王宮スパイ
「フェリエの主導でやってもらおう。あいつは見栄えもするし」
俺はこれらの事を公共事業として進める事はしたくない。
父と女王にこの話に入ってきてほしくないし、コントロールも自分でしたい。そうあれば、こうするのが一番都合がいい。
だが、バレれば父と女王から文句言われるのが見える。
こっそりやろう。
こっそりやったとこでいずれはバレるが、何が悪いのかわからないって顔しときゃ十分。
父と女王は権力争いで忙しいんだし、こういうのに手を回せるのは自分くらいだ。
スパイの方はこれからハルタナ主導でやってもらえばいいとして、考古学のテクノロジーの調査に戻ろう。
石炭を利用している形跡はなかった。
石炭は燃やすとアホのように煙が出る。
工場なども調べてみたが石炭を使っているところは見当たらない。
「成果なしで帰るとまた父に嫌味言われるだろうし」
とも思うが、スパイを大量に送って数々の技術の窃盗をしている。成果なしってのもないから胸を張って帰ればいいと考えるべきか?
とにかく、石炭の事がわからなければここに用はない。
考古学の学者は王宮に一人いるだけらしい。
王宮に潜入できればいいけどな。
「密使という手もある。いろんな貴族がこの国に密使を送っている」
ハルタナ。それ俺は初耳だぞ。なんで言わなかった?
「私はアサシンギルドの一員にすぎない。相手が誰であろうと、重要機密を話すわけにはいかない。依頼者との関係が第一だ」
ご立派だよ。社会的な信用のないお仕事だから人間的な信用を第一に考えるわけね。
「密使を一番多く送っているのは誰?」
「一番は言えんな。だが、この前砦を陥落をさせて捕まった貴族は頻繁に送っていた」
使うならその貴族の密使を使えって事か。
俺がどこぞの貴族の密使を名乗っていくつもりなのに気づいていたようだ。
「ならそうしよう」
使えるならそれでいい。王宮に向かう前に、俺はワームホールで国に戻って正装を取ってこよう。適当に貢物でも用意してな。
「本気かご主人? バレたら即処刑されるぞ」
「うるさいな。密使はどんなかっこで行っていた? とにかく見た目だけでもそれを取り繕わないと」
十五歳の身で密使の真似事なんてできるのだろうか? 貴族の妾の子とでも偽ればいいだろうか? それをふまえたかっこを選ばないといけない。
「あなたがもし死んだら私は立場が」
ハルタナがグダグダ言うがそんな事無視だ。
「そう思うなら君はありったけの情報を俺に教えてくれ。成功率を上げるために」
「ちょっと待て! 自分一人で行く気なのか!」
だからうっさいって。一人の方が身軽だし、足手まといを付けていける場所じゃない。
「そうだ。こうしよう。私が密使の役をやるからご主人はどこぞで待っていれば」
「君は考古学の知識なんてさっぱりだろう?」
石炭の場所を探る方法がわかればいいのだ。ハルタナに専門的な事など分かりっこない。
しかし、ハルタナが慌てる姿なんて初めて見たぞ。こうなると普段は冷静沈着なこいつもかわいく見えてくるのだな。
「とにかく、自分一人で行く。足手まといはいらない」
「早まるのはよしてくれ。数日待ってくれればこちらも手を考える」
数日か。その間にフェリエからの手紙やシィを連れてきて小言なんかもできるだろう。そんな事くらいしかできないだろうしな。
「予定は変更しない。今すぐ行く」




