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No.15 喫茶店

今回、全体的にほのぼのとしています。

 火星に来て街が少し行けば見えていたからそんなに歩いたりはしなかったけれど、やっぱり、私がいた地球とは違っていた。


 私が踏みしめている火星の地面は朱く、そして空を見上げると青々としているけれど、少しだけ違和感があった。


ー…火星には、昼には薄らと見える月がない……ー


 地球では、昼も夜も見えていた月が無いことに少しだけ不思議な気持ちで見上げて歩いた。 

 そして、付いたばかりの街を見渡してみると…


「…何だか、普通の街ですね…」


 もっと、丸い楕円の球体のような感じを想像していたけれど、私が実際見た街並みはどことなく、地理の授業で見たことがある、西洋の街並みだった。

 しかし、周りをよく見てみると例えば私が今立っている場所は、銀色の道がある。そこに足を踏み出すとそのままエスカレーターのように動き出した。ゆっくりと、歩くような速度にあわせて。勿論、自分で歩くような道も在るけれど私はそのまま驚いたまま、だけどレイクスさんとアニーちゃんは気にした様子もなく街を見ている。


「…ナナミ?どうしたの?」

「あ…えと……ちょっとびっくりしたの…まさか、動くなんて思わなかったから…」

「え?これくらい普通だよ?幾ら、廃れていても殆どそうなんだよ?」

「……そっ…そうなんだ……」

「ナナミが居たところは、無かったの?」


 その言葉に、少しだけ言葉が詰まった。勿論、こういったエスカレーターは在るけれどそれも私は駅や空港しか知らないし、そもそも銀色じゃなくて黒くてギザギザしている。


ー…どう言ったらいいのかな?…ー


 私が少し思考の海に沈んでいると、


「…ナナミが居たところは無かったみたいだぞ?…」

「そうなの?」


 私は、レイクスさんの言葉に便乗して頷いた。


「レイクスさんの言うとおり、無かったの!かなり、田舎だったから!」

「そっか~…地球って変わってるね!!」


 アニーちゃんは納得したのか、にっこり笑ってそのまま走って行ってしまった。私は、


「…で、本当に無かったのか?」

「……はい…」

「そっか…さて、そろそろ降りるぞ」


 レイクスさんは、私を見て少しだけ意地悪く言うとそのままエスカレーターから降りた。私は、降り方が分からなくてそのまま流れていきそうになったけれど、


「ほら、俺の手に掴まれ」

「すみません…ありがとうございます…」


 手をとって優しく引っ張って、私を地面から降ろしてくれた。その自然な仕草にほんの少しだけ、胸の中が優しく叩いた気がした。


 そして、ついた場所は喫茶店だった。私の目の前には赤と白のレンガが積み重ねてあって白い看板には小さく、店の名前が書いてあった。


 私達が入るとカウンターとテーブル席が在るけれどこぢんまりとしていて、カウンターの数は椅子を見るだけで六個、テーブルは四つ。お客はどうやら私達しかいないようだった。


「いらっしゃい…こんな場所に来る外の客なんか珍しいな…ま、好きな場所に座りな…」


 そう、少しだけぶっきらぼうに言った店主が私達にそういうと読んでいた新聞を置いて、注文をとるために端末を持って歩いてきた。


…この、時代にも新聞があることに驚いたけれど…。


 私達はメニューが決まって暫くのんびりとしていた。レイクスさんは端末をいじっていて、アニーちゃんはメニューが来るのが楽しみなのかカウンターの向こうにある店主の様子を見ていた。私は店の風景を少しだけ見渡していた。


 店の中は、落ち着いた暖かみのある茶褐色で天井は電気が着いている。その、喫茶店の様子は…ー


 初めて、あの人行った、あの小さなカフェを思い出した。


ー…ナナミ、本当に此処で良いのか?…ー

ー…うん、私こういう場所の方が好きなの…ー

ー…ま、派手なカフェよりはナナミらしいよな…ー

ー…そうかな?…ー

ー…そうだな…ー


 そこまで思い出して、私は俯いた。あの日から1ヶ月以上は経つけれど、そう簡単には痛みは無くならなかった…今も、想い出すだけで胸が痛くて堪らない…


 私が、そっと堪えるように手首を握っていると、頼んだ物が来た。私は、強引に振り払うと、持って来てくれた店主さんに御礼を言った。


 メニューはアニーちゃんはカレーで私はサンドイッチ、レイクスさんはドリアを頼んでいた。


「ナナミ、このカレー美味しいよ?」

「良かったね、アニーちゃん」


 アニーちゃんは嬉しそうに私に笑顔で話しかけてくるとまた食べ始めた。私はまだ、サンドイッチを半分よりも多めに残っているけど、レイクスさんはもう食べ終わってしまった。アニーちゃんも、実は後少しで終わりそうだった…


ー…やっぱり、レイクスさんもアニーちゃんも食べるの早いなぁ…ー


「うん!美味しかった!食べた食べた!!」

「良かったな」

「えへへ…ナナミは、まだ食べてるの?」

「ご…ごめんね、アニーちゃん…レイクスさんもすみません…」

「いや、俺達が早いんだよ…ナナミ、急いで喰わなくて良いからな」

「ありがとうございます…」


 私は、何とか二個目を半分食べていた。アニーちゃんとレイクスさんは店主さんに少し話だけをして、


「少し席を外す…金はさっき払ったから、其処にいてくれ」

「ちょっと行ってくるからね!」

「この時間にはあんまり客は来ないから好きなだけ居ればいい」


 そういって二人は店を出て、店主さんは私にそう言ってくれた。私は、三人の好意に申し訳なく思いながら、甘えた。


 何とか食事を終えた私は、店主さんからのサービスで紅茶を一杯貰った。そして、二人の事を待っていると……


「すまない、今店はやっているかな?」

「此処は、夜には閉店だ…夕方まではやっているから好きにいると良い…席も、好きに座りな」

「ありがとう…」


 どうやら、男性のお客さんが来たようだった。少しだけ彼のことを見ると、


 長い銀色の髪を結んでいて、服装は紺色のスーツを来ていた。彼はとても穏やかそうな雰囲気を纏っている。だけど……


ー…明らかに、普通の人じゃない?…ー


 見た目はシンプルだけど、こう、雰囲気的に少し普通とは違う気がしたけれど、そう思うのも失礼だと思い、紅茶を飲もうとすると…


「やぁ、此処は空いているかい?」


 突然話を掛けられ、ビックリした。私は、無言で首を縦に振ると彼は


「せっかく人がいるのなら、一緒にと思ったんだ…すまないね、ありがとう…」


 そう言った彼は柔らかに微笑んだ。そして、彼は私の前の席に失礼するよと言って座り、店主さんにコーヒーを頼んでいた…。

と言うわけで、火星の様子とナナミの心境、そして喫茶店の相席した謎の男…。謎の男については次回にて。


ナナミさんの、初めての体験を書くのは楽しいですね…難しかったりしますけれど…(;´Д`)だけど、過去から未来に来た人ってこんな感じに驚いたりするんじゃないかなと思うと何だかほのぼのします。

後、ナナミさんがどうして前の恋人がこんなにも忘れられないのかは、いずれ書きたいと思います。

それでは

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