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No.16 謎の男

今回、謎の男について。

 私の前にはコーヒーを優雅に飲んでいる、先程の男性がいる。私は紅茶を一口飲んでこっそりと彼を見た。


ー…やっぱり、なんというというか…気品があるな…ー


 スーツを上品に着こなしていて、座っている姿も絵になり、コーヒーを飲むにしても無駄が全くない。私は再び自然を装って顔を下に向かせた。

 

 お互いが、特に話すこともなく飲み物を飲んでいると、不意に目の前の彼が私に話を掛けてきた。


「そう言えば、君は火星にはよく来るのかい?」

「…えと…始めてきました…」

「一人で?」

「いえ…知り合いが連れてきてくれて…」

「…そうか…私は昔の頃は偶に来ていたんだよ…」

 

 いきなり話を振られたけれど、驚いただけで特に何も思わなかったから普通に返してしまった。そして、彼は話し続けた…


「…昔は、火星にも沢山の人が賑わっていたんだ…」

「……」

「それが、80年前に、大きな戦争があって…更に50年前にはその爪痕が所々に出てきた…この火星には、此処の街にもたくさんの他の街もあったんだ…人も、沢山住んでいた…それが戦争に巻き込まれて、機能を果たしているところはあまり無い…今も息づいている所は限り無く少なくなっている…地球も、火星も、月も……我々が犯した大罪は大きい…だからこそ、数百といた人類がたったの二十億になったんだろうね…嘆かわしいことに…」

「……」

「…それでも、人類が減らされても我々は生きているのだから歩かねばならない…それが、今此処で生きている我々の課題だ…すまないね、突然こんな話をして…」

「…いえ、大丈夫です」


 …彼の口から、またこの時代の事についての真実を知った。前はミュエルさんが詳しく話してくれたけれど、また別の人の視点から聞くのはいろいろ考えさせられる…。


 この時代の人達は今を必死に生きている。ヴァッカニアにいる、皆さんや今一緒に行動しているアニーちゃん…そして、レイクスさんも…


 私がいた、現代はただ毎日を平凡と生きていればそれで良かった…。それが、何百年も先の未来では違ってきている…なんて、途方もないんだろう…。


ー…それでも、私は今…此処にいるのだから…ー

 

 ヴァッカニアに居させて貰って、いろんな事を知った…きっとそれは、私にとって大切な事だ。だから、此処で頑張ろう。


 私が、決意をしたときに彼が話しかけてきた。


「…君は、火星は始めてと言っていたね…では、どこから来たのかな?」

「……え…」

「…店に来てから、帽子を取っていないのは何故かな?」

「…それは…」


突然、雰囲気をがらりと変えて彼が私に質問をしてきた…私は、どういったら良いのか分からず黙ってしまったが、そこで気が付いた…。


…わたし、この声どこかで聞いたような…確か…


 其処まで考えて、思い出した。



『……まさかの騎士団長様のおでましか……』

『久しいな、レイクス…そして、其処に乗っているのはお前だけじゃあるまい……だろう?お嬢さん…』



 この人、あの時の…レイクスさんが騎士団長って言っていた…。つまり、目の前にいるのは……


ー…レイクスさん達が、戦っていた…騎士団…そして、あの施設に関係しているかもしれない、人達…ー


 気付いて、私は心が凍るような思いをした…。そして、目の前の男性は私に向かって真実を突きつけるような、穏やかだけれどはっきりと言った。



「久しぶり…あの時のお嬢さん…さて、まずは自己紹介をしよう…私は、ディムナ・イオナ…フィルト騎士団、騎士団長を勤めているよ…さて、君の名前を教えて貰おうかな?」

「…どうして、私だって気付いたんですか…」

「…そうだね…勘とでも言いたいけれど、此処に来たのは偶然なんだ…」

「………」

「信じられないって顔をしているけれど、事実だよ…この街に少しばかり用事があったんだ…その時、見知った顔を見つけてね…まぁ、この街にくる事なんて殆どないからね…それで少し、用事を済ませて喫茶店に来たら、君がいたんだ…」

「だから、近付いたと?」

「…単純に君と話したいのと、後は名前を知りたかったかな?」


 まるで読めない笑顔の彼は、私にそう言った。私は、この人にはごまかしが利かない事を気付いて、名前を言った…


「……ナナミです…」


 だけど、あくまでも名前だけだ。自分の名字はあえて言わなかった。彼は、それに気にした様子もなく、


「…では、ナナミ…単刀直入に言おう…我々と共に、来ないか?」

「……行きません」


 私は、ディムナ団長の提案にはっきりと申し出を断った。


「…即答か…何故かな?」

「前に、話したとおりです…それに、私は今はヴァッカニアでお世話になって居ます。」

「…ほぅ…」

「それに、私は今のヴァッカニアでの暮らしが良いんです…彼等は、私が女性でも関係なく接してくれます…」

「…我々について行けば、少なくとも今よりは良いと思うが…」

「…私は、今の居場所が一番好きなんです…だから、あなた達の所には行きません…」


 彼の目をしっかりと見て言った…彼は、何も言わずに私を読めない顔で見続けていた…その様子に、少し心が怖じ気づいた…だけど、


 本当は、何をされるのか分からないし、怖い…だけど、はっきりと伝えないといけない…。もう一度彼を見た時……



「…そこまでだ、騎士団長様…」


 レイクスさんが私の肩を引き寄せて、庇うようにディムナ団長から引き離した。私は、今、レイクスさんの腕の中にいた…。


「…レイクスか…」

「…さて、なんであんたが此処にいる…」

「それは、言えないな」

「…だろうな…」


 私は、レイクスさんの横顔を見ると体の緊張が解ける感覚がした。きっと、いつの間にか緊張していたんだろう…


「…ナナミに何か言ったことも大方予想は出来た…」

「其処までお見通しか…」



「……言ったはずだぞ…コイツが、ヴァッカニアに居たいと思う限り、渡さないと……」


 暫く、二人の間に緊迫した空気が流れたけれど暫くした後、諦めたように肩を竦めたディムナ団長が、店を出た…戸を開ける直前…


「…店主、お金は其処に置いとこう……では、今回は潔く引き下がろう……ナナミ、また会える時を楽しみにしているよ…」


 そう言って、彼は扉を開いて出て行った…。


ー…私としては、出来れば会いたくないな…ー


 そう思って、彼を見送った…。



と言うわけで、正体はNo.2に出てきたディムナ団長です。割とフリーダムでワケが分からない人です…。(;´Д`)今回、ナナミさんが精神的に大変な思いをしました…。さて、レイクス達が何故ナナミを置いて出掛けたのかは次回にて


それでは

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