セリットとティーナ
セリットとティーナの二人はあの時の戦争ではまったく活躍をしていなかった。だが、彼女らは彼女らでやっている事があったのだ。
「またか……君らがあの二人に義理立てする理由がいまだにあるのか?」
あれから五年経ち、昔のような子供の姿から、一人前の女性一歩手前くらいに成長を見せた女王はもう十六度目になる嘆願書を読んで、そう言った。
今セリットとティーナがいるのは、国の謁見室だ。二人も、ロドムとは旧知の仲という事で、それなりの地位があり、理由があれば、女王と謁見をするくらいの権利は持っている。
中身は何年も幽閉をされているレリレンとデルクトの二人の開放を求める内容だ。
「義理立てと言いますか……やはり、幼馴染ですし……」
「つまり、親族から、彼らの解放を訴えかけるように働きかけがあったと?」
「いえ……そういうわけでは……」
もともと、彼らが捕まった時の理由は、貴族の子弟達が戦死をする原因を作ったことである。その建前通りだとすれば、貴族が力を失った今、貴族の目を気にして彼らの幽閉を続ける理由はないはずだ。
「だが根本的な話をすると、彼らは敵と内通して情報を漏らした国家反逆者だぞ。死刑にならないだけありがたいもんだ」
「でも、あの二人を説得して、私たちの国に忠誠を誓わせれば」
「魔法学院の成績上位と、元生徒会長……という肩書だけ見れば凄そうに見えるが、今時魔法を使えるだけの奴を、国家反逆罪を無罪放免にしてまで、雇うメリットがまったくないんだが……」
女王だって、バカではない。これくらいの頭は回る。
メリットという面だけ考えると、こんな話は百害あって一利なしだ。
「とにかく、どうしても開放したいのなら、ロドムにでも言ってみたらどうか? 彼らを開放して私が損をするわけではないから、反対ではない。ロドムなら上手い言い訳を考えるんじゃないか?」
女王とて、困ったときは結局ロドム頼りだ。
だが、そもそも、ロドムに反逆をしたのだし、彼らの裏切りで死人が出た事をロドム自身が怒っている。
それに、彼は基本的には優しい人間だが、見切りをつけた人間にはとことん冷たい
彼の口癖にも近い言葉になっている『まあ、俺が助ける相手じゃない』という言葉がそれを物語っている。ロドムに言っても断られるに決まっている。そんなものはサルでも分かるというもの。
自分たちでもなんであんな奴を助けないといけないのか? とも心の底では思うが、それでは割り切れないのが人間というもの。
いまさらよりを戻そうなんてサラサラ考えていないが、いつまでも獄中にいるようじゃかわいそうだ。
「どうして助けたいんだろうね……」
「このままじゃ、寝覚めが悪い……理由はそれで十分でしょう?」
実際、あの二人はそんな理由で、無罪にできるような軽い罪を犯したわけではない。
だが、セリットのティーナの二人はあの二人をどうしても助け出したかった。




