残った気球
「これはどうすんだよ?」
綾斗の連れていかれてしまった後、残った気球は用無しだ。
気球でパラグライダーを空まで運んで空から爆弾を落とす実験をしようとしていたのだが、専門家の綾斗は誘拐をされてしまった。専門家なしに一人で実験もないだろうな。
骨だけのパラグライダーだけが残っている。しかも組み立て前の状態だ。
誰でも作れるように組み立て式にして小さくしてしまえるようにしてくれと注文したら、注文通りに作ってくれた。
このまま気球だけ浮かせて、効果だけ確認するか? 空の専門家が来るのを待つ事にして気球の気を抜いていおくか?
「わー。これなんですか? ロドム様?」
背後から俺にのしかかってきたほのが言う。小さなころからおおきかったほののおっぱいだが、今はさらに大きくなっていた。
それが背中の押し付けられてくるのは、正直に言ってずいぶんと心地いいのだが、俺はそんなもので反応するようなお子様ではない。
「これは空に浮かぶものだよ。この籠に乗るんだ」
「あー! しぼんじゃうんですか!」
今は空気を抜いている。少しずつ浮力を失っていく気球を見て残念と言った感じだ。
「それは考えていて」
ここで試験を始めてもいいかもしれないと思っていると伝えると。ほのは俺を思いっきり抱きしめてきた。
「えへへー。ロドムさま。おっぱいアタックです」
何か俺にお願いをするとき、胸を押し付けてそう言ってくる。
これは、フェリエの前でも構わずにやってくるから困りものだ。おっぱいの魔力に負けたのではなく、フェリエの冷たい目線を受けて焦ったりするためにほのの要求を呑むことも多い。
飽くまでおっぱいに負けたわけではないというのは重々確認しておく。
どこでそんなものを覚えたのか? うちの子に変な事を教えてくれやがったのは誰か? いずれ犯人捜しをしないといけないと思っている。
「乗ってみたいんだね?」
別に揚げてみるのもありだと思っていたし。それもやぶさかではない。
「ロドム様! デイナ達も呼んできます!」
あら、到着を待つんだ。ちょっとメンドくさい事になっちゃったな。
俺の言葉も待たずに、ほのは駆け出して行ってしまった。
「まあいい。また空気を入れるか」
大分しぼんだ気球が元に戻るまで、少し時間がかかる。気球に気を入れながら、デイナ達を待つことにした。
「それじゃその紐を外して」
気球が空に浮かんでいかないように取り付けていた紐をデイナに外させる。
「おおー。うかんだー!」
ほのはずいぶん楽しそうにはしゃぐもんだな。
来たのはデイナのほかにセリットとティーナだ。この二人はずいぶん長く一緒にいなっていなかったと思う。
呼んだはいいけど用がないんだよな。
いまどき魔法が使えるだけの子なんて何の価値もない。女王とよく会っているようだから、それなりにはやっていってくれているのだろう。
王宮の屋根が届きそうな高さまで来た。上昇速度はずいぶんなものであると感じる。
「やなもん見ちゃった」
窓から綾斗が四人に囲まれながらテーブルマナーを叩き込まれているのがちらりと見えた。
テーブルに座る綾斗の回りに鞭をかまえたフェリエ達がいる。なんかみんなそろってドギついメガネとかかけてるし。
だからハルタナも一緒になって調子に乗んなっての。
しかもさらに嫌な事に、俺が女の子達に囲まれて空の旅をエンジョイしようとしているところを綾斗に見られた。
思いっきり目が合ったもん。かなり俺の事を恨んでおられるようだった。




