この国の目的
「大盛況だったね」
「やっぱ、楽しい内容のがいいよね。ロミオとジュリエットより、こっちの方が好き」
オルとレデが、劇の感想を話し合っている。
ロミオとジュリエットも開演しているんだ。
この国から学ばなければならない事は山のようにある。
「ハルタナ。スパイって可能?」
「なんだご主人? 少し余韻に浸りたいから後にしてくれないか?」
「なんだこいつ? そんな理由で俺を待たせるのか?」
あっ……口に出た。
「なんでもない……」
すぐに取り繕ったが、オルとレデの二人はヒソヒソと話し合っている。バッチリ聞こえていたようだ。
「大事な話でもあるし、宿を探してからこの話をしよう」
袋の中の銀貨を数枚出してハルタナに言う。
「これくらいで四人が泊まれる宿を探してくれ。オルとレデとは別室で。少し、足が出てもいい。昼飯もまだだし、適当に屋台でつまんできな」
「了解だ」
そう言うと、ハルタナは繁華街の方に向かっていった。
「俺たちが散開する理由はない。どこかで待つぞ」
オルとレデにはそう言う。
なんでだろうね。こんなにイラつくのは。大体分かってはいるけど。
「知っても何もできないからな」
文化後援は完全に父と女王の管轄で、俺は手出しできない。
だが技術を奪って個人投資でやる事なら可能だろう。
今のうちにやれる事をやっておこう。
「君らはここから動くなよ」
俺は手紙を書き始めた。演劇家を集めておくようにと。劇作家の育成の準備もしたいので、劇団につなぎを取っておいてくれと。
フェリエなら余裕でできる事だろう。
ワームホールを作って、手紙をフェリエの実家の方に送る。小さく作った手を大きく広げたくらいの大きさのワームホールに放り込むと、フェリエの家のポストに投函される。
続いてフェリエにも手紙を書く。これも実家の用に送る。フェリエの実家の人間が、フェリエに届けてくれるだろう。
あと、うちの国で娯楽とは何か? と考える。
「酒とかあったな」
飲食物の事であれば、農学の発展したこの国に敵いはしないが、食い物をおいしくする事を追及しないわけにはいかない。
酒屋や蒸留所にも話がつなげるだろう。
父達はアテにできないので自分で文化を活性化させるしかない。カレーの作り方も普及させたいのだが、スパイスを手に入れる方法は遠くの国からの船以外にはない。
「この国でやるべきことははっきりしたな」
農学の発展を考えるのだ。食べ物をおいしくする事は、国を守るうえで大事な事である。




