ほのの頭がパンクしないだろうか
部屋でほのと一緒に今後の方針を話し合っていた。ほのはアニーに悪い印象はないらしく、敵にまわしたくないといった様子だ。
「どうしましょう。あの子敵と見ればいいのか、味方と見ればいいのか?」
「敵です。完全無欠に敵です」
平和を望んでいるはいいものの、うちの国を攻め落とすのが平和の足掛かりとして仕方ないと考えているなら敵でしかない。
だが、石炭の情報を持っているかどうかは怪しいところ。考古学にもいろいろあるし、歴史的なものが専門なら知らないって事も十分にありえる。
ほのには接触の継続。俺は火薬の調合の継続。国から反乱貴族をこちらに送られるまでは時間稼ぎをしないといけない。それだけでも十分に意味がある。
案の定数日であの反乱貴族がこちらの送られるという話がきた。なんか父は渋っていて何か条件を持ってきそうな様子だったという。
余計な事考えてないでさっさと送っちまえ。もう用はないはずだ。
とはいえ、早く送られたらこちらも動きが遅れてしまう。アニーについて詳しい事も知っていないしな。俺は馬車馬のように働き、必死に火薬の量産をして時間稼ぎだ。
他人に製法を教えられないという設定のため自分で作るしかない。
フェリエから教えられた旧式火薬の調合法はやたらと面倒であった。まあ、時間がかかる方が時間がつぶせてありがたいというものだ。
ほのは道端の草をつまんでいた。
何か目当てのものがあるようで、道端をキョロキョロと首をめぐらしながら狙った草をつまんでいく。
「何をやっているんですか!」
アニーにいきなり声をかけられビクリと体をこわばらせた。
「貴重な草なのに」
ほのが狙って抜いていたのはこのへんでは見られない草らしい。
「あの草があると落ち着かなくて」
なははと笑うほの。
「歴史の話ができる人というのは貴重です。今日は離しませんよ」
昨日の事でなんだかんだ言ってなつかれてしまったらしい。これはこれで困った事態だ。
「あなたの史観を聞かせてもらいましょう。そもそも歴史とは何か。人はなぜ過ち繰り返すのか」
「あやまち……」
ほのは俺から聞きかじった言葉を言っただけだった。にわか知識はすぐに尽き、すぐにアニーの一人語りのような状態になったという。
「人は常に戦いを欲している。その争いが平和的に解決される手段として、スポーツになった」
「ロドム様スポーツっていうのは?」
「ルールを決めて勝った負けたを決める事。かけっこが早ければ、俺が勝ち、お前の負けとかね」
「そんなんで満足できるの?」
「一回で永遠には満足できない。だから定期的にスポーツの大会は行われる。だがそれには資金が必要になるため観戦料を取らなければならない。観戦料が大きな金になると知ると人の考える事は一つ。それを使って金儲けだ」
「けいざいこうかってやつだね」
「よくわかったね」
俺は火薬の調合をしながらほのに自分の価値観を教えていた。
ほのにこんな勉強は向かないことこの上ない。アニーとの関係を続けるには、この勉強を続けるしかない。
もともとほのは犬だ。犬の脳がこの高度な話し合いにどこまで耐えられるかが怪しいところである。
しかも、趣旨から外れまくってしまっている。こんな話ばっかしてて石炭の話に持って行けるのだろうか。




