偵察作戦
「ロドム。言った事さえ守ればいいというものではないぞ」
俺が王城に戻ると、父が言った。
「やっぱり言われたか」
呑気にそう言った俺。
「まあいい。今回は貸しにしておく」
反乱の親玉を連れて帰ってきた騎士達。
金を持って帰ってきた俺。
共闘をするというのは父には予想外の事だったのだ。
空挺部隊の有用性は、騎士の口から出てきた。反乱を鎮圧し、発言権を手に入れた騎士の言葉を、簡単に無視するわけにもいかない。
「なんでもかんでも押し付けられても困りますよ。私とて万能ではありません」
そう言ったら父は忌々しそうな顔をしていた。
空挺部隊への資金投入も決まり、俺としては目的を達成した。
そして、セリットとティーナの嘆願も女王の頭を悩ませる要因になる。
ライフリングの研究もしないといけない。数学者様の意見を聞かねばならない。ついでに、オルとレデがそろそろこちらに戻ってくる頃。
こんどはどんな情報を持ち帰ってくるだろうかというところだ。
「ロドム様。オルさんとレデさんが持ち返った情報ですが。戦争をする気はないのかもしれません」
国王は国の文化の発展に力を注ぎ始めたというのだ。
国立の劇場を作り、そこに貴族を集めて日夜、俳優達の劇を楽しんでいる。
なんでも考古学と音響学と文学の技術を持った人間がやってきたというのだ。
「考古学だって?」
それはヤバい話だ。
さて、どこから説明するか?
石炭と石油は生き物の化石であると言われている。
考古学の知識があれば石炭のありかを知ることもできる。
「綾斗に言わないとな。石炭があれば敵も鉄道を作れるかもしれない」
その、考古学の知識を持った転生者を、こちらに引き込めないだろうかと思う。
蒸気機関の知識はバッチリある。石炭さえ手に入れば、第一次世界大戦のように兵員を速やかに前線に送ることも可能になる。
それにより、被害がさらにひろがっていたがな。
「これは戦争の予兆なのですか?」
シィは不安そうになった。相変わらず、俺の頭の中を読んでいるのか。
「見てみないとわからない。戦争バンザイな劇ならヤバい」
戦争の前に敵国がどれほど悪い国なのかを民衆に宣伝する事が国立劇場の存在価値だ。うちの国の事を悪い国だとか撃でやっていたら、絶対に戦争を始める気満々だ。
「そこまでは分かりかねます」
劇をやっているかどうかが問題ではない。どのような演目をしているかが、問題なのだ。
「視察をしようか」
ぼんやり考える。
とりあえず、地盤は固めたし、開発はハインネに任せても問題はない。俺ならワームホールがあるからどこにでも逃げられるから敵国への潜入には適任だ。
「危険ではないですか」
シィは俺の身を案じてくれているらしい。
「足手まといがついていたら危険だよ」
とりあえず返事を返す。
鉄道の設計図でも作って綾斗に見せれば多分作れる。
航空力学は飛行機だけじゃなくて、鉄道や新幹線とかも範疇だからたぶんいける。
設計図を読む事だって多分できるはずだ。
「多分多分はないでしょう?」
オルとレデだけの情報じゃ不足だ。自分の目で確かめる必要がある。
さて、目立つフェリエとシィは連れていけない。ハルタナならいろいろ有意義そうだし連れて行こう。
「何を言ってもいくつもりなのですね」
そういう事だ。自分の仕事の引継ぎをしたら出発する。
俺の頭を読んでいるシィは溜息を吐いて俺の偵察の準備を始めた。




