8話:売却依頼再び?②
「えっ?この前は手伝えないって言ってたよね?……どーゆーこと?」
亜希は首をかしげていた。
「そうだ、俺にできる事はあくまで不動産売買だ、しかし、営業は人と人を繋ぐのも仕事なんだ、そして、自分にはできないことをできる相談相手を知っているもんなんだよ、例えば、税金の事で困った事があったら税理士に聞いたり、登記関係であれば司法書士に聞いたり、物件の設備でわからないことがあったら知り合いの設備屋に聞いたり、要はどれだけその道に詳しく、自分の味方になってくれる人と仲良くしてくるかが大切なんだ」
光樹は仕事のスイッチが入った。
「じゃあ、あたしの場合は……どうなるの?」
光樹は少し考えて答える。
「う~ん、そうだな、前にも言ったが、亜希の場合は少々めんどくさい、必要になる知識が幅広く法律や、登記や税金関係もとなると……まぁ弁護士だな……正直あんま相談したくないが……知り合いがいることにはいる」
「なーんだっ、最初からできるならやってよ! もしかして……敢えて断った系? ひどっ!」
仕事をするとわかると思うけど、受けていい仕事と受けちゃいけない仕事ってあるんだよ?
「やかましい、正直色々根回しが必要だったり、時間掛かりそうだし、トラブルに巻き込まれそうだったから計画的に断っただけなんだよっ!」
光樹はめんどくさくなったのでストレートに物申した。
「うっわ、大人って汚っ!」
亜希は光樹に向かって言い放つ。
「そうなの、大人は基本汚いのっ! えーと、話が脱線したが、売る準備も整えなくちゃいけないが、同時に、不動産の査定もしないといけないな、そっちに関しては俺の仕事だ、場合によってはそれで債務も消せるかもしれないしな」
光樹は頭の中で道筋をつけた。
「さて、話は少々長くなったが家まで送ってくぞ、ちなみに場所は何処だ?俺の家から近いのか?」
送ってくついでに現地確認してから考えるか、謄本とか取るのは後からでもいいできるしな。
「えっ? ウチ来るの? まぁ……いいけど、……町の……ってとこ」
うむ、そこか、普通に人気のあるエリアだな、ちょっと街並みは古いが駅まで徒歩圏内だから何も問題が無ければそれなりの金額で売れるはずだ。
――光樹は車を走らせ亜希の家へと着く。
「ここがあたしの家、っていってもお母さんが買った家だけどね。家の中みるの?」
少々亜希は恥ずかしそうな表情をしていた。
「いや、家の中に関しては今日はいいよ、いきなりだったから準備もできていなだろうし……次の機会でいいぞ」
流石に準備も無しに家の中にお邪魔するなんてデリカシーが無さすぎる……だから、光樹は遠慮した。
「えっ? そう…… そうしてもらえると助かるかな……」
亜希はほっとした表情で頷いた。
「とりあえず、今日のところは特に話す事は無いから以上になるが、査定と弁護士相談してみて、ある程度考えがまとまったら連絡するぞ、そういえば連絡先聞いてなかったな、教えてくれ」
光樹はポケットからスマホを取り出す。
「オッケ~、あたしの電話番号はこれね、それとLIN〇のIDはこれねっ!」
「えーと……電話番号だけで十分なんだが…… なぜLIN〇まで?」
「えぇ~いいじゃん~、もしかして、LIN〇やってない系?」
「いや、まぁ、やってるが……」
「じゃあはい、これあたしコード、読み取りお願いっ!
亜希は自分のスマホから読み取りコードを写し、光樹は言われるがまま連絡先を交換した。
電話番号だけでいいのになんでだ? うーむ、女子高生の考えてることはイマイチわからんな、でもまぁ、断る理由も特に無いし別にいいか。
亜希は携帯をみて、登録完了を確認し、小ばかにした態度で話した。
「あ~ 光樹って自分のプロフィール画像何も設定してないの? そーゆー細かいところしっかりしないとモテないよ? 」
光樹はこういったプロフィール画像関しては無頓着で初期状態のままである。ちなみに、SNS等など登録はするがそれっきり何もしない。
「いちいちやかましい、基本連絡先さえわかればいいの、それに今の時代、個人情報漏洩は怖いからネットでは自分をオープンにしないんだ」
本音はめんどくさいからやらないだけだが、それだと格好がつかないのでそれなりの理由をつけて亜希に言い返した。
「えぇ~ まぁ、確かに、そうだけど友達だけだから大丈夫じゃない? 光樹はもう少し人を信じたほうがいいんじゃない?」
職業柄信じるのは書類だけだと教え込まれてる光樹は基本的に人の言う事はあまり信じていない。
「もう好きに言ってくれ、それといい忘れてたが、俺の知り合いの弁護士から現状を確認するために一度連絡が入るはずだ、対応よろしく頼むな。名前は……野村先生っていう人だからいきなり電話が来ても驚くなよ?」
「は~いわかりました」
「じゃあ俺はそろそろ帰るぞ、明日はちゃんと学校行けよ? それと夜遅くまで出歩くなよ危ないから」
「わかってるってっ! もう大丈夫ですよぉ~」
亜希自宅の玄関へ向かった。
「それと、昨夜ははありがとな、迷惑掛けた」
光樹は昨夜の謝罪とお礼を言った。
新人の頃、上司に教えられたのだが、悪い事をしたら言い訳せずに謝る、よくしてもらったら感謝する……社会人としてのマナーである。
「別に迷惑じゃないし……っ、じゃあね」
亜希は小さな声でそう言うと、足早に自宅に入っていった。
「……まぁまだわからんと思うが、人間素直になる事も時には大切だぞ? 女子高生」
光樹は誰にも聞こえない声で呟いたのだった……
心は17歳です。(真顔)




