6話:キッカケ
「だからっ!今から帰ろうと思ってるって言ってるじゃん!」
そこには先日不動産売却依頼に来た女子高生がいた。
「だからね、今の時代は色々と物騒な事件が多いから、親御さんか学校の先生に迎えに来てもらうまではダメです。もし、時間が掛かるようであれば交番まで来てもらうよ」
警察官は諭すように女子高生に話しかけていた
なんだ、補導されてるのか、あの小生意気なJKは、本来であれば助けてやる必要は無いが……なんか困ってそうだし、この場は助けてやるか……一応顔知ってるし…
光樹は素面であればそのまま通り過ぎるが、酒を飲んでて酔っている事もあり、助けることにした。完全な気まぐれである。
「すみませ~ん。家の妹がご迷惑を掛けました。勉強してたらいつの間にかこんな遅い時間になったからって……母から連絡受けて向かいに来たんですけど、勝手に違う場所に移動してて探してたんです」
光樹は小走りで向かい、警官に説明した。
「はぁ?あんた……関係無いじゃんっ!そもそも妹じゃっ」
この小生意気なJK、俺がせっかく助け船を出してるのに払いのけるとは……下手にミスると俺まで連行されかない……なんとか乗り切るしかねぇぞこれは……
「いや~最近反抗期がちょっとひどくてね~いつもの事ですから安心してください、おまわりさん。えっと、もうそろそろで終電に間に合わなくなってしまうのでこのまま失礼させてただいてもいいでしょうか」
警察官は最初は怪しげに顔をしかめたが、肩を下ろし頷いた。
「わかりました。今日はもう帰っていいですから念のため、連絡先だけは教えてください」
光樹は連絡先を伝えて事無きを得た……この先何もなければだが……
警察官は光樹の連絡先を聞くとその場を立ち去った。
「おい、不良少女、何か言う事は無いのか?」
この時間帯に街中を制服で徘徊してたら補導されて当然だ……光樹は呆れた口調で話しかけた。
「誰も助けてくれなんて言ってないし、別にあんたがいなくてもなんとかなったし、勝手な事しないでくれる?」
亜希は強い口調で光樹に言い放った。
困ってたから助けてやったのにその言い草はなんだよ、頭にくるぞホント。
「はぁ~、そうかぁ~、すまんな、勝手な事して、そうですよ勝手な事した俺が悪かったですよ、すみませんねぇ~」
この小生意気なJK……押してダメなら引いてやるわ。
「はぁ~? 何その言い方? うざいしムカつくんだけど……? ってあんた顔色良くないけどマジ大丈夫?」
さっきのお店で調子に乗って飲んだテキーラがまずかった、今になって吐き気が一気に襲ってくる……気持ち悪い……
「心配するな……じゃあ後は気を付けて帰れよ……」
亜希は今まで見たことないような心配した顔で光樹に話かける。
「いや、誰がどう見ても大丈夫じゃないから、あっちに公園あるから、少し休みなよ、肩貸すからさ」
なんで、こっちが大丈夫って言ってるのに近づいてくるんだよ……28歳の大人が女子高生に介抱されるとか洒落にならんぞ……
「いいからっ! こっちこっちっ!」
亜希は強引に光樹を連れ出そうとする。
「いや、問題無いと言ってるだろう……俺に構わず帰れ」
亜希は観念した口調で光樹に話す。
「じゃあさ、さっき助けてもらった借りを返すだけっ! それでいいでしょ?」
これ以上言い合いをしても埒があかない……何より吐き気が……結構まずい……
「勝手にしろ……」
――公園に到着し、光樹はトイレで吐いた。
酒を飲み過ぎた時、あの吐き気を耐えることのできる人はいるのだろうか……否、耐えられる人はいないだろう……俺の世界では少なくとも……
光樹はふらつきながらベンチに座っていた亜希近づく。
「悪かったな……もう終電無くなったし、これで家までタクシーで帰れ、俺は大丈夫だから」
光樹は意識が朦朧とする中、最後の力を振り絞り財布を取り出し亜希へお金を渡す。
「いきなりお金だけ渡されても! って……おーい、寝てるし……自分から助けておいて自分が介抱されるとか……変な人だなホント……」
そう言う亜希の顔はいつもの不機嫌な顔ではなく今まで見たことのない優しい顔だった……
一度はお酒で痛い目にあうよね?(ゲス顔)




