13話:アフター
食卓には、美味しそうな手料理が並んでいる、亜希は、小皿にいくつか取り分けして、光樹へ差し出した。
「…… ありがとう、すまんが、そこのドレッシングも取ってくれ」
「はい、あんまり掛け過ぎると体によくないよ」
「俺は、濃い目が好きだからいいんだよ」
光樹は、なぜか、女子高生の手料理を食べていた。
――光樹は、亜希に、一通り説明を終えると、窓の外はすっかり、陽が沈み、闇がたちこめていた。
「今日は長々と時間を取ってもらってありがとな、礼ってわけじゃないが、外も暗くなったし、この後、予定が無ければ、飯でも食いにいくか? もちろんだが、奢るぞ」
「はっ? いや、そんな気をつかわなくても別にいいし、てか、お礼とか…… こっちが依頼してるんだからさ……」
亜希の返事は歯切れが悪く、あいまいな表情を作った。
「遠慮するなって、俺も一応大人なんだから、子供は甘えられるうちに甘えとけって」
亜希は、眉を吊り上げ、言い返した。
「子供扱いすんなっつーの、つーか、お礼とか、こっちは別にそんな事思ってないっ!」
このJK素直に甘えてれば可愛いものの、この期に及んで反抗するとは、可愛げが全くないやつだな。
「わかったわかった、礼じゃなく、普通に飯食いにいくだけならどうだ?」
「それなら…… てかさぁ、あたしから提案なんだけど、外食じゃなくて、ウチでご飯食べない? 食材の費用は光樹で、作るのはあたしっ! これでお互いギブアンドテイクでしょ?」
このJKは、突然何を言い出すんだ…… でも、これ以上反論するとめんどくさいし、肯定するしかないな、まぁ、料理は慣れてる感じだったから安心できそうだし。
「それで満足ならそれで頼む」
「えっ? じゃあ、そーと決まったら、買い出しに行こうっ!」
亜希は勝ち誇った表情で光樹を誘った。
なんか負けた気分だ、しかし…… こいつ気分がコロコロかわるな……
「わかった、えーと、確かこの周辺にスーパーまるのやがあったな、そこにするか?」
「うん、そこに行こうと思ってた、よく買い物するんだよね~ てことで、何食べたい? ある程度の要望なら応えるけど?」
「そんなのなんでもいいよ、基本食えればいいからな」
「はぁ? ここでその解答とか、ありえなくない?」
…… 確かに亜希の言う通りだな、返答がぶっきらぼう過ぎた。
「すまなかった、じゃあ、亜希がよく作ってる料理で頼む」
亜希は顔を上にあげて、すぐさま、視線を戻した。
「う~ん、まぁいいや、じゃあ、テキトーに思いついたの作るからっ!」
他愛もない会話の後、光樹と亜希は、買い出しに向かう。
――スーパーまるのや、ここは、亜希の家から徒歩10分程の所にあり、地域に密着したスーパーだ、地元の農家等から仕入れしていることもあり、安く新鮮な食材が豊富にあるため、わざわざ隣の街から来る客も数多く存在してるらしい。
光樹と亜希は、お店に到着すると、店内は客が多く活気に満ちていた。
「ウワサには聞いていたが、客が多いな…… ところでだ、わざわざ制服で来る必要あるか?」
「いいじゃん別に~! あっ、今日は、お肉が安いな~、あっ、春キャベツあるっ!」
チラシを手に亜希は感情が高ぶっていた。
つーか、制服姿の女子高生の言うこととは思えないな。
「おい、ちょっと待て、人が多いからカゴ持って歩きにくいんだ」
「ごめんごめん、ちょっとテンション上がっちゃって、よぉ~し、気合を入れて買い出ししますかっ!」
食材買うだけなのに気合なんか入れる必要なんか無いだろ……
「あぁ…… まぁ、その、なんだ、任せるわ」
亜希は人混みをかき分けつつ、慣れた様子で食材を買い物カゴに入れていった。
光樹と亜希は、食材を選び終わり、レジに並び、会計を済ませ、亜希の自宅へ戻った。
――亜希の自宅に戻り、小一時間、台所から食欲をそそる美味しそうな匂いが漂ってきた。
「ご飯できたから、運ぶの手伝って~」
「わかった」
光樹は台所へ向かうと、エプロン姿の亜希がいた。
「どれを持っていけばいい?」
「今、鍋からロールキャベツ出して盛り付けするから、冷蔵庫から、サラダと、ご飯と味噌汁持っていって、あと冷蔵庫にお茶入ってるから~、皿はそこの食器棚から適当に使ってっ!」
「おう、えーと、皿は食器棚にあるやつと……これでいいか?」
「それで大丈夫っ! 後は、作り置きのおかずを出して、よし、完成!」
料理が完成し、食べる準備が整うと、光樹と亜希は、テーブルに向かい合って座ってご飯を食べ始めた。
――以上のような経緯があって、冒頭に戻る……
光樹は、メインディッシュである、ロールキャベツを口に運んだ。
てか、このロールキャベツ美味いな、特にソースが絶妙だ、飯が進む。
「どう? 美味しいでしょ? このソースが特に自信作なんだぁ~」
亜希は自身に満ちたドヤ顔をしていた。
「あぁ、美味い、ご飯飯お替りだ。普段から料理は亜希がしていたのか?」
「うん、料理というか家事全般かな…… ほら、あたし母子家庭だし、お母さんは基本的に仕事で忙しいから、自然とあたしがするようになったかなぁ……」
「ほう、偉いな、この歳でこれだけしっかり出来てれば、いい嫁になれるぞ、良かったな!」
光樹は冗談交じりな言い方ではあったが、本音を言った。
「っ……はいはい、どうもありがとうございますぅ~」
亜希は、一度、目を見開き、わざとらしい芝居かかった口調で光樹言い返した。
――食事が終わり、一段落つくと、時計の針は21時を指していた。
「よし、今日はそろそろ帰るわ、飯、ご馳走様、美味かった。また、何かあったら連絡するからな、ブロックするんじゃないぞ?」
光樹は仕事、亜希は学校があるため、これ以上長居するのは良くない(色々別な意味でもヤバい)。
「ブロックしないっつーのっ! じゃあ、またねっ!」
他愛も無い会話の後、光樹は亜希家を出た。、
外は、春といえど、夜になると冬の気配が粘り強く残っていた。
「う~寒っ! 上着持ってくればよかったかな、よし、明日も仕事だし、今日は早く寝るかな…… っ?」
光樹は亜希の家を出て間もなく、強い視線を感じた。
「なんか、嫌な視線を感じたな…… 気のせいであればいいが……」
光樹は強い視線に若干の不安を感じながら自宅へ帰った。
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