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レベル1の村娘、実は世界最強でした  作者: ななほし


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第38話 世界に拒まれた少女

大地が。


 大きく揺れている。


 空には亀裂。


 その向こうから。


 無数の黒い影がこちらを見ていた。


『世界の核と虚無』


『その二つを持つ者よ』


『この世界に存在することを許可しない』


「……」


 私は。


 空を見上げた。


「世界が」


「私を嫌ってるの?」


 フィアが。


 首を横に振る。


「違う」


「世界そのものに」


「あなたを受け入れる仕組みがないの」


「でも」


 私は。


 胸に手を当てる。


「ここにいるよ?」


「うん」


「だから」


 フィアが笑う。


「世界のほうが困ってる」


「……?」


「ミアがいるのに」


「ミアを認識できないから」


 シエラが。


 驚いた顔をする。


「つまり」


「この世界の法則では」


「ミアさんは存在できない……?」


「そう」


 フィアが頷く。


「でも」


「それなら――」


 私は。


 空へ向かって。


 手を伸ばした。


「認識してもらえばいいんじゃない?」


「え?」


 全員が。


 私を見る。


「私がここにいるって」


「教えてあげればいい」


     ◇


 空が。


 震えた。


 巨大な亀裂から。


 白い光が落ちてくる。


 その光は。


 人の姿になった。


 白い鎧。


 銀色の髪。


 巨大な翼。


「……神族?」


 アリシアが。


 剣を抜く。


 だが。


 フィアが。


 首を横に振った。


「違う」


「これは」


「この世界の――」


 白い存在が。


 静かに言った。


『世界守護機構』


「……機構?」


『この世界を維持するために』


『異常存在を排除する』


 白い存在の目が。


 私を捉える。


『対象』


『ミア・ルナベル』


『存在定義――不明』


『世界の核――異常』


『虚無因子――異常』


『判定』


『――排除』


 白い剣が。


 振り上げられた。


「待って!」


 私は。


 一歩前に出る。


「私は敵じゃないよ」


『敵か否かは』


『判定しない』


『異常である』


「……」


 なんだか。


 昔の自分を見ているようだった。


 レベル1。


 魔力なし。


 スキルなし。


 魔法適性なし。


 全部。


 「異常」と言われていた。


「じゃあ」


 私は。


 笑った。


「私が普通になればいい?」


『不可能』


「そっか」


 私は。


 手を伸ばす。


「じゃあ」


「あなたが変わって」


『――?』


「私を」


「仲間だって認識して」


 白い存在が。


 停止した。


『……理解不能』


「じゃあ」


 私は。


 もう一歩近づく。


「友達になろう?」


『……』


 沈黙。


 レオンが。


 小さく呟く。


「そこなのか……?」


 クロエが。


「ミアらしいけど」


 シエラが。


 頭を抱えた。


「世界守護機構と友達になろうとする人は」


「初めて見ました……」


     ◇


 白い存在が。


 私の前まで来る。


『友達』


『定義を確認』


『友達とは』


「一緒にご飯を食べたり」


「話したり」


「困った時に助けたり」


「一緒に笑ったりする人」


『……』


「簡単でしょ?」


『不明』


「じゃあ」


 私は。


 パンを取り出した。


「食べる?」


 全員が。


 固まった。


「ミア」


 レオンが。


 呆れた顔をする。


「それ」


「世界の守護機構だぞ」


「でも」


 私は。


 パンを差し出した。


「お腹空いてるかもしれないよ?」


『……』


 白い存在が。


 パンを見る。


『食事――不要』


「そっか」


 私は。


 少し残念そうに笑う。


「じゃあ」


「話そう」


『……』


 白い存在は。


 剣を下ろした。


『了承』


「やった!」


 クロエが。


 小声で言う。


「なんで?」


「どうして戦わずに仲良くなれるの?」


 シエラが。


 真剣に答える。


「私にも分かりません」


     ◇


 その夜。


 私たちは。


 世界守護機構の近くで。


 野営することになった。


 フィアが。


 火を起こす。


 ノアは。


 少し離れた場所に座っている。


 私は。


 ノアの隣へ座った。


「ねえ」


「なに?」


「私たち」


「昔は仲良かったんだよね?」


「うん」


「じゃあ」


 私は。


 ノアを見る。


「どうして今は」


「虚無の王と一緒なの?」


 ノアは。


 しばらく黙っていた。


「……一緒じゃないよ」


「え?」


「私は」


「虚無の王の仲間じゃない」


「じゃあ」


「どうしてあそこにいたの?」


 ノアが。


 空を見る。


「私が」


「お願いしたから」


「お願い?」


「ミアを」


「もう一度連れてきてって」


「……」


 私は。


 黙った。


「どうして?」


「あなたに」


「謝りたかったから」


「……何を?」


 ノアは。


 私を見る。


「千年前」


「私は」


「あなたを裏切った」


     ◇


「……裏切った?」


「うん」


 ノアの目に。


 涙が浮かぶ。


「あなたが」


「世界を選んだ時」


「私は」


「あなたについていかなかった」


「……」


「怖かったの」


「何が?」


「世界が壊れること」


「だから」


 ノアは。


 胸元を握る。


「私は」


「虚無の王についていった」


「でも」


「そのあと」


「気づいた」


 ノアの声が。


 震える。


「あなたは」


「世界を壊したかったんじゃない」


「世界を守りたかった」


「……」


「だから」


「私は」


「ずっと後悔してた」


 私は。


 ノアの手を握った。


「もういいよ」


「……え?」


「今」


「ここにいるんでしょ?」


「……」


