ロドムの発想力
セリットのパラグライダーに何人もの騎士がぶら下がっていた。
文句を言い続ける騎士達。
空挺部隊のように空から騎士達を落とし、パラシュートで着地させて砦に攻撃をするつもりのようである。
爆弾は誤爆の危険があるが、人間ならば調度品を誤爆する危険はない。
爆弾を落とせないなら人間を落とせばいい。
聞いてしまえば誰でも思いつきそうな簡単な事であるがその発想に行きつくことのできる人間がどれだけいる事だろうかと考えると、ロドムはすごいと思える。
ただ、騎士達の協力を得るのに、どれほどの根気のいる話が必要だったか? 思い出すとロドムがどれだけ苦労しているか分かった。
「本当に大丈夫なんだろうな? この布」
「あーもう。それを広げればどんな高いところから落ちても痛いだけで済むんですよ」
「まずお前が使ってみろ」
「まずはそれだね。今からでもいいよ」
そう言い、ロドムは気球の準備を始めた。そして見る見るうちに高い位置にまで気球が昇っていく。
気球が豆のようなサイズになったところ、気球から飛び降りると布が広く開いた。ゆっくりと下降をしていくパラシュートは騎士達を驚嘆させた。
「いいだろう。使ってやろうじゃないか」
騎士達のいいようにロドムはイラッとしていたようだがそれでも話を続ける。
「そのパラシュートというものを使って飛び降りるというのはわかった。内側から門を開ければ残りの仲間も入っていきやすいだろうな」
平地戦の事は騎士達の方が知っている。その話は切り上げられて、次の話題に移った。
一番重要なのは分け前の話だ。
プライドの高い騎士だが、金のために戦っているなんてあさましい事を自分の口から言う事もできないらしい。
金の問題じゃない。調度品は国家の宝だ。由緒ある生まれの我々が管理にふさわしい。
騎士達はこの言葉を何度も使ってきた。
騎士達の言葉は一点張りで話の進展がない。
ロドムの報酬は現金で支払えばいいという話をしても、よくわからない事をいってきた。
『国家の宝をそんなようにしか見ていないのか? やはりお前に渡すわけにはいかんな』
セリットの目から見ても、頭の中でロドムがいつも通りの『メンドクセェ』を考えているのは明らかだった。
そこにフェリエが割って入ってきた。
商家の娘という肩書だけあって、交渉事をスムーズに進めていき、調度品は騎士達に渡し、騎士達がロドムに金を支払うという結論に持っていった。
「大人の事情って、大抵しょうもない事なんだよね」
セリットはこの国を動かす人々の真の姿を見て、呆れた気分になっていた。
ロドムの『メンドクセェ』は、前々から止めた方がいい悪い口癖だと思っていたが。そう言いたくなる気持ちはものすごく理解できた。
空を飛んでいき、砦に近づくと切り離しの時間が近づいてくる。
騎士達にはロドムの作った防弾チョッキが着せられていた。
かっこ悪いなどという感じの事を言って渋っていた騎士達も、なんだかんだ言って最後には着たのである。
やはり命は惜しいのだ。
「切り離します!」
セリットが言うと、ロープを切り離し、パラシュートは丸く広がった。これから騎士達があの砦を攻略していくのだろう。




