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太陽の声  作者: 仲村戒斗
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第二章‐12

「なら……」


 グラスレットを構え、エスターンを射出する。それは狙い通り刺さった。しかし一瞬動きが鈍っただけでほとんど効果はなかった。次にテストを射る。効果があるのかわからないがないよりはましかもしれなかった。


「直接切るしかなさそうだ」


 腰のチャージャーをクルーガへ射出する。すると狙い通りアンカーは背中に刺さった。この距離であれば大した衝撃はなく移れるはず。距離は五メートル程だった。ワイヤーを引いて機構を稼働させる。木に上るときと同じように巻き取る力は強く、すぐにクルーガの背中へと移った。

 くらくらする頭を必死に正常に戻そうと落ち着かせる。背中からクルーガを仕留めるには、腰に提げたエッジポストで首を切り落とす。刃渡り八十センチの剣を首に突き刺した。巨大獣は雄たけびをあげ、痛みでまともに動けず巨木に体をぶつけながら暴れる。


「落ちっ、るっ」


 チャージャーで固定されているが強く振られ腰から引きちぎれそうだ。


「くたばりやがれっ」


 この際、剣がどうなってもいい。深く突き刺した剣をかき混ぜるように動かし首を徐々に破壊していく。首の骨があらわになるにつれて動きが散漫になり、やがて止まる。それでもまだ這うほどの力は残っていた。


「なんて生命力だ。信じられない」


 今のクルーガは虫の息と言えるが、このまま這ってヘリオスに到達しかねない。コウはグラスレットをクルーガの首の骨に押し当てた。


「折れろ、折れてくれっ」


 弓を引く。グラスレットは骨を砕いた。と同時に、衝撃でグラスレットも砕けて崩壊してしまう。今の強化されたクルーガは強すぎるのか。


「やっと死んだ」


 巨大獣はようやく絶命した。エッジポストを首から引き抜く。その刀身は刃こぼれし、とても使えたものではなかった。クルーガを一体仕留めるのに、二つの武器が犠牲となったしまった。あまり経験のない破損で驚く。太陽武器はこうもあっさり破壊できるほど肉体強化が行われている。


「コウっ」


 森の奥からスラッグの声が響いてきた。どうやらスエンシェルを処理できたらしい。けれども、スラッグの声より前、俺より後ろにはクルーガがいた。昨日見ていたはずだ。モンストラクターは一体でヘリオスにきていない。複数で来ていると。ならば他にもいるのは当然だった。


「うおおおおおっ」


 そのクルーガは、チャージャーで背中に飛び乗ったスラッグにより首をエッ

ジライナーで切り落とされた。モンストラクターの体は強化されているというのに、一撃で殺すとは、規格外すぎる。頼りになりすぎて恐いほどだ。つくづく、敵でなくて助かったと思う。


「ここから勢いづいてくるぞ、皆覚悟しろ」


 スエンシェルを処理し終えて再び集まり大型区域の方向に向く。すぐに次が来る。壊れたエッジポストとグラスレットの代わりにインスプロイド、クォーラムを装備する。


「またきやがった」


 四体のクルーガだった。


「これは少し、まずいかもしれない」


「散開っ」


 スラッグの合図で迫るクルーガから距離を取る。間に合わない者はチャージャーを木に接続し緊急避難。ホイーラーは殺られたが仕方がなかった。木の上に移動した三名のハンターは皆グラスレットを装備していたため、皆が構えてクルーガにエスターンを打ち込む。


「逃がすな、スクライブを放てっ」


 走るクルーガを逃がさないよう、包み込むようにスクライブを投げていく。身体に深く刺さるエスターンによって網はより複雑に絡めていく。剣装備者が仕留めにかかる。そのときだ。

 マキムダイスが現れ、チャージャー移動で宙にいたハンターが捕まり裂傷を受け地面に落下した。あの出血量、残念だが助からない。


「俺がいくっ、クルーガは任せたっ」


 この中で最も力に自信のあるスラッグがマキムダイスに向かっていく。次いでスナール、他二名。俺は他のハンターと共にクルーガを始末する。

 使い古された狩り方である、クルーガの首にワイヤーで捕まり脳を破壊する。俺はクォーラムで表皮から削り取っていく。しかし、なかなか削れてくれない。肉が更に強化されている。無理なわけではないのだが時間がかかりすぎる。削る力を強めようと押し付ける。するとクォーラムの可動部が割れて使い物にならなくなった。

 このままでは太陽武器が全く使えなくなってしまう。危惧しつつ、インスプロイドに持ち替えて頭蓋に叩きつけた。こちらも普段より回数は多かったが、なんとか脳の破壊には成功した。

 クルーガは四体全て始末したが、一人踏みつぶされて死んでしまった。これで残り八人だ。


「この戦い方だと、どうしても犠牲を出してしまうかもしれない」


 森はこれまで、ハンターにとっては見慣れた土地、庭だった。なのに、今では多くの狂暴化したモンストラクターに翻弄されていた。


「ホイーラーは八体。皆乗れるか」


「大丈夫、結果的に揃ってる」


 ホイーラーは減ったが、人間も減ったため数は合っている。俺は死んだ仲間から、失ったグラスレットとエッジポストを回収した。スラッグは皆の顔を順に見据える。


「まだ昼にもなってない。皆、死ぬなよ」


 俺達八人は更に奥へと向かった。



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