「だったら」


 私は。


 笑った。


「また仲間になろうよ」


 ノアの目から。


 涙が落ちた。


「……いいの?」


「もちろん」


「私を」


「許してくれるの?」


「うん」


「簡単に?」


「うん」


 ノアが。


 泣きながら笑う。


「……変わらないね」


「そう?」


「うん」


「千年前から」


「ずっと」


     ◇


 少し離れた場所。


 セレスが。


 二人を見ていた。


 セレナが。


 隣に座る。


「……嬉しそうね」


「うん」


「でも」


 セレスは。


 少しだけ悲しそうだった。


「これで」


「四人が揃った」


「四人?」


 セレナが聞く。


「ミア」


「私」


「ノア」


「そして――」


 セレスは。


 言葉を止めた。


「リナ」


「……」


「でも」


「まだ」


「一人だけ」


「戻ってきてない」


 セレナが。


 空を見る。


「誰?」


 セレスは。


 小さく答えた。


「ミア自身が」


「一番恐れている存在」


     ◇


 翌朝。


「出発するぞ」


 レオンが。


 荷物をまとめる。


「どこへ?」


 私が聞く。


 フィアが。


 地図を広げた。


「この世界には」


「三つの大きな都市がある」


「都市?」


「うん」


「まず」


 地図の中央を指す。


「ここが」


「白都」


「そして北に」


「黒都」


「最後に」


 地図の端を指す。


「世界樹の街」


「世界樹?」


 シエラが。


 目を輝かせる。


「そんなものが?」


「あるよ」


 フィアが笑う。


「この世界を支えている」


「巨大な木」


「そこへ行けば」


「ミアの出生について」


「もっと分かると思う」


「じゃあ」


 私は。


 頷いた。


「行こう」


     ◇


 白都へ向かう途中。


 私たちは。


 小さな村を通った。


「こんにちは!」


 私は。


 村人に手を振る。


 でも。


 村人たちは。


 誰も動かない。


「……?」


 静かすぎる。


 子供も。


 大人も。


 犬も。


 鳥も。


 全部。


 こちらを見ている。


 フィアが。


 顔を強張らせた。


「まずい」


「どうしたの?」


「この村は」


「世界守護機構に」


「認識されていない」


「……」


「つまり」


 フィアが。


 小さく言う。


「ここにいる人たちは」


「この世界から」


「存在を消されかけている」


「……!」


 私は。


 村の中へ走った。


「どうすればいいの?」


「ミア!」


 シエラが。


 叫ぶ。


「待って!」


 私は。


 一人の小さな女の子の前で。


 しゃがんだ。


「大丈夫?」


 少女は。


 私を見る。


「……お姉ちゃん」


「うん」


「私」


「死ぬの?」


「……」


 胸が。


 痛くなった。


「死なないよ」


「本当に?」


「うん」


 私は。


 少女の手を握った。


「私が」


「ここにいるって」


「証明するから」


 その瞬間。


 私の胸の奥が。


 光った。


 世界の核が。


 脈動する。


「……え?」


 空に。


 巨大な文字が浮かんだ。


 『未登録存在――三百二十一名』


 『存在消失まで――残り十秒』


「十秒!?」


 アリシアが。


 叫ぶ。


「どうするの!?」


 私は。


 少女を見る。


「簡単だよ」


「……?」


 私は。


 笑った。


「みんな」


「ここにいるよ」


 世界へ向かって。


 私は。


 叫んだ。


「この人たちは」


「この世界の人だよ!」


「私の友達だよ!」


「だから」


「消さないで!」


 ――ドクン。


 世界が。


 鳴った。


 数字が。


 止まる。


 『存在消失――停止』


「……」


 村人たちが。


 一斉に息を吐いた。


 子供が。


 泣きながら。


 私に抱きついてくる。


「お姉ちゃん……!」


 私は。


 その子を抱きしめた。


「大丈夫」


「もう大丈夫だよ」


     ◇


 その瞬間。


 世界守護機構が。


 私の前に現れた。


『確認』


『対象――ミア・ルナベル』


『世界法則を――変更』


『……』


『世界法則の一部として』


『認識する』


「え?」


 私は。


 目を丸くする。


『登録完了』


『世界の核』


『虚無因子』


『選択者』


 そして。


 最後に。


『――世界の友』


 私は。


 思わず笑った。


「友達になれたね」


 世界守護機構は。


 しばらく沈黙した。


『……肯定』


 その時。


 ノアが。


 遠くを見た。


「ミア」


「なに?」


「……白都から」


「誰か来る」


 遠く。


 白い道の向こうから。


 一人の男が歩いてくる。


 白い服。


 銀色の髪。


 赤い瞳。


 その姿を見た瞬間。


 始原の王が。


 表情を変えた。


「……ありえない」


 アレンも。


 剣に手をかける。


「なぜ」


 男は。


 私たちの前で止まった。


「初めまして」


 そう言って。


 男は。


 私を見る。


「私は」


「この世界で」


「あなたが最初に生まれた時」


「あなたを抱いた者です」


「……え?」


 ルナの顔が。


 真っ青になる。


 そして。


 男が。


 微笑んだ。


「ミア」


「ようやく」


「母親以外の」


「家族に会えたね」


 私は。


 その言葉の意味が。


 分からなかった。


 ただ。


 ルナだけが。


 震えながら呟いた。


「……あなたが」


「まだ生きていたなんて」


 男は。


 笑う。


「当然でしょう」


「私は」


「あなたの――」


 そこで。


 男の背後に。


 巨大な黒い翼が開いた。


「最初の父親なのだから」


 世界が。


 静かに揺れた。


 そして。


 私は初めて。


 自分には。


 まだ知らない「父親」がいることを知

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