↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最底辺の引きこもりが異世界転生したら魔王として君臨している  作者: 明太パスタ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/15

配下の四天王、勘違いする

「……で、こちらがジークフリート様がお過ごしになる特級執務室にございます」


禍々しい翼を生やした美女――四天王の一人であり、魔王城の総務を仕切る夢魔のルクレツィアが、恭しく重厚な扉を開けた。


中に広域に渡っていたのは、ふかふかの絨毯、巨大な天蓋付きベッド、そして部屋の隅に置かれた高級そうなソファだった。


(う、うわぁぁぁ! めっちゃ快適そう! ネット回線とゲーム機さえあれば永住できるやつだこれ!)


引きこもり特有の「引きこもり適性センサー」がビンビンに反応する。

ジンは内心で歓喜の涙を流しながら、部屋の真ん中へ進み出た。


「……あのさ」

「はいっ! なんでしょうかジークフリート様!」


コミュ障ゆえのボソボソとした低音ボイスでジンが呟くと、ルクレツィアは背筋をピンと伸ばし、目を輝かせて耳を澄ませた。


「僕……できれば、この部屋から一歩も外に出たくないんだけど……」


ジンの本音だった。

人間と戦うなんて怖いし面倒くさい。怪物みたいな魔族たちと会話するのも緊張する。美味しいごはんをこの部屋に運んでもらって、永遠にゴロゴロしていたい。


しかし――それを聞いたルクレツィアの顔色がガラリと変わった。


「っ……!? 『部屋から一歩も出ない』……ですか!?」


(ひえっ!? やっぱり怒られる!? 「魔王の癖に何言つてんだこの穀つぶし!」つて討伐される……!?)


ジンが冷や汗を流しながらビクビクしていると、ルクレツィアは感極まったように胸の前で両手を組み、震えだした。


「素晴らしい……! なんという深謀遠慮……! 『我ほどの力があれば、玉座に座したまま指一本動かさずに世界を平定できる』……そうおっしゃりたいのですね!?」


「え?」


「我ら愚かな配下がいくら戦略を練ろうとも、ジークフリート様にとっては児戯に等しい……! ご自身が動くまでもなく、我ら四天王だけで人間どもを片付けてみせよという、ありがたい【試練】にございますね!?」


「いや、全然そういうことじゃなくて――」


「承知いたしました! ジークフリート様がこのお部屋から一歩もお出かけになられる必要がないよう、我ら四天王、命を賭して前線を維持してまいります!」


ルクレツィアは涙ぐみながら深々と一礼し、嵐のように去っていった。


(ちょっと待って!? 話を聞いて!? 僕はただダラダラしたいだけで、四天王を前線に送って戦争したいわけじゃないのーーーっ!!)


残されたジンは、豪華な絨毯の上で頭を抱えて崩れ落ちた。

こうして、「引きこもりたい」というジンの切実な願いは、配下の四天王によって「絶対なる王の圧倒的な余裕」として、恐ろしいスピードで全軍へ拡散されていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。