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琥翠緑子の珈琲事件簿  作者: Lazzrose
ラズベリーはどこから香る?
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24/29

1. まさかのスポンサー

 ムーンバックスとのコラボが大盛況のまま終わり、あらゆる反響が私の事務所にも舞い込んできた。

 TV番組への出演やCMのオファーはもちろん、あらゆるメディアの取材、サエさんの確認を通って私の元へやってくる。


「メキシコシティマラソンの調整もあるのに、前後の仕事減らせないですか?」


 8月半ばであり、2週間後に大きな国際大会(半分はお祭りみたいなものだけど)に出場することを考えると、仕事量は減らしておきたかった。


「ん~。大手以外の女性週刊誌とかコミック誌とかの取材なら減らせるけど」

「そうしてください。私はグラビアモデルじゃないんですよ」

「……そうね、今回の成功でこちらからある程度仕事選んでも良い頃合だし。じゃあ、今後はフアッション雑誌とスポーツ誌に限らせてもらって、スポーツ誌もグラビアNGの通達出しておくわ」


 流石サエさん話が早い。


「そうしてください。それより新しいウェアなんですけど、ムーンバックスのロゴ入れたデザインの、MITHUOさんからまだ届いてないですよね」


 ムーンバックスとのコラボ期間中、何度か企画担当の吉永さんとお話をする中で、8月終盤に行われるメキシコマラソンヘ参加することを雑談の中で話していた。

 コラボ終了直前にサプライズ発表ということでメディアも招いての会見で、吉永さんがこう語った。


「今回の販売規模が過去最大であり、今後もイメージキャラクターとして長い付き合いをしていきたいと我が社は考えており、その一環として、琥翠さんが力を入れていらっしゃる活動、長距離走のスポンサードをすることが決定しました」


 私は驚きのあまり固まって3秒くらい微動だにできなかったくらいだ。

 そうして、ウェアにムーンバックスのロゴを入れることになり、同じくスポンサーのMITHUOさんのウェアをリデザインしてもらうことになった。


「清水さんから送りましたって来てたからそろそろ届くと思うけど……。あった、今日中にくるみたいよ」


 サエさんが配送会社の通知メールを探して教えてくれ、なんとか間に合いそうだと一息ついた。

 渡航の準備をしつつ仕事をこなし、私たちはメキシコヘ入国した。

 空港で入国審査を通り、サエさんが『VIP Arrival― Kosui Midoriko』 と書かれたプラカードを発見した。


「あれね、行くわよ」


 プラカードを持つているのは、屈強な体をしている外人さんだった。


「ナイス トゥ ミーチュー、ボブ。アイム リアリー グラッド トゥ ビー ワーキング ウィズ ユー ディス ウィーク。シンス イッツ マイ ファースト タイム アプロード、アイ メイ アスク ユー ア フュー シングス、バット アイル ドゥ マイ ベスト」

(は じめまして、ボブさだ。今週―週間、ご一緒できることを嬉しく思つています。海外は初めてなので、いくつか確認させていただく場面があるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。)


 相変わらず英語力は高いのに、日本語発音のサエさん。

 私も英語は聞き取りできるが、いざ話すとなると文法がわからず単語と熟語でなんとかしようとしてしまう。


「Nice to meet you too. Glad we get to work together. Looks like our VIP this time is this cool lady right here, Let' s give her solid support.」

(はじめまして。こちらこそ、一緒に仕事ができて嬉しいよ。今回のVIPは、ここにいるクールなレディだね。しっかりサポートしていこう。)


「バイザウェイ、ウィア オルソ サポーズド トゥ ミート ザ ケアスタッフ フォー ザ トーナメント。アイ レッド アバウト ゼム ビフォー カミング、バット アイム ノット シュア ハウ ゼイ ユージュアリー ショウ アップ オンサイト。ドゥ ユー ノウ エニシング アバウト ザット?」

(ところで、今回の大会のケアスタッフの方々とも合流する予定になっています。事前に情報は確認してきたのですが、現場ではどのようにいらつしゃるのか把握できていなくて……。何かご存じですか?)


 今回、ムーンバックスから警護が付き、大会からもサポートスタッフが付くことになっている。

 というか、警護が外人さんだったのには正直驚いた。

 後から聞いたら、ムーンバックスのスポンサーは日本だけでなくアメリカ本社を中心とした全国規模のスポンサーなんだとか。


「Yeah, l think that riight be the lady standing behind you.」

(うん、多分だけど……きみの後ろに立つてるあの女性じゃないかな。)


 サエさんと同タイミングで振り返ると、私と同じくらいの背丈でスポーティな体つきの女性がいた。


「ハジメマシテ、コニチワ。ワタシは、ジェシカです。Welcome to Mexico.」


 差し出された手に握手を返す。


「Nice to meet you, Wowi nice muscles.」

(は じめまして。わあ、良い筋肉ですね)


「Thank you. you too.」

(あ りがとう。あなたもね)


 やはりこの業界、筋肉を褒めれば素直に返ってくるな。

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