4. 再び果房こすもすへ
電車に乗り、地方都市で乗り換え際に、自分の服装に気付いた。
いつもの朝の軽いジョギングの後に六華の里へ寄ってから直接電車に乗り込んだため、ギリギリスポーティカジュアルでも通る服装だが、山に行く恰好ではない。
ということで、乗り換え前に駅を出て、近くのプチプラの服屋へ入った。
ワンショルダーのデニムのサロペットに、アースカラーのタータンチェックシャツ。
赤いストールで肩回りを整えただけの、適当にコーディネイトした服装だ。
店内で着替えてから改めて電車へ乗り、目的地の駅へ到着した。
「ごめんください」
「いらっしゃいませ。あら、緑子さんまたきてくださったんですね」
女将さんが手ぬぐいで手を拭きながら明るく出迎えてくれた。
「この前食べたのが忘れられなくて、奥、大丈夫ですか?」
「ええ、ええ、どうぞどうぞ」
私は前回と同じくコーヒーセット三種盛りを注文した。
「やはりここで食べると違いますね」
「皆さん、そうおっしゃってくれます」
にこやかに対応する女将さん、ただ、私が言いたいことは違う。
迂遠すぎたかな?
「こないだ、通販でも頼んだのですが……」
私が切り出した瞬間、女将さんの顔が曇る。
味が変わっていることを理解はしているが、原因が特定できてないのだろう。
これならば、前置きを飛ばして直接伝えても大丈夫かな。
「おそらく味のバランスを崩している何かがあるみたいなんですよね。もしかしたらなんですが、梱包材の変更とかされませんでしたでしょうか?」
「梱包材ですか? いえ、変えていないはずですが」
女将さんはキョトンとした顔になり、「だよね」と店主に顔を向ける。
「そうですね。変えていない……いや待てよ。担当者がコストカットのために材料を変えたって言ってたな。性能は変わらないからって」
「お菓子だけなら問題はなかったですし、その方やメーカーも説明をしてくれているので悪気はなかったんでしょう」
ようやく合点がいったという表情で店主はすぐに対応することを約束してくれた。
通販は一時取りやめて、納得いくものになったら復活させるという。
私は俄然やる気を出した店主を横目に、美味しい和菓子とコーヒーを楽しむのだった。




