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3話:準備

「ただいま戻りました」


 時刻は夕方、光樹は外回りから事務所へ帰ってくる。


「おかえり、今日はなんかいいことあったか?」


目の前に座る同期の啓明が話掛けてくる。


「相変わらずいいことなんかねぇな、いいことではないが強いて言うならめんどくさそうなことに巻き込まれそうになったくらいだな」


光樹はダルそうな声で返答する。


「ほう、そのめんどくさそうなことってなんだうよ? 近隣挨拶に行ったらお話し好きのおばちゃんに1時間捕まったとか?(笑)」


啓明はいつもの調子で話を広げる。さすが、営業だ、話を聞き出すのがうまいな。


「いや、自分よりずっと若い人が売却相談してきたって話だ、しかも、売る準備も整って無いからこっちとしては手伝いしようが無いってとこだな……」


光樹は今28歳だ。不動産を買うお客は同年代や年下もいるのだが、不動産売却のお客となると一気に年上が多くなる。というかほとんどがご年配の方だ。


「確かに年下が売却相談とは珍しいな、でもトラブルに巻き込まれる前に回避できそうで良かったな、そういえば、明日の午前中は予定ってどうなってる? 俺、重要な商談が入っちゃって広告の打ち合わせかわりにやってくれない?」


毎月光樹のいる不動産課では、広告関連は、基本的には若手が行うことになっており、光樹と啓明が1か月おきに当番制にして手配している。若手は社内からの紹介や業者からの紹介が少ないため広告はお客さんを呼び込むための集客ツールとしてはかなり重要なのである。


「明日? まぁ特にアポイントは無いからいいぞ。そのかわり連絡先は俺でいいか?」


広告の連絡先を会社にしてしまうとお客さんがそっちに連絡してしまいせっかくのお客さんが他の営業に取られてしまう。そのため、不動産広告の連絡先は広告作成した営業の連絡先にするのが一般的だ。


「こっちの都合でかわってもらってるからいいぞ、明日11時だからよろしくな! あと、松本さんには俺から連絡入れておくわ」


「了解した」


啓明は会社の携帯を取り出し、担当者変更の旨の報告をしていた。


「……建設の橋田です。えぇ、明日の広告の打ち合わせの件ですが、担当者の変更の旨をお伝えしたくご連絡しました……えぇ、担当者は佐々木になりますので……えぇ、よろしくどうぞお願いいたします」


啓明は松本さんに担当者変更の連絡を終えた。


「松本さんと打ち合わせか、ちょっとテンション上がるな……」


松本さんとは、本名は松本佳奈(年齢29歳)某広告会社で働く営業で、光樹の会社の広告関連を担当している人だ。なんでもテキパキとこなすキャリアウーマンで非常に仕事ができる。ちなみにすごく美人だ。


「松本さん美人だがなんか近寄りがたい雰囲気だしてるよな、松本さんが担当になったばっかりの頃はうちの会社の人も結構狙ってた人多かったんだけど悉く玉砕してるみたいだぞ」


 「確かに一目見れば声をかける男性社員がいても全くおかしくはないが……でもまぁ、確かに仕事での付き合いしかわからないけど常にピリピリしてるというか……広告会社っていう常に締め切りとの戦いを求められる仕事も関係してるんじゃねぇ?」


職業病ってあると思う、俺もこの職業について学生の時だと全く気にしていなかったことが気になってしまう時がある。


「そうかもしれないな、ちなみに彼氏はいないらしいぞ? 光樹狙ってみればいいんじゃないか?笑」


うむ、あんな美人が彼女だったらどれだけ良いことか、松本さんみたいな人にだらしがない俺の生活習慣を矯正してもらい・・・ゲフンゲフン


「高嶺の花だし……ましてや俺なんて眼中に無いでしょ……」


「世の中わからないぞ~意外な人と意外な人が付き合って結婚したとかあるし」


俺はその意外な人になれる気がしない


「イケメンが言っても説得力無いぞ?」


「まぁ、人生何事もチャレンジしてみろってことだよ」


世の中色々と不公平である。




――時刻は8時過ぎ、光樹は仕事が終わり、自宅へ帰るため会社を出る。


「ふぅ、今日も疲れた……明日も仕事だ……憂鬱だ、帰って飯食って早く寝るか」


光樹の勤めている会社は駅近くの都心部にあり、また、光樹の住んでいるアパートは会社から車で15分くらいのところにある。基本的に食事は外食やスーパーで買ったお惣菜や弁当のため、帰る途中に適当な店で食べたりスーパーによっていったりしている。


「そういえば、明日は会社の歓迎会だな、金使うし今日はスーパーでいいかな、ぶっちゃけめんどうだから行きたくないが…」


社会人たるもの会社の飲み会は避けように避けれない強制イベントである。ネットでは、会社の飲み会は絶対にいきません! 新人だが会社の飲み会行くやつおる? 会社の飲み会ぶっちしたったwwwなどの書き込みを見るが、大体の社会人はそんな事は無く飲み会に参加するだろう。


ーー夕飯を買い、自宅へ帰る。


「ただいま、さて、ネットで動画を見ながら飯でも食うかな、やっぱあそこスーパーの総菜はクオリティが高いな……300円で幸せになれる……なんて素敵なんだ……


光樹は夕飯を食べて風呂に入ったら早々に寝落ちした……

社畜は辛いです・・・


嫌なことばっかりです・・・




今回の話は男ばっかりで申し訳ありません。


次は女の子を出す予定なので許してください。

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