ロドムのお触書
「そうか! そうだよ! こうすればいいんだ!」
俺はちょうどよくオルとレデが持ち帰ったというポスターを見つめて言った。
「なんだ? この絵なのか文字なのかわからんものは……?」
これを文字だと認識できないないネリフスには絵に見えるのか? 文字の元は象形文字だからな。漢字は亀甲だったっけ?
「あの……ロドムさま? 変人扱いされるのでやめてくださいまし」
あー……もうくそ。シィが冷たい視線で俺の事見たぞ。言われたところでやるんだがな。
「これを同じお触書を出すぞ! 人が住んでいるところなら、どんな小さな集落でもこの看板を建てろ!」
俺が指示を出す。エーリッヒJr隊の人間は「はっ!」と元気のいい返事をする。
やっとの事でこれくらいの規律は覚えてもらった。まだ実戦は不可能だけどな。
「旅費は出す! 計画ができ次第担当地区を支持するのでそのまま待機!」
俺は三人編成の部隊を作り、看板を取り付けて全国を回るように計画を立てた。
「まーた発作がでましたわ」
「あれだけはどうにかならないですかね」
フェリエとシィの二人は並んで王宮の廊下を歩いていた。
それぞれ、ポスターを作る役と、周囲への連絡と説得の役だ。
シィが適当に言い訳を考えて、この意味不明な行動に理由をこじつける。フェリエの主導で作るのだ。
「これが本当だったらどうなります?」
ふとシィは言う。彼女はロドムの言葉を信じてはない。現実的な考えを持つシィはロドムの記憶の錯乱か何かだと思っている。
「世界が根本からひっくり返りますわ」
フェリエもそう言う。フェリエもまったく信じていない。
「何も成果でなかったら私たちも一緒に変人扱いですよ」
「元々ロドム様は変人ですわ」
フェリエが身もふたもない事を言う。
「もう少し言い方が……」
シィはそこで言葉を止めた。
「今までと何も変わらないという事ですか」
思い直してフェリエと一緒にフェリエの家御用達の印刷所に向かった。
「おいおい……こりゃもしかしたら……」
髪を短く切りそろえたテニーは言う。
昔から自分の事を男だと思っているようで、髪を長くするのを嫌がっている。両親から女の子らしい恰好をしてほしいという意向とぶつかり、髪を肩にかからないくらいにまで伸ばすくらいの妥協案で合意するに至った。
だが本人としてはまだ不満らしい。
テニーは子供のころから空を飛ぶことを夢見ていた。
もちろん周囲からそんなことは無理と言われる、そのたびに「エンジンがあれば……エンジンがあれば……」と意味不明な事を繰り返している変な子だ。
周囲からの評価はそのようなものだ。
「王宮ならエンジンを作る方法もあるんじゃないか?」
航空力学を学んでいるものの、石炭すら発見されていない世界でエンジンを作る方法を彼女は知らなかったのだ。
もしかしたら、王宮ならばその方法もあるかもしれない。
「こうしちゃいられない」
テニーはすぐに仕事を投げ出し。着の身着のままで王宮に向かった。




