シィの様子
「これではほとんど軟禁みたいなものですね」
シィは俺の専属のメイドだ。俺がいないとやることがない。
「地位も持たぬメイドが用もなしに我が物顔で王宮を歩くなど許されない事ですよ」
王宮のマスターメイドに言われたことを思い出すシィ。用もなしに出歩くなとは、部屋から一歩も出るなと言われているようなものだ。
「ロドム様がいなければ、私の扱いなどこれが普通ですか」
貴族でもなければ、騎士でもない人間の扱いなんてこんなものだ。ハインネの用に、何か一芸があって仕事を任されるなら話は別である。
あとはテニーのように貴族のおもちゃにされたりだ。
「あれは勘弁です」
そうは言うものの、このままでは宮殿の事情にも疎くなる。フェリエも知恵をつけているものの、謀略をできるまでの知恵はない。そもそも動く気があるかどうかも問題だ。
「反乱貴族の身柄の引き渡しを要求されたとか言っていましたが……」
反乱貴族が、隣国とつながりがあるというのは、まあわからない話ではない。
だが隣国がそんな貴族を引き取って何か得をするのか?
得とするとしたらどんな利用価値があるか?
隣国で、その貴族を買い取ってくれる人間でもいるのか?
「情報が少なすぎます……」
こんな状況じゃ、いくら考えても真実になどたどり着けない。
「えっと貴族が引き渡されたら得をする人間と言えば」
貴族を捕まえた騎士は損をする。
反乱した時点で処刑は確定しているようなものだ。だから、隣国とのつながりを隠す理由はもうない。
「だからなんだって話ですか」
本当に、情報が少ないのだ。いくら自分が他人の心を読め、知略にたけても何もできない。
「もどかしいです。ロドム様。早く帰ってきてください」
今の自分は完全に役立たずだ。それを感じるロドムが戻ってきたとき、すぐに動けるように状況の把握をしておくべきはずの自分がこれではいけないと思うが、どうにもできないのが現状だ。
「早く帰ってきてください!」
シィは天井に向けてそう言った。




