最終決戦:神の降臨
――バリバリバリガキィィィン!!
魔王城の上空。歪んだ暗雲の亀裂から、異次元の支配者【上級邪神アルマゲドン】が降臨した。
無数の眼球と巨大な触手を蠢かせ、ただそこに存在するだけで空気が腐食していく圧倒的な神の威圧。
『愚かな虫ケラどもよ……我は滅びの神……! この世界の魔力を全て喰らい――』
邪神の重低音が世界中に響き渡る。
魔王城の中庭では、四天王や魔族たち、さらには異変を察知して駆けつけた勇者レオン率いる人間側の精鋭までもが、絶望に打ちひしがれていた。
「な……なんて禍々しい圧力だ……! 精神が崩壊しそうになる……!」
勇者レオンが膝をつき、歯を食いしばる。
だが、その上空――修繕中で屋根のないジンの部屋(最上階)に、一人の青年がぽつんと立っていた。
(あ、あわわわわわ……っ!! なにあのバケモノ!? グロテスクすぎる! 巨大タコと目玉のバケモノじゃん!! 怖すぎる! 無理無理無理無理絶対無理!!)
ジンの恐怖はついに上限を超え、キャパシティを完全にオーバーした。
(お部屋に入ってこないでぇぇぇぇぇ! 僕の平穏な引きこもり空間を侵さないでぇぇぇーーーっ!!)
極限状態に達したジンの「領域を守りたい」という執念。
それが、体内の巨大な魔力核と過剰共鳴を起こした。
――ズドォォォォォォォン!!!!!
ジンの全身から、これまでとは比べものにならないほどの超高密度な紫黒の魔力柱が立ち昇り、天を突いた。
『ヌグッ……!?? な、なんだこの異次元の魔力は……!??』
邪神アルマゲドンの巨大な眼球が一斉に見開かれる。
神である己の威圧をあっさりと跳ね返し、逆に次元の歪みごと押し潰そうとしてくる男――ジン。
ジンは恐怖のあまり半狂乱になりながら、邪神に向かって絶叫した。
「来ないでぇぇぇぇぇっ! 僕の部屋に勝手に入ってくるなぁぁぁぁっ!!」
それはただの「引きこもり少年の拒絶の悲鳴」。
だが、放たれたのは物理空間すら破砕する【絶対拒絶の極大消滅波】だった。
――ドガァァァァァァァァン!!!!!
世界を明るく染め上げるほどの閃光が弾け飛び、邪神の巨大な肉体が、何が起きたかも理解できぬまま一瞬で光の粒子となって砕け散っていく。
『バ……馬鹿な……っ! 神たる我の存在そのものを……一言の叫びで……消滅させるだと……!?? ギョエェェェェェーーーッ!!』
断末魔と共に、邪神は次元の彼方へと吹き飛ばされ、空の亀裂も綺麗さっぱり塞がった。
澄み渡る秋晴れの青空。
(えっ……? なんか……居なくなった……?)
大声を出して息を切らせたジンが、ポカンと空を見上げていると。
「「「うおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」
魔王軍と人間軍、数万の兵士が一斉に割れんばかりの大歓声を上げたのだった。




