No.21 私の過去
今回はナナミさんの過去です。少し鬱があります。
ー……それは、季節が秋から冬に移りゆく季節だった。
その日、私は学校の帰りに携帯からメールで彼に呼ばれて、近くの公園に行った。突然の呼び出しに、何だろうと思った。メールには、
ー…川崎さん、今日空いていたら、川崎さんの近くの学校まで、来て欲しい。…ー
と、送られてきたので、私は、
ー…空いてますよ。今からそちらに向かいます…
ー
そうして、メールを返して帰り支度を済ませて、いつも一緒に帰る友達に、今日は帰れないことを伝えた。……そして、呼び出された公園で、彼を見つけた。
「…すみません、お待たせしました。」
「…こっちこそ、突然呼び出してごめん…来てくれてありがとう…」
そう言って、彼は最初は言葉に戸惑った様子で、中々言い出せなかったようだった。私は、どうしたらいいのか分からずに、見続けて、やがて何かを決心した表情で、私にこう言った。
「……川崎さん、俺、川崎さんの事が好きだ。だから、もし良かったら、付き合って欲しい。」
その言葉に、今度は私の方が戸惑ってしまい、照れてしまった。
私も、彼のことが好きだったから。だから、私も震える声で何とか言葉を紡いだ。
「…わ…私も、好きです……」
そう言った私に彼は、目を見開いた後、緊張した表情を緩めて、笑ってくれた。
「良かった…ダメかと思ったんだ……じゃあ、これからは、七海さんって呼んでいい?」
私は、必死で頷いた。そして私も彼に何とか声を絞って、こう言った。
「…私も、名前で呼んで良いですか…?」
「…!…勿論!」
本当に嬉しそうな声に私も、思わず顔を綻ばした。
「これから、よろしくお願いします。……湊さん……」
そうして、私達は付き合い始めた。私も、彼といろんな所に行って、そうしていつの間にか好きになったから。今回、湊さんと付き合うことになった事を美月ちゃんにメールで送ると、美月ちゃんから電話が掛かってきた。
「七海!詳しく!!」
「えっとね……」
そうして、詳細を全て話すと美月ちゃんは、
「なるほどねぇ……ま、アイツ、七海と会ってから気になってたみたいだったし……良かったね?初彼じゃん?」
「……うん……嬉しいけど、照れる…なんか…」
「ま、仲良くやんなさい…喧嘩したら、相談に乗るし、悩んだなら、私がいるから」
「…ありがとう、美月ちゃん……」
「どう致しまして!じゃ、またね!」
美月ちゃんからの、電話が終わると私は明日の準備を始めた。そして、一通のメールが来ていたのを見て、心が嬉しくなった。
ー…七海さんへ、今日は会ってくれてありがとう。それじゃ、お休み…ー
私もメールを送った。
ー…私の方も、ありがとうございます…お休みなさい…ー
私は、送った後、ベッドに入ると胸の中に携帯を両手で大切に握り締めて眠った…ー
それは、私がきっと今まで一番嬉しかった日だった。この頃の私は父親が亡くなって、母親とも完全に親子関係が、修復できないまでになっていた……。母は、父のことは好きだったけれど、私のことは、嫌っていた。
…だけど、それも仕方ないのかもしれない…
なんせ、私の父は再婚したのだから。私は、最初に結婚した母の連れ子だった。父と亡くなった母は、とても仲睦まじく誰がみても、おしどり夫婦だった。
だけど、母は交通事故に遭って亡くなった。私は、その時父とともに家にいた……その日は、母の誕生日で、私と父はとても楽しみに準備していた。だけど母はその日は仕事があり、私と父は母の帰りを楽しみにしていた……
そして、葬式の日…私は泣いた。だけど、父は泣かなかった……。悲しすぎて、涙が出なかったからだ…。母は、私達にただいまもおかえりも、もう、二度と言ってくれないことを実感して、散々泣いた。
暫くして、私が小学四年生の時に、再婚相手がきた。その人は、とても綺麗な人だったけど、私には、冷たかった。
父が再婚を決めたのは私には母親が必要だからと言うもので、同じ学校の出身の後輩の人と再婚した。私は、新しい母親に少し抵抗があったけれど、自分なりに仲良くしようとしたけれど、それも、どれも冷たくあしらわれて、父がいない時には、打たれたりした。だから、私がその人を避け始めると父が、私に聞きに来てくれた。
「…新しいお母さんのこと、嫌いなのか?」
私は、隠さないといけないと思って、首を横に振って、
「違うよ?嫌いじゃないよ?」
そう言うと、父はそうかと言って何も言わなくなった。そして、暫くするとあることに気が付いた。
父は、今でもずっと、亡くなった母のことを愛していたのだ。そして、これは後から知ることになるけれど、再婚した母は、父のことを結婚する前から好きだった。それも学生時代から、ずっと……それを教えてくれたのは、父がいなく、酒で酔っていた母が、私に向かって当たり散らすように言ったから、そして、彼女は最後に私に言った……
「あんたさえ……!あんたさえいなければ!!あの人は、私を愛してくれたのに!!あんたが憎いわ!!あんたを産んだ母親も!!……大っ嫌い!!」
そして、中学二年生になった頃に父が今度は、通り魔に襲われて亡くなった……。父が歩いていた所に、運悪く…誰も通りかからなくて、そのまま長い間いたらしい…。
二度目の葬式、私は泣けなかった……悲しすぎて、父の友人の人からまるで能面のようだったと後で聞いた。その後、お通夜も済ませて落ち着いた頃に母から言われた……
「…あの人も亡くなって…あんたの母親も死んで、とんだ疫病神ね!!」
その、あまりの言いように私は、泣きながら、初めて反発した。
「……私のせいじゃない!!」
私が、反抗するなんて、思わなかったのだろう彼女が驚いたように固まった。
「…お父さんが、死んだのも…お母さんが、死んだのも…私のせいにしないで!!」
そうして、睨みつけると私は部屋に戻って大きく泣いた。……だけど、私は彼女の言葉にどこか納得してしまった……。
ー…私が、いなければ…私が…疫病神……ー
そして、私は父もいなくなった事で、完全に居場所を失った。
私の母は親がいなくて、親戚も分からない。父は、両親が小さい時に、亡くなったらしく、弟さんとその奥さんがいて、私より少し年上の息子さんがいた。叔父さんと叔母さんは私と一緒に暮らさないかといってくれたけれど、やはりあの時の言い合いした時の母の言葉を思い出して、丁寧に断った…。
再婚した母の所は、私のことを孫としてみていないのは、知っている。昔、行って明らかに疎ましそうな様子を実感したから。
こうして、私の家族はいなくなった……。あの言い争いの後、私と母は元々話す方じゃなかったけれど、この件で一切口を聞かなくなった。元々食事も、一緒じゃなかったし、それに料理は出来たから。
私は、そうして今まで生きてきた。だから、好きな人からの告白が、何よりもどんなプレゼントよりもこの頃は嬉しかったの……
ー…本当に、本当に……嬉しかったの……
私は、そろそろ目を開けようとした。夢から、現実に引き戻される、感覚がした。
と言うわけで、ナナミさんの過去です。とりあえず、再婚相手については、何処までも母親になれない、ずっと自分が女のままでいたと言うことです。言い方が悪いですが……(;´Д`)叔父さん達の提案を断ったのは、ナナミなりに気を使ってのこと。そして、高校のお金は両親の貯めた遺産から出しています。
それでは




