その頃のフェリエの様子
今の王宮の様子だ。フェリエが一休みという感じで椅子に座って溜息を吐いていた。
「ロドム様からの連絡が途絶えてから、そろそろ一週間ですが」
フェリエは言う。
「テニーさんの教育も、もう終わってしまって他にやることがないですわ」
ちょっと待て。文化後援は? 農業の充実は?
「農業、音楽、演劇の専門家を育成したら、他にやる事がなくなってしまいました」
こいつらはゲームのキャラか? 俺が指示しないと何をやればいいのかわからないのか?
「ロドム様の後ろ盾があればこそ、自由に動けていたのですが、ロドム様がいないと、いろいろ難癖つけてくる人が多くてうかつに動けないのですわ」
説明どうもありがとう。俺の名前があるって結構偉大なんだね。父が女王の側近っていうのはかなりの力になるらしい。
後ろに控えるのは綾斗だ。使用人の制服を着せられていた。綾斗君は使用人として呼んだ覚えはないんだが、使用人の制服。言ってしまえばメイド服を着ていた。
「テニーさん。ロドム様がその石炭とやらを持って帰ってくると、いまだに信じていますの?」
「もちろんです。ロドムのやつ……」
「ん?」
かなり険の籠った「ん?」だ。それから、かしこまった綾斗はペコリと頭を下げていいだした。
「失礼しました。あなた様の世界で一の美しく、知的で慈愛にあふれた男子であるロドム・エーリッヒさまは……」
おいコラ。何言わせてる? やめろ。恥ずかしいからほんとやめろ。
「わたくしの空を飛ぶという夢のために、必ずや石炭を手に入れて戻ってきてくださいます」
言葉使いを完璧にされてる綾斗君。
すまないが当分帰れそうにない。綾斗君は目が死んでいる。
死んでから百万年経った氷漬けのマンモスのような死んだ目をしている。どのような調きょ……もとい。教育をされたのだろうか。
「空を飛ぶですって? あなた、何を言い出すのですか? 空を飛ぶことができるのは鳥とアホウくらいのものですわよ。空を飛びたいならアホウになりなさいな。カタパルトでトーンと空に上げてあげますから」
何言ってんのフェリエ。君、空を飛べる魔法持ってるよね?
気球で俺が空を飛んだのだって知っているはずだしな。ホント君何言ってんの?
っていうか、何? その言い方。どこの悪女の真似をしているの?
「アホウではありません。空を飛ぶ事は出来ます」
「おだまりなさいな。空を飛んでからおっしゃいなさい」
そして、フェリエは足を組み替えた。
「足が疲れて来たわ」
フェリエがアゴで指示をすると、綾斗君はフェリエの足のマッサージ器具を持ってきた。
「のろま。グズグズしないでください」
フェリエに促されて、綾斗君はフェリエの足をオイルマッサージし始めた。
これを俺が見たらこういうだろう。
「フェリエ君。君、何やってんのかな? 何やってんのかな? 綾斗君は君の召使とかじゃないんだけど! どこの悪女だよ? どんな調子の乗り方したら、こんな悪の幹部みたいな事になんの!?」
幸いかどうかわからないが、その時の俺は火薬の合成で忙しかった。




