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15話:報告・連絡・相談

 木曜日、カレンダー通りの休みの人であれば、各々土日の予定を決めたり決めなかったり…… あと二日行けば休みっ! という思いで会社や学校に行く踏ん張り時な曜日…… そう…… 世間一般では、そのような認識があるが、光樹の職業は違う、火曜日・水曜日休みである光樹にとって、木曜日は週の始まりである。


 光樹はいつもの週の始まりの憂鬱な気持ちを抱えつつ、景色を眺めながら会社へ向かう。


 「おはようございます」


 仕事が始まる15分前に会社へ到着し、挨拶をしながら自分の席に向かい、椅子に座ると向かい側の席にいる同期の啓明が話しかけてきた。


 「おはよう、木曜日の光樹は一層やる気が無さそうだなぁ…… あれ? 少し雰囲気が違うがどうした? 女でもできたのか?」


 同時に入社から早数年、数々の仕事を一緒にしてきた啓明は光樹の些細な変化に気がついた。


こいつ、よくそんな事気が付くな、俺も無意識に表情や仕草に出てたのかな…… でもまぁ、営業やってると人の些細な表情や仕草に敏感なるんだよな……


「いやできてないし、かわったことはないが、ほら、俺らにとって、木曜日は週の始まりだし、多少やる気は出さないとな?」


 「ん~ 俺の見当違いだったか? でも、やる気が無いよりあったほうが活気付くし仕事やりがいも出てくるからいいと思うぞ」


 当初啓明は何かを探るような顔をしたが、すぐにいつもの表情に戻って自分の仕事を始めた。




 光樹の所属する課では、木曜日の朝に案件の進捗状況等の報告を課長にする。ちなみにだが、案件が何も無いと詰められる。(どの営業も経験は少なくともありますよね?)


さて、今の見込み客の報告を田島課長に

するかな。


 田島課長の席は、光樹の所属する課の奥の席にある、光樹は田島の机に近づくと、田島はパソコンを見ながら難しい顔をしていた。


「課長、定例の報告なんですが、お時間いただいてもよろしいでしょうか?」


 田島課長は、顔を上げた。


「おう、そうか、今日は木曜だな、何かいい話でももってきたか?」


「すごくいい話とまではいかないのですが、1件媒介になりそうです。任意売却の物件で少々手が掛かるんですが、物件としては、売れる物件だと思います」


「ほう、任売物件の仲介か、正直作業的にも精神的にもつらい案件だと思うが…… 話しの内容を具体的に教えてもらえるか?」


 光樹は亜希の現在置かれている状況を説明した。


「なるほどな、残債の金額によっては、うちで任売物件を買って転売する方法もいいと思ったが、現状うちで買い取る場合だと恐らく残債を消せるだけの金額提示は不可能だ…… 正直な話、任売物件の仲介は手間ばっかりかかるかって利益が少ない…… 数字だけを求める上司だったら断って別の物件をやれと指示するかもしれないな…… さて、佐々木、俺の指示はどっちだ?」


 田島課長の言う事はすごくわかる…… 大変な物件を担当すると、それにばかり時間を取られてしまい、他の契約が取れなくなる。負のスパイラルに陥るのである。こんな営業マンを実際に見て来た光樹は痛いほど理解してるつもりではあるが、亜希の現状を知り義理人情が少なくとも芽生えているため、そんな不幸は味わわせたくないと思っている光樹だが、世の中のサラリーマンは上の指示は絶対だ……


少しの間、沈黙続き、光樹は恐る恐る返答した。


 「課長なら…… 足を踏み入れろっ! ですよね?」


「わかってるじゃないか、そうだ、その案件全力でやれ、他の受注を全く取れないのはダメだが多少悪くても目を瞑ってやる。おまえのやるその1件は、他の何倍もの価値のある1件だ。目先の利益を求めるだけじゃダメだ、色んな経験をして、視野を広げろよ佐々木、いい報告を期待してる」


「わかりました。それと、話はかわるのですが、広告の件、恐らく初稿が出来上がります。届き次第、メールしますので確認お願いします。締め切りに関しては、翌週の月曜になりますのでよろしくお願いします。他に進んでいる案件等で問題等は特にありませんので報告は以上になります」


「そうか、広告は後から確認しておく、相談事があったら都度話掛けてきてくれ」


「わかりました」




 光樹は初めて田島の下についた時の事を思い出した…… 


光樹が最初に田島の下についたのは、入社2年目だった、仕事にもあまり慣れていない時にもかかわらず、田島はわざわざ難しい物件を与え、失敗を経験させることで光樹の成長を促した。


 あれは相当しんどかった、今でも思うが、正直あれは昔ながらの指導方法だ、大失敗も経験したが、運よく事なきを得た案件も複数あり、ぶっちゃけ、クビも覚悟したな…… でも、あの時の経験が無ければ、今の俺はいない事も事実なんよな…… 


 以前、そのような経緯があった事も踏まえて、会社に報告しても承認を受けることはできると見越した上で光樹は今回の件の依頼を受けた。


 さてさて、面倒な報告は終わったし、亜希の案件をするかな、銀行や、保証会社等に連絡を取って、あいさつにも行かないとな…… まずは、周りを固めていくことからスタートだ、同時に客探しもするかな。


 光樹は動きだした。



風邪ひきました。会社休めません。

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