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7話:売却依頼再び?

――時刻は10時過ぎ、光樹は自宅のソファーで目が覚めた。


「うぅ~、頭いてぇ~、まだ吐き気がする……そういえば昨日の夜、啓明と2件目いってそれから……栄養ドリンクと朝飯を買いにコンビニへ行く途中……小生意気なJKが補導されてたのを助けて……そこからはあんまり覚えてない……俺なんとか家に帰ってこれたのか……?」


 飲み過ぎて記憶が無くても、家に帰ってきてる事がたまににある、今回もそれと思った光樹だった……


 ふと、光樹は自宅の時計を見た。


「……10時過ぎか、まぁ、今日は仕事は休みだし大丈夫……もう少し寝ようかな……えっっっ?!」


 光樹は再び寝ようとすると、思いがけない姿が目に映った瞬間、ここ数年で一番まぬけな声を発した。


「あっ、起きた、具合はどう大丈夫? 一応飲み物とか買っておいたけど、なんか食べる?」


 俺の家には……なぜかはあの小生意気なJKがいた。


「えーと、なんで君がここにいるかな……? 俺はもしかして警察に通報されて逮捕されるのかな……?」


 光樹は冷や汗をかいていた。


 まずい、まずすぎる、この状況、俺は社会的に抹殺されてしまう。


会社員の佐々木光樹容疑者(28)は未明、未成年の女子高生に対し、みだらな行為をしたため県条例違反で逮捕……というニュースが流れるかもしれない……


「やっぱ覚えてないか」


 亜希はちょっといたずらっぽい口調で言った


「えーと……俺は君に失礼な事をしてないよな……?」


 光樹は完全に下手に出るしかなかった。嘘だ、嘘だといってくれ……光樹は心の中で叫んでいた。


「う~ん? ちょっと失礼な事はされたかなぁ~? ていうのはじょ~だん、あんた、私が頼んでもいないのに勝手に助けて……そのあといきなり顔色悪くなって……公園のトイレで吐いた所までは覚えてる?」


 光樹は頭を抱えながら頷いた。


「あぁ、薄っすらだがそんな事があったような気がする」


 亜希は少々呆れた顔しながら話す。


「あの後、あんたお金渡すと同時に寝ちゃって……どうしようもないからタクシー呼んだ」


 我ながら酒が原因とはいえ、大事なとこで意識を失うとは情けない。不覚だ……


「でもなんで俺の家の住所がわかった?」


 亜希は台所に行って何か作業を始めている。


「あんた手に持ってた財布もってたでしょ? その中に免許証あったから、それでわかった、あぁ~、二日酔いには味噌汁が良いから作ったけど食べる?」


 おいおい、いきなり優しんだがこいつ? いつもの毒のある言葉はどうしたんだ……正直調子が狂う。


「なんかこの前までの反抗的な口調はどこいった……?」


 光樹は口が滑って本音を言ってしまった。


「はぁ? さすがに具合の悪い人に突っかからないつーの! てかその言い方はちょっとひどいくない? せっかくここまで運んできたのにさぁ!」


 確かにその通りだ、誰がどう見ても俺が悪い。ここは大人しく謝って従うしかないな、通報されたくないし。


「あぁ……悪かった、じゃあお言葉に甘えて飲み物と味噌汁くれ」


「最初からそういえばいいのにっ! ほいっ、あっ、ちなみに調味料とか勝手に使っちゃったけど……大丈夫だよね?」


 亜希は少し怒りながらも、そういいながら台所から出てきた。


「別にいいよ、そういえば、冷蔵庫にあんまり食材は入ってなかったはずだが……」


 そう、光樹は基本的に自炊はしないため、最低限の調味料以外はこの家には無い。


「あんたが寝てる間に近くのお店で買ってきた、てかさぁ、冷蔵庫に食べるもの入って無かったけどぉ、もしかして自炊とか一切しないタイプ? マジ栄養偏るからあんまりよくないよ?」


