No.22 私の一日
今回、最初と最後が割と甘いと思います。
随分と、懐かしい夢を見た…ー
私は、ぼんやりと目を開けて体を起こそうとすると、目のを開けた…そして、
目の前にいる、レイクスさんがまだ眠っていた。
レイクスさんは見たところとても良く眠っていた。つまり、ぐっすりと。私は、布団をレイクスさんの体に掛け、着替えるために起きあがろうとすると……
右手を掴まれて、そのままレイクスさんに引っ張られてしまい逆戻りしてしまった。しかも、後ろからではなく、真っ正面から抱き締められてしまい、身動きがとれなくなってしまった。
ー…レイクスさん、また…寝ぼけてるんですか…ー
暫く、一緒に寝ていたけれどこう言うことは初日の時以来、しかも今度は前を向いて寝ているので、徐々に頭が混乱してきた……顔も、熱くなってきた。一向に目を覚まさないレイクスさんの顔を、見てみた。
ー……閉じられた、普段は開けられている琥珀の眼。
ー……頬から耳まで掛けた傷痕。
ー……少し、癖っ毛のある普段は一つに結ばれている茶色の髪の毛。
そしてよく見ると顔立ちはとても整っていてだけど、今までの経験を象徴するような、どことなく貫禄のある、顔付き。
ー…やっぱり、レイクスさん…格好いいなぁ…改めて見てみて、そう思う…ー
ずっと見ていると、レイクスさんの眼が開いた。そして、いつものイタズラをするような、顔をしながら私に笑いかけて、
「…おはよう、ナナミ……随分、真剣に人の顔を見て……どうしたんだ?」
「…え…いつから……気付いて……」
「…さっきまでは寝ていたが……そうか、そんなに見ていたのか……」
私は、どうやら…カマを掛けられたようだった。そのまま、口を魚のように開けたり閉めたりしていると、レイクスさんは成功したような笑顔で、私から離れた。私は、気を取り直すように咳払いをして、顔が熱いのはこの際ほっといて、
「お……おはよう、ござい、ます……」
と挨拶をするとレイクスさんは、あぁ、と返してくれた。
着替えをするために、部屋から脱衣所に行く途中、少し胸が速くなったような、気がした。
そして、私はいつも通り、料理長の手伝いをしていると…
「ナナミ、おはよう」
「ランシスさん、おはようございます」
ランシスさんが、食堂に来ていた。いつもは遅くて皆がいなくなった時に来るので少し珍しくてちょっと驚いた。そして、私を見るとランシスさんは、ため息をはいて、
「…この様子じゃ、大丈夫そうだな…」
「…え?」
「何、昨日襲撃を受けたと聞いてな…一応、様子を見に来たんだが……まぁ、もし何かあるなら、医療室に来い。見てやるから。」
ランシスさんは、昨日の事で私の様子を見に医療室からわざわざ来てくれたようだった。私は、
「…今のところ、大丈夫です……ありがとうございます…」
「…何、船員の心配をするのは医者の勤めだ。気にするな…さて、せっかく来たんだ…料理長、飯を頼む」
そういって、サンドイッチを食べて、医療室に戻っていった……。
ランシスさんは、お医者さんだけあって皆さんの体調を気遣ったり、こうして見に来てくれたりする。此処に入ったばかりの人をとても気に掛けてくれる事を教えて貰った。
最初は、少し近寄りがたい感じがしたけれど、こうして一緒にいて実はとても優しい人だと知った。だけど、どうしても言い方がぶっきらぼうになるため、何だか損をしているなと思ってしまう。……余計なお世話だと思うけれど……
そして、今度は格納庫で皆さんの手伝いをする。と言っても、足りない部品を持ってきたり掃除をしたりする。それが終わると、
「お疲れ様でした、ナナミさん」
「クリスさん、お疲れさまです。」
クリスさんに声を掛けられ、私も返事をする。そして、
「そういえば、明日、火星を発つみたいですよ。」
「え、もうですか?」
「はい、今回の目的も達成しましたし、補給も出来ました。今日はヴァッカニアの最終チェックをして、異常がなければ明日の朝早くに行く予定ですね。」
「…そうなんですか…」
そう言って、クリスさんは仕事に戻って行った。私は、一通り終わらすと、そのまま汚れてしまった作業着から、ミュエルさんに作って貰った服に着替えて、今度はシュミュレーター室の掃除をする。そして、そこには、ヘルドさんが座っていた。
「…ナナミか…おはよう」
「おはようございます…ヘルドさん」
