この戦いの裏
敵は銃を持っているという。
あの街、防衛のために売ってやった銃を横流ししやがったな。
とは思ったが、『武器を持つのは反抗の意思表示だから、すぐに渡せ』と言われて取られたという話を聞かされた。
だが、その話がフェリエのところにやってこない事。
売ったのはフェリエのところなんだから、報告の一つはあるもんだろうがって事だ。
父のところにはやってきたがフェリエの父とフェリエ自身にもその話が来ていない事。
なんで父は話を止めた? フェリエの父と懇意にしているんだし、そういう話は伝えようって自然に思うはずだが?
っていうか、なんで領地外の貴族がそんな事を言って街から物を徴収しても問題にならなかったのだろうか?
普通は許可なく入るだけで大問題なのに。何も問題にならないのか?
いろいろと、謎は深まるばかりだ。
何か、黒い陰謀が渦巻いているように思うが、心当たりが多すぎて、どれを疑っていいか? 逆にわからん。
街が売っただけかもしれない。形上、徴収されてとられたって事にしておけば言い訳が立つしな。
貴族全体がグルなのかもしれない。街の領主は武器の提供役。今反抗している奴は実行役とかな。
父かもしれない。
貴族に銃の話を教えて反乱行動をとらせ、騎士を追い込んで反乱の鎮圧に向かわせる。
反乱分子と、内部の政敵を潰し合わせることができるのだ。
これが一番ありそう。
そして、心が折れかかってる騎士達のところに、自分の息子を支援に向かわせて恩をこの上なく売るのである。
「もうヤダこの国」
そうとわかっていても、助けに行かねばならないのが俺の立場。こんなアホみたいなハラの探り合いに参加するのもヤダし、現場で鉄打っているほうが気楽でいい。
「だが、メンドくせぇ」
「ロドム様。そんな事を司令官が言っては……」
フェリエはそんな事まで考えていないだろう。ホントに気楽な事を言ってくれる。
「いえ、ロドム様の頭の中を読めると、本当その言葉しか出ませんよ」
シィはシィで余計な事言うんじゃない。
綾斗、フェリエ、シィ、セリット、ティーナ、他航空隊の数人。
今回馬車に乗っているメンツはこれくらいだ。
俺たちは一台の馬車に収まり、その後ろに三台の馬車が随伴する。
人間よりも持っていく荷物の方が量が多くて重いというのが、いかにも近代戦といった感じである。
「戦争を実際体験できるとは思わなかったな」
綾斗君もまた勝手な事を言うね。
砦の見取り図と周囲の地形も確認済みだ。ここから気球飛ばしてこの高さから切り離すという、風向きや距離の計算は綾斗がやる。
実行はセリット達。計算は全部綾斗。
俺はこの機材を作るのの制作指揮をしたんだ。決して何もしてないわけじゃない。
貴族が反乱をしているという砦が見えてきた。ついでに、刺繍やら模様やらのされた、豪華な布で作られたテントがいくつも見える。
時代遅れの騎士がつぶし合いをしている姿だった。




