文化レベルの差
「ロドム様。あなたなら大丈夫だと思いますがくれぐれもお気をつけあそばしてください」
「ちょっと待て、お前がいなくなったらこいつらを止める人間がいなくなるだろう! この先地獄じゃねぇか!」
「ロドムよ。女王が大変なこの時期でなくてもいいんじゃないか? お前の知恵がなくなると厳しいぞ」
「ロドム様。私にできるのは準備だけですが、何とぞお気をつけて」
「ロドム君。ファンクラブのみんなも無事に帰ってくるのを待っているよ」
「エーリッヒ殿。数学の力を見せてみせます。開発はお任せください」
内容だけで誰が言ったかわかる。うちの奴らは個性たっぷりだ。
ハルタナと一緒にオルとレデの随伴で隣国に向かうことにした。ハルタナは最悪置き去りにしても自分で何とかできそうだし。
馬車に乗って隣国に向かうことになった。俺の荷物は金くらい。後のものは現地で何とかする。
目的は考古学の知識だ。
隣国の文化レベルが急上昇しているらしいしその偵察。
オルとレデは街道を通って隣国に堂々と出入りしているらしい。その随伴という扱いだから、問題なく関所も通れるはずだ。
抜かりはないはず。最悪ワームホールを使って単独行動をすればいい。
馬車に乗り込むと、オルとレデも乗り込み馬車は発車する。
街道を走る馬車。隣国に近づけば近づくほど道がきれいに舗装されていた。
「こういうところから差が見えるんだよな。インフラ整備がしっかりされているというところから違う」
こういう方面は父と女王の管轄のはずだ。いかに、内部の政敵とのたたかいに手を焼いているかがわかる。
「この先は隣国だよ」
レデの言葉。
今の時代、国境は定まっていない。どちらのものかわからない土地に村なんかあったら隣国と自国両方から税の徴収されるのだ。道路の整備も向こうがやっているとなると村人が村から逃げだすとしたら、まず間違いなくうちの国にはやってこないだろう。
「関所が見えて来たよ」
あれが関所?
まるで道の駅ではないだろうかと思う。
馬車を止める駐車場があり、農家の老婆がその日とれた牛乳を露店で売っていた。
「負けてる」
のどかで犯罪の気配すらない。うちの国は犯罪は多く、老婆が一人で露店など開ける状態ではない。
関所を通るために必要な金もびっくりだ。
小銭程度。日本円で考えると百円くらいの価値しかない。ほとんど、関所の維持のための費用くらいにしかならないだろう。
交易の自由化など、うちの国では考えられない。関所は商人から金を絞るための場所でしかないのだ。
敗北感を勝手に感じていると、オルとレデの二人は露店の一つに向かった。
「ください」
そう言い、オルは露店でパンを買っていた。
「これはどういうもの?」
オルに向けて質問をするハルタナ。確かテルシオは農学を学んでいるのだ。美味しい小麦とかの知識もあるのだろう。
「ご主人も一個どうだ?」
パンを口にほう張りながら言うハルタナ。
見た目を見ると、前の世界のパンそのもの。イースト菌を使って作ったパンと全く同じだ。
「中の黒いのは一体?」
「餡子っていうらしいよ。テルシオ様が見つけたんだって」
自生している小豆を探して栽培に成功したようだ。小豆はうちの国にもあるが、もっと小さくて硬いものだ。
作物の品種改良か。
そんな知識自分にはない。
学問というものの偉大さをこういう形で見せつけられると絶望感を感じる。これは、絶対に石炭のありかを探さないといけなくなった。
しかし、ハルタナも含めたこいつらは俺が絶望を感じている理由を分かっていないらしい。