どうやら、終わった様子のヘルドさんは席を立つとそのままシュミュレーター室を出ようとして、私の頭を軽く、優しく叩く。そして、何か納得したように頷いて、
「良かった。元気そうだ。」
そして、少しだけ微笑むと私の頭を撫でてシュミュレーター室を後にした。
ー…どうやら、ヘルドさんも、心配してくれたようだった。私は、既にいないヘルドさんにお辞儀をした。
それが終わり、食事をしに行くと他にも色んな船員の人達にあった。挨拶をすると皆も返してくれる。食堂にたどり着くと、
「あ!ナナミだー!」
「こんにちわ、ナナミさん」
「ナナミ!こっちの席、空いてるぞ」
アニーちゃん、ミュエルさん、サンダさんが私に気付いて声を掛けてくれる。実は、私はこの三人と一緒に食べることが多い。アニーちゃんの、楽しそうに話す内容にサンダさんも楽しそうに返す。ミュエルさんは、穏やかに微笑んで、相づちをうって、偶に言葉を出す。私もアニーちゃんの話に聞いて、返す。これが、私と三人のやりとり。
食事が終わると、私はこの後メインルームの掃除をする。そして、その後はバスルームと脱衣所、それからトイレの掃除が終わった後は、もう一度点検してから、皆さんからいつもは足りない物を聞いたり、自分で足りない物を付け足したりする。
今回は、火星で補給をしたから大丈夫だと思うけれど、もう一度自分で確認する。
確認が終わったら、夜ご飯までに洗濯を洗う。その間、私は皆さんと一緒に食事をする。
「……ナナミ、明日のこと聞いたか?」
「はい、明日火星を発つんですよね?」
「そうだ、誰かに教えて貰ったのか」
「クリスさんが、教えてくれました。」
目の前に、レイクスさんが座って一緒に食べる。忙しいとき以外は食堂で一緒に食べることが多い。そして、時々話しながら食べ終わり、レイクスさんは食堂を後にして、私は後片付けの手伝いをした後、洗濯を干しに行く。
一室に紐で横に張り巡らせた所にたくさんの洗濯物を掛けて、こうして、私の仕事は終わる。その後は、アニーちゃんと一緒にお風呂に入る。……火星で、漸く自分専用の物を変えたので、今まで一緒に使わせて貰っていたアニーちゃんには感謝してもしたりない。
そして、お風呂から出ると寝間着に着替えて、船長室の寝室で眠る……
ー…最近、漸く一緒に寝ることに馴れた気がしたけれど、やっぱり未だに緊張するな……ー
レイクスさんは、既に横になっていた。そして、さっきまで見ていた端末から、私に気づいて、顔を上げると、
「…じゃ、寝るか」
「……おやすみ……なさい……」
そして、私はベッドの端で横になって寝る。レイクスさんは、電気を消した。
こうして、私の一日は終わりを迎えて、また明日も同じように廻る。偶に、向こうの時代にいる、美月ちゃん達の事が気になる。
ー…美月ちゃん、どうしてるかな…きっと、心配してるよね…だけど、帰り方が分からないから、どうやって無事か伝えられないな…ー
私は、心配しているだろうと思う親友に申し訳ないと思いながら、眼を閉じた……そして、閉じる前に……
ー…でも、湊君は、私がいなくても、他に好きな人がいるから、大丈夫だよね……ー
まだ、別れても焦がれるあの人を思って、軋んだ心を無視して、眠りの世界に落ちた…。
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「また、泣いてるのか、お前は……」
眼を閉じた、ナナミの目元から涙が一筋流れた。それを指でそっと拭うと、気付かれないように緩く後ろから抱きしめた。
ナナミは、寝るときに、時々涙を流す。そして、起きているときは、普段は笑ったりしているが、偶に酷く傷付いた顔をして、泣きそうな顔をするのを初めてあった時から知っている。
ー…あの時も、喫茶店でもそんな顔をしていたな……ー
どうして、そんな顔をするのかは、分からない。ナナミは何も言わない。だから、いつか言える日がくるまでは、このままで言いと思う。
今の段階で、俺が踏み込めるほどの事ではないと思うから……だから、抱き締める力を起こさないように強くして、
「ナナミ……大丈夫だ……」
そう言って、俺は眠りについた……。少し、ナナミの顔が優しくなった気がした。
少し、進展したような気がしました!今回!(;´Д`)
レイクス、ちゃんと気が付いていたんですよね。ナナミの事、よく見てます。(*・ω・)なので、ラストはあんな感じになりました。
それでは




