これでよし…さて、行くとするか…」
船長の声で僕達は更に奥に潜入する。
奥に潜入し、目の前の扉を開けると……
そこにいたのは、夥しい白骨化した、人達だった。
辺りは暗く、ライトを当てれば、白衣を着た者や軍服を着たものそれぞれだ。
「酷い有様だな…」
「恐らく、白骨化したのは餓死したのかそれとも……」
「集団自殺か、閉鎖空間で起きる、殺し合いのすえの末路か…とりあえず、先に行こうか」
そして、此処よりも其処まで多くはないがやはり、至るところに白骨化した死体が転がっていた。
女性と思われる服を着た者、
一回り小さいのは子供なのか……
様々な部屋に入り、進む。実験室には、どうやら非人道的な事もしていた様子だ。
古くなり、起動しなくなった機械には実験台の上に人が乗っている。そして、他にも怪しい薬などが入っていた。
「この薬は、実験体に使った見たいですね…」
……どうやら、此処は只の戦艦だとは言い切れない、何かがありそうだ。
そうして、暫くして独房室に行けば……
「…此処も、か……やっぱりな…」
船長の溜め息が聞こえてきた。
牢屋の中は捕らえられた人がベットの上にいたり、その場で倒れていたり…特に、収穫はなかった。
「流石は幽霊船だな…」
ヘルドの声に、次は、此処の艦長室に向かって歩いた。
艦長室を開けると、座っているままの艦長だった者が崩れ落ちた。
そして、その中にかなり古い形の端末機がある。それを見て、拾い上げた。
「起動、出来そうか?」
「…えぇ、古くで壊れてもおかしくないのに動かす事が出来るなんて、此処は、やっぱり普通じゃありませんね…」
あまり、長居をするのは良くない気がする…僕は、それを起動すると……
そこからは、日誌のような物がデータとして残っていた。
中には、就任した艦長の言葉があった。
“今日、華々しいこの艦が遂に、宇宙に上がる…これは、良き日だ。これで一気にこの戦争を我々の勝利で終わらせる事が出来る”
“やはり、レヴィアタンは強い…今日は敵の艦隊を三隊も沈めた…これは、勝利も目前である!地球に帰れば、我々は英雄として歓迎されるのだろう!”
“今日は、捕虜達を捕らえたが…さて、捕虜達には研究室で実験体となって貰おうか…何せ、我々は勝者、捕虜達は敗者なのだから”
“このレヴィアタンは強すぎる…今日は敵の攻撃も殆ど効かない…我ながら、この艦は恐ろしく思う”
“遂に、このレヴィアタンで勝利した!!これで地球側から帰還を貰えれば、我々は英雄だ!!”
“……何故、帰還命令が来ないのだ…?戦いは、終わったのだぞ…何故だ…”
“まだ、帰還命令が来ない…あれから半年も経つ…そろそろ食材が無くなりそうだとのこと…それなら捕虜に食事を出すのを禁止しろ命じた”
“一人の部下が捕虜に食事を出したと聞いた…その部下を、命令違反で捕虜共に殺すように言った。何をしているのだ、その部下は”
“あれから度々命令違反をする輩いたが、全員始末するとすれば、皆大人しくなった…これで良い”
“捕虜達が全員死んだと聞いた。だから、どうしたというのだ?敵なのだから、仕方あるまいに”
“今日から一年…食糧も尽き掛けていた…中には、絶望して自殺をはかる者もいた。だが、これで食糧が持つなら仕方ない”
“今日、私のやり方に反発をした者を殺した。人が少なくなればなる程、食糧が持つなら…仕方ない”
“泣き叫ぶ、若い女を艦長室に連れ込んだ。私の相手をするんだ、有り難く思え”
“今日、遂に食糧も底をつく寸前だと言われた。私は、腹が立ち、その男を殺した”
“私がその男を殺したぐらいで騒いでいた奴らも殺した……これで、私は生き延びられる”
“今日、私の相手をしていた女が自殺した…そろそろ飽きたからちょうど良かった”
“今日から五年経った…気がつくと、私独りになった…だからといって問題はないだろう”
“食糧も尽き、腹が減る……目の前の、モノを口に入れた…食糧は、まだついてないじゃないか”
“独りになり、辺りを見回せば誰もいない…何故、誰もいない…?”
“嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!独りでいるのは嫌だ!!何故、誰もいないんだ!?独りは……嫌だ……心が、孤独感でいっぱいになる…何故…こんな、目に…帰りたい…帰りたい…”
“…地球に帰れば英雄になれたのだ、それなのに……もう私は、だめなのだろう…”
“今日、私がレヴィアタンに就任した日だ…この日を最期に、私は死ぬことを選ぼう…確か、銃が後一発あった…それでも死ねないのなら、喉をナイフで突いて死のう……これで、やっと…楽になれる……”
此処で、日誌は終わっていた。
「……独裁故に皆殺しにし、そして誰もいなくなり今度は孤独になり死んだのか」
船長の言葉で、 何ともいえない雰囲気になる。
船長の言っていた通り、この艦長の人となりは良いとは思えないが、哀れには思う。
「追い詰められれば、人は何をするか分からないからな…とりあえず、そのデータは置いていこうか…余り、長居したくないからな…」
頷いて、船長室から出た後…僕達はこの後どうするか話し合った。
「もう一度、ヴァッカニアに戻るかそのまま、機械室に進むか…どうする?」
「…そうですね、取りあえず機械室に行きましょう」
「機械室に行って何もなければ、ヴァッカニアで此処から出るようにするか?」
「そうしましょう、では、機械室に行きましょうか!」
そして、僕達は機械室に向かった。中は、やはり当時の技術を詰め込んだだけあるが、今では其処まで珍しくない。だけど、代用品として何点から貰い、メインルームを通って帰る見積もりだった。
その時、メインルームのモニターがいきなりついた。
ー…何もしていない筈なのに、どうして…ー
古く、使い物にならなくなり只浮遊するだけの戦艦が映し出した映像には……
「………ナナミ!?」
「ナナミさん!?」
「…どういう事だ…」
ナナミさんが、見知らぬ男と一緒にいる映像が流れていた……。
彼女は、気絶しているのか…男に抱き抱えられたまま大人しくしているようだった…。
船長の端末から、音が鳴る。急いで船長がそれを作動する。
「……ミュエル!ミュエルか?!」
「船長!!」
ミュエルの端末からは、アニーの声が聞こえた。
「お願い!早く来て!!ミュエルも皆も…サンダも…アイツに…!!ナナミが…」
泣きながら、船長に必死に伝えようとするアニーの声は、僕達の予感を決定付けだ。
「……ナナミが…私を庇って、攫われた!!」
アニーの、その声に僕達は持っていた物をその場で捨て、ヴァッカニアに戻るためになるべく早く急いで…走った……
というわけで、急展開来ました!!ナナミさん、攫われました。そして、何故気絶をしているのか…それは次回、明らかに。
今回の、艦長の話ですがこのレヴィアタンが何故、帰還命令を出さなかったのかは、レヴィアタンの力が強すぎたため、人が乗っている状態で放置しました…。反旗を翻せば良かったのですが、そうしなかったのは、艦長が国を盲目的に信じ、人の言葉に耳を傾けなかったからが理由ですね。艦長がダメになっていくシーンは、自分でも気が重くなりました……
それでは!




