攻略準備
「君らに応援を頼もうって話になってきてる」
俺はカレー屋が終わった後、また若い騎士から聞いた。
「でも君らの隊長の口からその話を聞かないと、協力をしちゃいけない事になってるんだ」
俺は裏事情を話す。『騎士達が泣いて頼んでくるまで』ってな。
「説得してみるよ」
若い騎士が言う。ペーペーの意見なんかに、耳を傾けてくれるだろうか?
「何か身分をお持ちで?」
「隊長は父なんだよ」
俺、隊長の息子と話をしていたんだ。
「戦いよりもこういうのの方が向いているって言われてる。仲良くなって情報を聞き出すのをね」
なるほど、ポンポン情報を彼に教えていた俺は、騎士達からしたらすごくマヌケに見えるだろう。
彼にこの仕事が任されたのは、隊長の配慮かなんかだろう。戦いとは縁遠い場所に息子を送っているのだ。
これから先の戦いは死亡率が上がる戦いになる事は明白だからな。
「とにかく、私は父から命じられた事をこなすだけです。騎士達が頼んでくるまで動けません」
「ははは。それを伝えたら私がすっごい怒られそうだよ」
板挟みのつらさは俺もわかっている。がんばれ。名も知らぬ若い騎士よ。
重い足取りで陣にまで歩いて行く騎士。
何かしてあげれればいいのだが、今どうにかできる状態ではない。
「ロドム・エーリッヒ! 話がある」
次の日の朝、隊長さんがこちらに訪問あそばした。
要件は大体わかっているけどね。
「貴様に一回だけチャンスをやろう。あの砦を攻撃してみろ」
あー。こっすい手を思いつくな。あれだ。一回砦にダメージを与えさせて攻略を楽にしようって考えだ。
騎士達もメンドくさいな。
「いいでしょう」
裏の意思がわかったところで関係ない。俺にとっては渡りに船な話ではある。泣いてはいないが、騎士が頭を下げてきた。この事実一つで、大分こいつらの権力も失墜する事だろう。
俺はこれから司令官モードになる。
「攻略の準備をせよ」
その言葉に反応し、一同は俺の前に横隊を作った。
「これで本当にいたくないの?」
「痛い。だけど弾は防げる」
俺が用意した防弾チョッキをセリットとティーナ、後は航空部隊の面々に着せた。
防弾チョッキを着てれば大丈夫というものではない。ものすごく痛くて、肋骨が折れる事もある。でも命は助かる。そういうものだ。
「それじゃ。気球を上げるぞ」
綾斗はそう言って気球を高く飛ばした。俺は待機。何かあったらワームホールでいつでも助けにいけるようにスタンバっている。
空爆用の炎を力を込められた魔法球を持たせた。重量限界ギリギリまでだ。空から砦に落としていけば、建物は全てボロボロになるだろう。
高度計を持たせたから、綾斗の計算も狂いなくできるだろう。
どんどん高く上がり、豆粒のようなサイズになっていく気球。
「切り離すぞ!」
綾斗が大声で合図を出し、パラグライダーを切り離した。




