作戦案報告
「ロドム。君の作戦は資金ばっかかかるね」
案を出すと父は言う。
戦争が一気に近代化をしているのだ。戦争はマンパワーからウエポンパワーがメインになっていくと、武器をうまく扱える人間を時間をかけて養成するほうが効率的となる。
だって武器一つ一つがバカ高いんだから上手く使わないといけない。
だがこの世界は中世くらいの技術しかない。
中世ではマンパワーがメイン。つまり兵士は消耗品で、その辺から徴収した人間に武器を持たせて兵士と言い張っていた時代。
というかそれが普通だった時代。
一部の重武装の騎士を除き、兵士というのは使い捨てのものである。
その重武装の騎士だって騎士自身が自前で装備を用意するのが普通。兵士の武器なんて死んだ人間のものを使いまわしたり、敵の使っていたものを拾って使ったりと……
つまり父には武器に金がかかるという感覚がないのだ。
俺の部隊のような一般から兵隊を募集なんて特例だ。だって、プライドの高い騎士を下に付けるなんてメンドそうだし、自分でそうしたいって志願したし。
「武器は金をかけてでも自前で作らないと……」
銃の製法が一般に出回ったらもちろん敵にも伝わる。
研究を続け敵以上の高度な兵器を持つ事が勝利のカギとなる。
とまあ、現代の戦争の理論をぶつけてみたが、父はピンとこない様子。
「実績のないものがそんな事言ってもな」
「実績ならあるでしょう!」
学院戦では授業で即興で作らせたクロスボウが防衛に役立った。
「国を守るのは大事だけど、そのせいで国を傾けては本末転倒だろう? 君は防衛の事だけを考えればいいが、私と女王は内政の事も考えないといけないんだから」
はいでやがった。お前は何も分かってない論法。
「使う資金以上の利益を出せばいいって事ですか?」
「それは、逆侵攻をすると……?」
戦争で利益を出すイコール敵の土地を奪う。
んな事は無理だって分かっているとも。だけど、そうなっていくものだ。歴史では、作った軍隊の負債に困って戦争で利益の補てんを計る国なんていくつもある。
んなバカやるかい。でも兵器は作らんといかん。
「反乱をしそうな有力貴族とかいませんか?」
そういう奴に模擬戦闘とか言って航空部隊ぶつけてやればいい。
空爆されたらどうにもならんってのを父に見せつけてやる。
その貴族も反抗心が削がれるだろうし、兵器の有用性も示せる。
「今絶賛反攻中の貴族がいる」
いるんかい。実戦は想定外だぞ。
「お前の言いたいことは分かる。では、反乱を鎮圧してもらおうか」
「待った! そんな話聞いてないし!」
なんで、軍務担当にそういう話が来ないんですかねぇ?
「騎士達が出張ってきて、汚名返上だの言いだした。多分反乱軍の物資狙いだ。ロドム・エーリッヒの手は借りない、奴より使えるところを見せてやるって言ってた」
おいコラ父よ。なに上の空で言っている?
「それで戦局は?」
「絶賛苦戦中。死傷者は三割を超えたらしい」
負けてるんじゃない? それ。
「王宮騎士なんて訓練しかやってなくて実戦経験なんてないし。そのクセ自分は強いつもりだし。プライドばっか張っているから逃げるの嫌いだし」
おいコラ。味方がやられてんのに見殺しにしてんのか。
「騎士達はうちの戦力ですよ」
「背中を刺しそうな奴らを戦力に入れるのかい?」
「そういうのを従わせるのが内政の仕事じゃないんですかね?」
父は上の空だった。
俺にこれを教えたらこう返ってくるのを予想していたのだ。