 亜希は飲み物と味噌汁、ついでにおにぎりをもってきながら光樹に言い放った。


 こいつまだ女子高生の癖に母親みたいな事言うのな、でもまぁ、亜希の言うことは正論である、だがまぁ、現実的に仕事が終わった後、自分で自炊するとか体力的に無理だ、気持ちが持たない、てか、社会人の一人暮らしをする男の大部分は外食やスーパーの弁当がメインになりがちだと思うがどうだろうか。


「はいっ、二日酔いで食べたくないだろうけど、少しは食べておいたほういいよ」


「おぅ、ありがとう、じゃあお言葉に甘えていただくわ、いただきます」


 光樹は大人しく運ばれてきた食事に手を付ける。


「はいはいどーぞ」


うむ、なかなかいい味付けだ、味噌汁は出汁がきいてて二日酔いには丁度いい、見た目によらず意外と家庭的なんだなこいつ。


ーー「ごちそうさん、旨かった、大分体調も良くなったし正直助かった、ありがとう」


 亜希は食べ終わった食器を片付けながら返事をした。


「お礼なんていーよ別に、酔っ払いの介抱はある程度慣れてるし……」


 酔っ払いの介抱は慣れてる……? なんかいかがわしい匂いがするが……詳しく聞くのはよそう……


「失礼だと思うが、その、意外と家庭的なんだな、見直したよ」


 亜希はスマホを取り出し画面を確認しながら答える。


「はぁ? マジ失礼な事言うねっ! おじさんモテないでしょ?」


 グサグサっ! 光樹の心に容赦ない言葉が突き刺さった。確かに失礼だったと思うがそれ関係ある? それと呼び方おじさんになってるし、この小生意気なJKがっ!


「おい、モテるモテないは関係ないだろ、それと、調子に乗るなよ不良少女が、俺はまだおじさんじゃない、まだピチピチの20代だ、お兄さんが普通だっ!」


 光樹は力強く反論する。


亜希は小ばかにした口調で反論し返す。


「お兄さん?w ちょっと何言ってるかマジわからないんだけどぉ~ てかさぁ、そっちこそ君とか不良少女とか言うの辞めてくれない?」


 光樹はすぐさま反論し返そうとしたがやめた……自分置かれた状況を思い出した。


酒が原因ではあるが、一晩介抱された身……正直立場的に弱い……変に怒らせて通報されたら社会的抹殺が待っている……


「くっ、わかったよ、ここで提案だがお互い名前で呼び合うのどうだ?」


「えぇ~名前かぁ~、まぁいいや、じゃああたしの事は亜希でいいよ」


 亜希は最初は嫌そうな素振りをみせたが、光樹の提案に肯定した。


「んじゃ、俺の事は光樹で頼む。よろしくな、そういえば、今日は平日の火曜日なんだが、学校はどうした?」


 不動産屋は基本的に、火曜、水曜、木曜のいずれか平日休みのところが多い、これにはもちろん理由がある、お客さんが動くのは大抵休日や祝日が多いからである、従って、世の中のカレンダー通りに休むと仕事にならない。


「あぁ~、具合悪いから休むって先生に連絡した、あぁ~、ほら、あたし最近バタバタしてたから先生もある程度配慮してれてるみたいなんだよねぇ……」


 亜希は、ばつの悪い顔で話す。


「高校生にとっての1日は大きいぞ、勉強は特に……次々先に進んでわからなくなるからな、まぁ、休んだ原因が俺のせいだから俺に言う資格はないんだけどな……」


 ……光樹は先日売却相談に来た時の内容を思い出した、確か、亜希は最近母親を亡くしてるんだっけか……正直高校生で天涯孤独になるのは辛いな……多分元々の家庭環境も厳しかったのだろうし……よし、気まぐれで助けたのも何かの縁だし、今回だけは手伝ってやるか……


「話はかわるが、あれから法律相談は行ったのか?」


 光樹は先日、相談に来た際にアドバイスした事についてきいてみた。


「えっ? まだだけど……」


 光樹は覚悟を決めて話し始めた。


「この前の売却依頼の件、俺にまかせろ、全力でサポートしてやる」


 亜希は目を見開いて驚いた顔をしていた……


二日酔いの朝は味噌汁がいいですよね。(個人的に)

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